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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C3 |
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管理番号 | 1371761 |
審判番号 | 不服2020-11770 |
総通号数 | 256 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-08-24 |
確定日 | 2021-03-09 |
意匠に係る物品 | カーペットクリーナー用スタンド |
事件の表示 | 意願2019- 24690「カーペットクリーナー用スタンド」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 理 由 第1 手続の経緯 令和 1年11月 6日 意匠登録出願 令和 2年 4月 6日付け 拒絶理由通知書 令和 2年 5月15日 意見書提出 令和 2年 6月25日付け 拒絶査定 令和 2年 8月24日 審判請求書提出 第2 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和1年(2019年)11月6日の意匠登録出願(意願2019-24690号)であって、その意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「カーペットクリーナー用スタンド」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は、願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであって、「実線で表された部分が、意匠登録を受けようとする部分である。斜視図、A-A線断面図、B-B線断面図、及び実線部分の拡大斜視図を含めて、意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(以下、本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」といい、本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は、 「特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1287219号 「カーペットクリーナースタンド」の意匠 (主な類否判断の対象となるのは、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分です。)」(以下、引用意匠の本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分を「引用部分」という。)であって、その形態は、同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 第4 対比 両意匠の対比に当たって、本願意匠の図面の向きに引用意匠の図面の向きを合わせて認定する。 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は、「カーペットクリーナー用スタンド」であるのに対し、引用意匠の意匠に係る物品は、「カーペットクリーナースタンド」であって、表記は異なるが、共に、カーペットクリーナーを支持し、収納するものであるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致するといえる。 2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、共にカーペットクリーナー用スタンドの上面中央に設けられた窪み部分であって、その用途及び機能は、カーペットクリーナーをカーペットクリーナー用スタンドに収納する際に、カーペットクリーナーの持ち手部のカーペットクリーナー側の端部を配置し、窪み部にはめ入れて支持するものであるから共通する。 3 本願部分と引用部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部分は、カーペットクリーナーの持ち手部のカーペットクリーナー側の端部をスタンドに配置し、はめ入れて支持するものであって、平面視、カーペットクリーナー用スタンドの上面長手方向に設けられたスリット状開口部の中央部分に向かい合った配置で設けられたものであるから、その位置は共通し、持ち手部のカーペットクリーナー側の端部を配置し、はめ入れるものであるから、その大きさも共通するが、本願部分は、平面視で全体の縦幅の約3.5分の1で、全体の横幅の約9分の1の範囲占めているのに対し、引用部分は平面視で全体の縦幅の約3.5分の1で、全体の横幅の約8分の1の範囲を占めていることから、範囲については相違する。 4 本願部分と引用部分の形態の対比 両部分の形態を対比すると、主として、以下の共通点と差異点が認められる。 (1)共通点 基本的構成態様として、 (A)平面視、長手方向に設けられたスリット状開口部の中央部分の両側に向かい合って上下対称に設けられた、当該開口部を除く外周が略円形となるような、略半円形状の窪み部である点が共通し、 具体的構成態様として、 (B)上下対称に設けられた、略半円形状の窪み部の縦横の長さ比率は、それぞれ、約1:3である点が共通する。 (2)相違点 具体的構成態様として、 (a)窪み部の内壁面について、本願部分はA-A線断面図及びB-B線断面図などから、鉛直方向に立ち上がった内壁面であると認められ、窪み部のスリット状開口部側の端部においても、角張ったものであると認められるのに対し、引用部分は、全体の斜視図によって破線部で表されるのみで、内壁面の形態は不明であって、スリット状開口部側の端部においては、正面図などから丸みを持って形成されていると推認できる点、 (b)窪み部の内側底面について、本願部分は、拡大斜視図、A-A線断面図及びB-B線断面図などから、水平方向の平坦面であるのに対し、引用部分は、全体の斜視図によって破線部で表されるのみで、詳らかではなく、おおむね平坦面と推認し得るものの、縁部側の具体的形態は不明である点が相違する。 第5 類否判断 以上の一致点、共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 なお、両意匠はそれぞれ2つの部分から成るが、機能的一体性及び形態的一体性をもって形成されたものであるから、一意匠として認められ、互いに対比可能なものである。 1 意匠に係る物品 前記、第4の1(1)のとおり、両意匠の意匠に係る物品は、一致するといえるから同一である。 2 用途及び機能 両部分は、カーペットクリーナーの持ち手部のカーペットクリーナー側の端部を配置し、窪み部にはめ入れて支持するものであって、主たる用途及び機能が共通するから類似する。 3 位置、大きさ及び範囲の評価 両部分は、位置及び大きさが共通し、範囲が相違するが、占める範囲の相違は、僅かな相違でもあるから、この点が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。 4 両部分の形態の評価 (1)形態の共通点の評価 本願意匠に係る「カーペットクリーナー用スタンド」は、主に、上側若しくは斜め上側から見下ろすものであり、基本的構成態様としてあげた共通点(A)は、需要者が主に観察する上側からの両部分の共通点であるが、概括的共通点にとどまり、共通点(B)は、「カーペットクリーナー用スタンド」の物品分野において、スリット状開口部の中央部分に設けられた外周が略円形となるような、略半円形状部分の縦横長さ比率として、格段珍しいものではなく、この点が両部分の類否判断に与える影響は小さいものである。 したがって、共通点(A)及び(B)の両部分の類否判断に及ぼす影響は、総じて小さく、共通点全体であいまっても、両部分の類否判断を決定付けるとはいえないものである。 (2)形態の相違点の評価 これに対して、相違点(a)及び相違点(b)は、具体的な窪み部の態様に関わる、両部分の内壁面及び内側底面の態様についての相違点であって、需要者は、カーペットクリーナーの収納に際しては、正しく収納されているかについて、持ち手部のカーペットクリーナー側の端部の配置状態を気にかけ、支持する具体的な窪み部の態様に注意を払うものであるから、本願部分について、窪み部の内壁面は、鉛直方向の内周壁面であり、内側底面は、水平方向の平坦面であると認められるのに対し、引用部分の内壁面及び内側底面の縁部側の具体的形態が不明である点は、類否判断に与える影響は大きく、窪み部のスリット状開口部側の端部が角張った態様であるか、丸みを持って形成されているものかの相違もあいまって、視覚的に両部分の印象は大きく異なり、これらの点が両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。 (3)形態の総合評価 そうすると、相違点(a)及び(b)は相違点の両部分の類否判断に及ぼす影響は、総じて大きいものであって、両部分の類否判断を決定付けるものであるのに対して、形態の共通点(A)及び(B)は、共通点の両部分の類否判断に与える影響は総じて小さく、相違点が共通点を凌駕し、両部分の類否判断を決定付けるものであるから、両部分は類似しない。 したがって、両意匠の意匠に係る物品は同一であり、両部分は、その用途及び機能、並びに位置及び大きさが共通し、範囲の相違が僅かなものだとしても、形態においては、両部分は類似せず、両部分の類否判断を決定付けるものであるから、本願意匠は引用意匠に類似しない。 第6 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-02-17 |
出願番号 | 意願2019-24690(D2019-24690) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 宇都宮 啓明 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 江塚 尚弘 |
登録日 | 2021-03-17 |
登録番号 | 意匠登録第1682636号(D1682636) |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |