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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1370063 |
審判番号 | 不服2020-12899 |
総通号数 | 254 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-09-15 |
確定日 | 2021-01-07 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2019-27537「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,令和1年(2019年)12月12日の意匠登録出願であって,令和2年4月17日付けの拒絶理由の通知に対し,同年5月27日に意見書が提出されたが,同年6月11日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年9月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「添付図面中,実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 独立行政法人工業所有権情報・研修館が2012年6月27日に受け入れた B.I.PACKAGING 2012 第19頁所載 包装用容器の意匠の本願意匠に対応する部分 (特許庁意匠課公知資料番号第HC24013912号) 第4 当審の判断 1.本願意匠 本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」である。 (2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,包装用容器の肩部分(口部直下から本体上端部までの位置,大きさ及び範囲)である。 本願部分の用途及び機能は,包装用容器の肩部分というものである。 (3)本願部分の形状 ア.本願部分は,上端が正円形で,下端は隅丸正方形であって,隅丸正方形の直線部分の長さは,隅丸正方形に外接する仮想の正方形(以下「仮想の正方形」という。)の辺の長さの約3割である。 イ.側面視において,広がる部分の形状は,上側の約3分2の部分は,横に広がる凹曲線で,下側の約3分の1の部分は小さな凸曲線である。 2.引用意匠 引用意匠は,上記「第3」の特許庁意匠課公知資料の記載の内容によると,以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」である。 (2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,包装用容器の肩部分(口部直下から本体上端部までの位置,大きさ及び範囲)である。 引用部分の用途及び機能は,包装用容器の肩部分というものである。 (3)引用部分の形状 ア.引用部分は,上端が正円形で,下端は隅丸正方形であって,隅丸正方形の直線部分の長さは,仮想の正方形の辺の長さの約8割である。 イ.側面視において,広がる部分の形状は,上側の約4分1の部分は,(まるで偏平な円錐台形状のように)略直線で広がり,下側の約4分の3の部分は大きな凸曲線である。 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品も,引用意匠に係る物品も,共に「包装用容器」である。 (2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比 本願部分も引用部分も共に,包装用容器の肩部分(口部直下から本体上端部までの位置,大きさ及び範囲)である。 本願部分の用途と機能も,引用部分の用途と機能も共に,包装用容器の肩部分というものである。 (3)両部分の形状の対比 両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 ア.共通点について (ア)両部分共に,上端が正円形で,下端が隅丸正方形である点。 (イ)側面視において,広がる部分の形状は,下側の部分は凸曲線である点。 イ.相違点について (ア)仮想の正方形の辺の長さに対する隅丸正方形の直線部分の長さにつき,本願部分は,約3割であるのに対して,引用部分は,約8割である点。 (イ)側面視において,広がる部分の形状につき,本願部分は,上側の約3分2の部分は,横に広がる凹曲線で,下側の約3分の1の部分は小さな凸曲線であるのに対して,引用部分は,上側の約4分1の部分は,略直線で広がり,下側の約4分の3の部分は大きな凸曲線である点。 4.判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「包装用容器」であるから,一致している。 (2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価 両部分の位置,大きさ及び範囲は,いずれも包装用容器の肩部分であるから,一致している。 両部分の用途及び機能は,いずれも包装用容器の肩部分というものであるから,一致している。 (3)両部分における形状の評価 ア.共通点について 共通点(ア)については,本願意匠の出願前からよく見受けられる,円筒状の口部を持ち,平面視で隅丸正方形の本体を持った包装用容器においては,ごく普通の形状であるから,両部分の形状の類否判断に与える影響は小さい。 共通点(イ)については,この種物品分野においては,ありふれた形状であるから,両部分の形状の類否判断に与える影響は小さい。 イ.相違点について 相違点(ア)によって,本願部分は,大きなRによる隅丸正方形との印象を得るのに対して,引用部分は,四角い容器との印象を得るものであるから,両部分に別異な印象を与えると認められ,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(イ)は,この種物品においては,形状変化の大きい部分であって,目に付きやすい箇所であり,包装用容器の個性を演出させる部分の一つともいえるところ,本願部分は柔らかい印象を生じさせているのに対して,引用部分は,相違点(ア)も相まって,全体に硬い印象を生じさせているものであるから,両部分に別異な印象を与えると認められ,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。 (4)小括 そうすると,両部分の形状については,その共通点及び相違点の評価に基づくと,上記のとおり,共通点は,類否判断に及ぼす影響は小さいものであるのに対して,相違点によって類否判断に及ぼす影響は大きいものといえるものであり,両部分の形状は,類似するとは認められないものである。 (5)両意匠における類否判断 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能が一致している。 しかし,上記のとおり,両部分の形状は,類似するとは認められないものである。 よって,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。 5.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似するとはいえず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2020-12-23 |
出願番号 | 意願2019-27537(D2019-27537) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 富永 亘 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2021-01-14 |
登録番号 | 意匠登録第1678294号(D1678294) |
代理人 | 永芳 太郎 |