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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C1
管理番号 1371748 
審判番号 不服2017-5482
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-17 
確定日 2018-02-27 
意匠に係る物品 自動車用フロアマット 
事件の表示 意願2016-12252「自動車用フロアマット」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成28年(2016年)6月8日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用フロアマット」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたもの(以下,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である(別紙第1参照)。

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁から発行された意匠公報に記載の意匠登録第1541933号(意匠に係る物品,一組の自動車用フロアマットセット)の意匠(別紙第2参照。以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)の「2枚のフロアマットの内,平面視上部に位置するものの右側の部分」(以下「引用部分」ともいい,本願部分と併せて「両部分」という。)。

3.当審の判断
(1)意匠に係る物品について
本願意匠に係る物品は,自動車の運転席の足元に敷設される「自動車用フロアマット」である。
引用部分は,自動車の運転席と助手席の足元に敷設される前部座席用フロアマットと,後部座席の足元に敷設される後部座席用フロアマットの2枚から成る「一組の自動車用フロアマットセット」の,「平面視上部に位置するものの右側の部分」であるから,引用意匠に係る物品は,「前部座席用フロアマット」と認められる。
そうすると,本願意匠も引用意匠も共に「自動車用フロアマット」と認められるから,意匠に係る物品は共通している。

(2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分は,自動車の運転席の足元に敷設されるマットの,左上方の一部,左端の一部,右下角部及び取付け金具を除いた部分であり,引用部分は,自動車用フロアマットの運転席部分における本願部分に相当する部分であるから,両部分の用途及び機能は一致している。
また,両部分は共に,自動車の運転席側フロアに敷設されるものであって,その前後長は,運転席シート略前端からフットペダル近傍まで,その左右幅は,おおむね車内の床の,中心から右サイドレール手前までであるから,大きさはおおむね一致している。
本願意匠に係る物品は「自動車用フロアマット」で,後述する形状より,当業者知識によると左凸部が助手席用マットとつながる接続片と認められるものであり,本願部分は,そのマットの左上方の一部,左端の一部及び右下角部を除いた部分であるから,右上から左下へかけての略逆「L」の字状の位置であり,その範囲は,物品全体の8割程度の面積である。
引用意匠に係る物品は「前部座席用フロアマット」と認められ,引用部分は,そのマットのほぼ中央から右半分の運転席部分における右上から左下へかけての略逆「L」の字状の位置であり,その範囲は,物品全体の4割程度(運転席部分における8割程度)の面積である。
本願意匠は,その接続片によって助手席用マットとつながって使用されることが一般的であるから,その使用の態様は引用意匠と同じ前部座席用フロアマットの様に成り,助手席用マットとつながった本願意匠は,引用意匠と同じ物品となる。
そうすると,一般的な使用の態様を合わせて考慮すると,需要者は,運転席用マットの本願意匠における,略逆「L」の字状の位置で,約8割の範囲である本願部分と,引用意匠の右半分に当たる運転席部分における略逆「L」の字状の位置で,運転席部分において約8割の範囲である引用部分とでは,位置及び範囲は共通していると認識するものと認められる。

(3)両部分の形態について
両部分の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(3-1)共通点
(A)基本的構成態様において,全体が薄いマット状で,(B)平面視によると,略横長長方形の本体部と,本体部上方から延設した凸部分(以下「上凸部」という。)と,本体部左方から延設した凸部分(以下「左凸部」という。)から成るものであり,具体的態様としては,(C)本体部の下辺につき,左から順に水平状,傾斜状及び水平状とし,(D)本体部の右側上辺を水平状とし,(E)上凸部の右辺下部を略「く」の字状に突出させ,(F)上凸部の左辺の一部がへこんでいる点,(G)本体部の下辺は,短鉛直状部分を介して,左凸部の水平状下片につながる(よって,両部分の下辺全体では,請求人のいう「下方の輪郭線を左端から順に水平線状,短垂直線状,水平線状,斜線状,水平線状としている」という状態になっている。)という点,において共通している。

(3-2)相違点
それに対して,具体的態様において,
(a)本体部の長さに対する上凸部の長さにつき,本願部分は,約1:0.5であるのに対して,引用部分は,約1:0.7である点,
(b)本体部の横幅(本体部(下辺)と左凸部(下辺)をつなぐ「短鉛直状部分」から本体部右端までの長さ)に対する本体部下辺の傾斜状部分の横幅につき,本願部分は,約15分の1であるのに対して,引用部分は,約6分の1である点,
(c)本体部の右辺につき,本願部分は,略上半分を極僅かに左に傾斜させているのに対して,引用部分は,上側約5分の2を大きく左に傾斜させている点,
(d)ヒールパッドにつき,本願部分には設けていないのに対して,引用部分は,本体右上に大きな横長長方形のものが設けてある点,
で主な相違が認められ,加えて,
(e)上凸部における右辺につき,本願部分は,右辺の下側約2分の1部分を,約1:2の長さ比で,急な屈曲部と傾斜部で「く」の字を構成しているのに対して,引用部分は,下側約5分の2部分を,約3:2の長さ比で,緩い傾斜部と鉛直部で「く」の字を構成している点,
(f)上凸部の左辺のへこみの形状につき,本願部分は,上側が約4分の3,下側が約4分の1の長さの略「く」の字状のへこみであるのに対して,引用部分は,緩やかな弓なり形状のへこみで,比較的大きな円弧で上凸部上辺につながっている点,
(g)左凸部の上辺につき,本願部分は,(フットレスト部分左辺につながる)放物線状の下端部分で,放物線状凹曲線であるのに対して,引用部分は,(フットレスト部分下端につながる)S字状の凹凸曲線である点,
で相違が認められる。

(4)類否判断
両部分の形態を比較した場合,共通点(A),(B),(D)及び(G)は,この種物品において既に極普通にみられる態様であるから,これらの共通性をもって両部分の類否判断を決することはできない。
共通点(C),(E)及び(F)は,特徴的で,これらの共通点によって,両部分に僅かな共通感をもたらしている。
しかし,共通点(C),(E)及び(F)に関わる部分の形態をより詳細に検討すると,上記の相違点(b),(e)及び(f)が認められる。
すなわち,共通点(C)に関わる部分には,相違点(b)の相違があり,そこに若干の別異な印象を生じさせており,共通点(E)に関わる部分には,相違点(e)の相違があり,概略で同じ「く」の字状の突出といえども,具体的な形状は異なり,その部分に別異な印象を生み出しており,共通点(F)に関わる部分には,相違点(f)の相違があり,この相違により,上凸部左辺の印象は異なる。
そうすると,共通点(C),(E)及び(F)に関わる部分には,詳細に検討すれば,その共通感を覆すほどの相違が認められ,これらの各部の相違点に,主な相違点である相違点(a)及び(c)を加えると,全ての共通点から醸し出される共通感を超える異なった印象を与えるものであるから,相違点(g)を加えるとなお,相違点がもたらす印象は,共通点がもたらす印象をしのいでおり,見る者に両部分の形態が別異であると認識させるものである,と認められる。
したがって,両意匠の意匠に係る物品は共通し,両部分の用途及び機能が一致し,位置,大きさ及び範囲が共通しているが,両部分の形態は,上記検討のとおり類似しないから,両意匠は,類似しないものといえる。

4.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-02-14 
出願番号 意願2016-12252(D2016-12252) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長谷川 翔平竹下 寛 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2018-03-30 
登録番号 意匠登録第1602444号(D1602444) 
代理人 牛木 護 
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