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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 B1 |
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管理番号 | 1369042 |
審判番号 | 不服2020-10068 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-07-17 |
確定日 | 2020-12-07 |
意匠に係る物品 | キャミソール |
事件の表示 | 意願2019- 9064「キャミソール」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成31年(2019年)4月23日に出願された、願書に記載した本意匠(以下「本意匠」という。)を意願2019-9063(意匠登録第1648824号)とする関連意匠の意願意匠登録出願であって、令和1(2019年)年12月24日付けの拒絶理由の通知に対し、令和2年(2020年)2月10日に意見書が提出されたが、同年4月17日付けで拒絶の査定がなされ、これに対して、同年7月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠の願書及び添付図面の記載 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするもので、その意匠は、意匠に係る物品を「キャミソール」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面のとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を、「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。「C-C部分における拡大A-A断面図」の中央部において、意匠登録を受けようとする部分の内側に表した横長細幅状の破線部は、パッド挿入口部であり、意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び本意匠 1 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないので、意匠法第10条第1項の規定に該当しない、としたものである。 2 本意匠 (1)手続の経緯 本意匠は、本願の出願日と同日の平成31年4月23日に出願された意匠登録出願(意願2019-9063)であって、令和1年(2019年)12月6日に意匠権の設定の登録(意匠登録第1648824号)がなされ、令和2年(2020年)1月6日に意匠公報が発行されたものである。 (2)本意匠の願書及び添付図面の記載 本意匠は、物品の部分について意匠登録を受けようとするもので、その意匠は、意匠に係る物品を「ブラジャー」とし、その形態を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。「A-A断面図」の中央部において、意匠登録を受けようとする部分の内側に表した横長細幅状の破線部は、パッド挿入口部であり、意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。」(以下「本意匠部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。 第4 対比 1 本願意匠と本意匠の意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は、「キャミソール」であり、本意匠の意匠に係る物品は、「ブラジャー」であるが、本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれもバストを覆う下着であり、その点において両意匠の用途及び機能は共通する。 2 本願部分と本意匠部分の用途及び機能の対比 本願部分と本意匠部分(以下「両部分」という。)は、いずれもバストを覆う部分であり、用途及び機能が共通する。 3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部分の位置、大きさ及び範囲を対比すると、以下に示す共通点と相違点が認められる。 (1)共通点 両部分は、いずれも着用者のバストを覆う程度の大きさとする点。 (2)相違点 本願部分は、全体を上から約1:2:3に分割した上から2番目の位置及び範囲とするものであるのに対し、本意匠部分は、全体を上下に約1:2に分割した下側で、下端部から僅かに上とする位置及び範囲とするものである点。 4 両部分の形態 両部分は、(ア)上辺が略三角形状のカップ部において、外側の辺を略円弧状にへこませ、内側の辺を中央が僅かに膨らんだ緩やかな曲線で構成し、左右のカップ部の間は、やや鋭角とする略V字状とした点、(イ)その略V字状の先端部左右から、カップ部外側の辺の下端に渡って、カップ部下縁に沿ったカップ支持部が細い帯状(2本線状)に表れている点、(ウ)カップ支持部の下に一定の高さを有する土台部を有し、カップ支持部の左右の脇側へと延在している点、(エ)カップ部の内側を1枚の生地で面一状に形成している点が共通する。 第5 判断 以下、本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて検討し、判断する。 1 意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能に共通する点があるので、類似する。 2 両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は、同一である。 3 両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分の大きさは、同一であるが、位置及び範囲は相違する。 しかしながら、本願意匠の意匠に係る物品である、キャミソールは、従来からバストを覆う位置にカップを有するものもあり、ブラキャミソール、あるいはブラキャミ等の名称でバストを覆う下着として確立されているところ、その中には、バスト部について、ブラジャーと共通したシリーズのものも普通に見られている(参考意匠:特許庁意匠課公知資料番号第HJ19056043号に表された「キャミソール」、及びそのキャミソール掲載頁の左に表された「ショートキャミソール」の意匠。別紙第3参照。)。 そして、本願意匠の腹部を覆う身頃部も、本意匠の土台部も、それぞれブラキャミソール、ブラジャー(ハーフトップタイプ)として、一般的なものが破線を用いて表されているにすぎないことから、本願部分及び本意匠部分の物品全体の中での位置及び範囲については、当該意匠の属する分野においてありふれたものと認められる。 4 両部分の形態の類否判断 両部分の形態は、同一である。 5 両意匠の類否判断 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が類似し、両部分の用途及び機能は同一であり、位置、大きさ及び範囲のうち、大きさは同一で、位置及び範囲は、当該意匠の属する分野においてありふれたものであり、形態が同一である。 これらを総合すると、本願意匠と本意匠とは類似する。 6 本願意匠が意匠法第10条1項の規定に該当するか否かについて 本意匠は本願と同日の出願に係る自己の意匠登録出願であるから、本願は、意匠法第10条第1項が規定する出願時期と出願人に係る要件を満たしている。 さらに、前記5のとおり、本願意匠と本意匠は類似するものと認められるので、本願意匠は、意匠法第10条1項に規定されている本意匠に類似する意匠(関連意匠)の要件を満たしている。 したがって、本願意匠は、意匠法第10条1項の規定に該当するものである。 第6 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、願書に記載した本意匠に類似し、意匠法第10条第1項の規定に該当するものと認められるから原査定の拒絶の理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-11-17 |
出願番号 | 意願2019-9064(D2019-9064) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(B1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 富永 亘 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
正田 毅 北代 真一 |
登録日 | 2020-12-16 |
登録番号 | 意匠登録第1676403号(D1676403) |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 野間 悠 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |