ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C7 |
---|---|
管理番号 | 1369050 |
審判番号 | 不服2020-8181 |
総通号数 | 253 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-06-12 |
確定日 | 2020-12-07 |
意匠に係る物品 | 仏壇 |
事件の表示 | 意願2019- 7546「仏壇」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成31年(2019年)4月6日の意匠登録出願であって,令和2年(2020年)1月20日付けの拒絶理由の通知に対し,同年2月18日に意見書が提出されたが,同年3月11日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年6月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「仏壇」としたものであって,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものであって,当該拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 電気通信回線の種類 :インターネット 掲載確認日(公知日):2017年 8月24日 受入日 :特許庁意匠課受入2017年12月18日 掲載者 :ライフテースト株式会社 表題 :ペットのお墓・お棺の専門店|ペットセレモニー 「紫苑」|ペット骨壷|りんね 中 覆い袋セット 掲載ページのアドレス:http://www.lifetaste.co.jp/pet/products/categ ory003/detail001rnn_m_set.html に掲載された「ペット用骨壺」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ29023807号) (ただし,引用するのは右側のペット用骨壺の外側部分。) 第4 当審の判断 1 本願意匠 本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載によると,以下のとおりのものと認められる。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「仏壇」である。この仏壇は,遺骨や位牌など慰霊対象であるものを収納するものであり,上部(以下「蓋体」という。)と下部(以下「本体」という。)に分けることができ,合わせて使用するものである。 (2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 本願意匠に係る物品のうち,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,本体に蓋体をかぶせた状態における外面の全面部分であり,その外面の全面という位置,大きさ及び範囲であって,仏壇における本体及び蓋体の外面の全面の用途及び機能を有している。 (3)本願部分の形状 本願部分の全体は,縦長の回転楕円体とし,下から約4分の1の高さ位置に,本体と蓋体との境界部分が水平な直線として表れているものであり,蓋体が本体の上面を大きく覆う形状である。 2 引用意匠 引用意匠は,上記「第3」のインターネット情報の記載によると,以下のとおりのものと認められる。 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は,「ペット用骨壺」である。 (2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 引用意匠に係る物品のうち,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」という。)は,本体に蓋体をかぶせた状態における外面の全面部分であり,その外面の全面という位置,大きさ及び範囲であって,ペット用骨壺における本体及び蓋体の外面の全面の用途及び機能を有している。 (3)引用部分の形状 引用部分の全体は,縦長の回転楕円体の下端部を水平面で切り落とした形状(以下「截底回転楕円体」という。)とし,下から約5分の3の高さ位置に,本体と蓋体との境界部分が水平な細い溝として表れているものである。 3 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「仏壇」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「ペット用骨壺」である。 (2)両部分の位置,大きさ及び範囲 両部分共に,本体に蓋体をかぶせた状態における外面の全面という位置,大きさ及び範囲である。 (3)両部分の用途及び機能 本願部分は,仏壇における本体及び蓋体の外面の全面の用途及び機能を有しているのに対して,引用部分は,ペット用骨壺における本体及び蓋体の外面の全面の用途及び機能を有している。 (4)両部分の形状 (4-1)共通点 共通点1:全体を縦長の回転楕円体状としたものである。 共通点2:上下方向の途中に,本体と蓋体との境界部分が水平に表れているものである。 (4-2)相違点 相違点1:全体の形状について,本願部分は,縦長の回転楕円体としたものであるのに対して,引用部分は,縦長の截底回転楕円体としたものであり,その結果,本願部分の底部は凸曲面であるのに対して,引用部分の底部は水平面として表れる。 相違点2:本体と蓋体との境界部分の高さ位置について,本願部分は,下から約4分の1としたものであるのに対して,引用部分は,下から約5分の3としたものである。 相違点3:本体と蓋体との境界部分について,本願部分は,直線としたものであるのに対して,引用部分は,細い溝としたものである。 4 両意匠の類否 (1)意匠に係る物品について 本願意匠の意匠に係る物品は「仏壇」であるのに対して,引用意匠の意匠に係る物品は「ペット用骨壺」である。 引用意匠は,遺骨を納める壺であるが,その形状,模様及び色彩から,身近な場所に置き,日々慰霊することができるものと考えられ,本願意匠とは使用状態において一部共通する点が認められる。 しかしながら,本願意匠の「仏壇」とは,広辞苑によれば「仏像や位牌を安置して礼拝するための壇である。」とあるところ,引用意匠の骨壺は,遺骨を納める壺であって,仏像や位牌を安置するものではない。 したがって,両意匠の意匠に係る物品は,異なるものと認められる。 (2)両部分の位置,大きさ及び範囲について 両部分の位置,大きさ及び範囲については,両部分共に,本体に蓋体をかぶせた状態における外面の全面であるから共通する。 (3)両部分の用途及び機能について 両部分の用途及び機能については,本願部分が「仏壇」,引用部分が「ペット用骨壺」という,異なる物品における本体及び蓋体の外面の全面の用途及び機能であるから相違する。 (4)両部分の形状について (4-1)共通点について 共通点1及び共通点2は,本体に蓋体をかぶせた状態の形状に係るものであり,共に縦長の回転楕円体状であるから一定の共通性をもたらしているが,分割する高さ位置の相違による本体及び蓋体の形状の相違点を考慮すれば,この共通性は限定的であるといわざるを得ず,両共通点が両部分の形状の類否判断に及ぼす影響は,一定程度にとどまる。 (4-2)相違点について 相違点1は,両部分における全体の形状の相違であるところ,底部という,一般的には目に触れにくい部分の相違ともいえるが,仏壇又は,ペット用骨壺における底部の形状が凸曲面であるか,それとも水平面であるかという点は,載置時等の使用状態において需要者が注意を引く部分の相違といえるから,相違点1が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 相違点2は,本体と蓋体との境界部分の高さ位置の相違であるが,本体と蓋体の大きさ及び形状の相違を伴うものであり,本体は,慰霊対象物を収めるもの,蓋体は,手で持って本体から取り外すものであるから,当該相違は,需要者の注意を引き,両部分について別異の印象を強くもたらすものといえるから,相違点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点3は,本体と蓋体との境界部分を直線としたか,それとも細い溝としたかの相違であるが,引用部分の溝は,細いものであるから,軽微な相違といえ,相違点3が両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 (4-3)両部分の形状の類否 両部分の形状の共通点及び相違点の評価は上記のとおりであって,相違点が両部分の形状の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれを凌駕するものであるから,両部分の形状は類似するものではない。 (5)小括 そうすると,両意匠は,意匠に係る物品が異なるものであり,両部分の位置,大きさ及び範囲が共通するものの,両部分の用途及び機能が相違し,両部分の形状が類似しないから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。 4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2020-11-13 |
出願番号 | 意願2019-7546(D2019-7546) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C7)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 濱本 文子 |
特許庁審判長 |
木村 恭子 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2020-12-14 |
登録番号 | 意匠登録第1676079号(D1676079) |
代理人 | 大谷 嘉一 |