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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L6 |
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管理番号 | 1370926 |
審判番号 | 不服2020-13150 |
総通号数 | 255 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-09-18 |
確定日 | 2021-02-09 |
意匠に係る物品 | 建築用板 |
事件の表示 | 意願2019- 11023「建築用板」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 令和1年(2019年) 5月21日 意匠登録出願 令和2年(2020年) 2月17日付け 拒絶理由通知書 同年 3月30日 意見書提出 同年 6月15日付け 拒絶査定 同年 9月18日 手続補正書提出 同年 9月18日 審判請求書提出 第2 本願の意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「建築用板」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「赤色で着色された部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) 大韓民国意匠商標公報 2015年 4月15日15-14号 タイル(登録番号30-0792438)の意匠の本願意匠に相当する部分 (特許庁意匠課公知資料番号第HH27413895号) 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、屋根材、外装材、及び内装材等の建築用の板材として使用される「建築用板」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、建築用の外装材及び内装材として使用される「タイル」であって、どちらも建築物の壁面等に使用される板材であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、類似する。 (2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲 本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲については、建築物の壁面等に取り付けて使用する板材であって、平面、底面、背面及び左右側面を除いた正面の全面部分であるから、一致する。 (3)両部分の形態 両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア 共通点 両部分は、全体を灰色に着色した略横長長方形で、表面全体に、不定形かつ粒度の異なる小さな粒状模様を多数形成している点において共通する。 イ 相違点 (ア)縦横の長さの比率 本願部分は、縦横の長さの比率は約1:2であるのに対し、引用部分は、約1:3で、引用部分の方が横長である点、 (イ)全体の色彩等 本願部分は、濃い灰色で均一に着色しているのに対し、引用部分は、薄い灰色で着色し、表面全体に左右方向に広がる若干色調の濃い霞状の模様を施している点、 (ウ)粒状模様 本願部分は、小さな白色の粒状模様を複数個点在させ、その周りにこれより微小な白色や薄灰色の粒状模様を多数形成し、さらに小さな黒色の粒状模様をまばらに複数個点在させたものであるのに対し、引用部分は、やや大きめな黒色と薄灰色の粒状模様をまばらに複数個点在させ、その周りに外形が不明瞭な微細な斑(まだら)状の模様を多数形成している点において相違する。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、類似する。 (2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、同一である。 (3)両部分の形態 以下、両部分の形態について検討する。 ア 形態の共通点及び相違点の評価 両部分は、建築物の壁面等に使用される板材の化粧面であるから、需要者は、主に建築物の内装や外装に注意を払う住宅等購入者のほか、板材の取り付けや施工を行う取引業者や施工業者が含まれる。 したがって、まず、需要者が最も注意を払う部位である表面の模様や色彩について評価し、かつそれ以外の形態も併せて、各部を総合して意匠全体として形態を評価することとする。 イ 共通点の評価 この種物品の分野において、略横長長方形板状の建築用の板は一般に広く見られるものであり、また、表面全体に、不定形かつ粒度の異なる小さな粒状模様を多数形成したものも、両部分の他にも見受けられるものであるから、この共通するとした態様は、両部分のみに共通するものとはいえず、この共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。 ウ 相違点の評価 相違点(ア)について、引用部分は、本願部分より横長であるが、全体を略横長長方形板としたなかにおける部分的な相違又は常套的になされる改変の範囲内のものであるから、格別、需要者の注意を惹くものとはいえず、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 相違点(イ)について、色彩については、いずれも灰色に着色したなかにおける色調の違いではあるが、表面全体に施された色彩であるから、暗調子の本願部分と明調子の引用部分の色調の相違は、相違点(ウ)の粒状模様の態様と相まって、需要者に異なる視覚的印象を与えるものであり、また、本願部分は、全体を均一に着色したものであるが、引用部分は、全体に霞状の模様を施しており、前記の色調の相違と相まって、需要者に異なる美感を与えるものといえ、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(ウ)について、小さな白色の粒状模様を点在させ、その周りに微小な白色又は薄灰色の粒状模様を多数配した本願部分と、やや大きめな黒色又は薄灰色の粒状模様をまばらに配し、その周りに微細な斑状の模様を多数形成した引用部分とは、明らかに模様の構成が異なっており、加えて、相違点(イ)の色彩の相違が、両部分の粒状模様の違いを一層際立たせる効果を発揮しているものであるから、需要者に異なる美感を強く与えているといえ、両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。 以上のとおり、共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対し、相違点のうち、相違点(ア)が両部分の類否判断に与える影響は小さいものであるが、相違点(イ)及び相違点(ウ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きく、とりわけ、相違点(ウ)が両部分の類否判断に与える影響は極めて大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。 3 小括 したがって、両意匠は、意匠に係る物品は類似し、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は同一であるが、形態においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-01-20 |
出願番号 | 意願2019-11023(D2019-11023) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 綿貫 浩一 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 内藤 弘樹 |
登録日 | 2021-03-01 |
登録番号 | 意匠登録第1681305号(D1681305) |
代理人 | 特許業務法人北斗特許事務所 |