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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H1
管理番号 1371765 
審判番号 不服2020-15160
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-30 
確定日 2021-03-09 
意匠に係る物品 コネクタ 
事件の表示 意願2019- 233「コネクタ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、意匠登録出願パリ条約による優先権(最初の出願:アメリカ合衆国、2017年9月28日)を主張する、意匠法第10条の2第1項の規定による意匠登録出願(原出願:意願2018-15439、出願日:平成30年(2018年)3月27日)であり、主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年 1月 9日 意匠登録願
令和 1年 6月 3日付け 拒絶理由通知書(1回目)
令和 1年 9月10日 手続補正書
令和 2年 2月14日付け 拒絶理由通知書(2回目)
令和 2年 5月20日 意見書
令和 2年 7月21日付け 拒絶査定
令和 2年10月30日 審判請求書

第2 本願意匠
本願は物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「コネクタ」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであり、願書の「意匠の説明」の欄には「各図には、物品の表面形状を表す影線を併せて付している。実線で表された部分(当審注:以下「本願部分」という。)が、部分意匠として登録を受けようとする部分である。」と記載されている(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は、側面視を扁平トラック形状、平面視を略正方形状のプロポーションとしたコネクタハウジングにおいて、相対する上下把持面の中央部に、全幅の半分程度の直径を有する円形の浅い球面状凹陥部を形成したことを特徴とするものと認められます。
しかしながら、コネクタハウジングの基本形状を本願意匠のような扁平トラック形状断面を呈する態様としたものは(意匠1)乃至(意匠3)において、中でも、ハウジングの平面視プロポーションを略正方形状としたものが(意匠2)及び(意匠3)において、この意匠登録出願前から公然知られています。また、ハウジングの把持面に浅い球面状凹陥部を形成したものは(意匠4)乃至(意匠5)において、中でも、ハウジングの上下両面に凹陥部を形成したものが(意匠5)において、この意匠登録出願前から公然知られています。加えて、ハウジング把持面の中央部に全幅の半分程度の直径を有するアクセント部を設けたものが(意匠1)及び(意匠3)において、この意匠登録出願前から公然知られています。
そうすると、この意匠登録出願の意匠は、コネクタの分野において公然知られた扁平トラック形状断面のコネクタハウジングを基本として、同じく同分野で公然知られた凹陥部形状を既知の配置手法を用いて組み合わせたまでに過ぎず、その他特段の着想の新しさや独創性の存在を認めることはできませんので、当業者であれば容易に創作できたものといわざるを得ません。
(中略)
(意匠1)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2014年12月16日
受入日 特許庁意匠課受入2015年 1月16日
掲載者 Amazon.com, Inc.
表題 Amazon.com: [Apple MFI
Certified] - Lightning
to USB Cable Sync & Cha

掲載ページのアドレス http://www.amazon.com/Apple-MFI-Certified-Ligh
tning-Charge/dp/B00OPN0ZBM/ref=zg_bsnr_3065060
11_5
に掲載された「共働的接続コネコター」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ26055536号)

(意匠2)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2012年10月 8日
受入日 特許庁意匠課受入2012年10月12日
掲載者 Best Buy Co., Inc.
表題 Other Image Views
掲載ページのアドレス http://www.bestbuy.com/site/olspage.jsp?id=cat
13506&type=page&skuId=5701264&productId=121868
6513846&defurl=false&viewtype=largeFrontView&h
=488
に掲載された「コネクター」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ24039684号)

(意匠3)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年7月9日に受け入れた
外国雑誌「SOUND & VISION 6号」
第30頁所載
「コネクター」(製品名 Metra Velox Ultra HD HDMI Cables)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HB27002710号)

(意匠4)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2011年12月 5日
受入日 特許庁意匠課受入2011年12月 9日
掲載者 株式会社エバーグリーン
表題 タイトルなし
掲載ページのアドレス http://www.donya.jp/site_data/cabinet/item/mt2
011111301-1.jpg
に掲載された「電気コネクター」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ23055612号)

(意匠5)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1043454号の意匠
(意匠に係る物品「電気接続器」)」

第4 当審の判断
以下、本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、本願意匠が、この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。

1 本願意匠(別紙第1参照)
本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は「コネクタ」であり、本願の願書及び願書に添付した図面の記載によれば、本願物品は、様々な種類のメディアプラグを、メディア再生機などの端末に接続するために使用されるものである。
部分意匠として意匠登録を受けようとする本願部分は、実線で表された部分であり、本願意匠から端子部を除く部分であるから、本願部分の用途及び機能は、本願物品の用途及び機能のうち端子に係る用途及び機能を除いたものである。
本願部分の形態は、次のとおりである。
(1)全体について
全体の形状は、平面視略正方形状で厚みのやや薄い本体部、本体部の右側面中央から突出した略円柱形のネック部、及びネック部右側面中央から連続する丸紐状のコード部から成る。
(2)本体部の形状
本体部は、左側面から見て、略横長トラック形状であり、平面及び底面の中央に、本体部の縦幅(及び横幅)の約1/2の径を有する円形状凹みがあり、その円形状凹みは凹球面状に形成されている。
(3)ネック部の形状
ネック部は、平面から見て、横幅が本体部の横幅の約1/2であり、縦幅が本体部の縦幅の約1/3である。
(4)コード部の形状
コード部はネック部よりも細く、平面から見たコード部の長さ(実線部分):本体部の横幅の比は、約2.6:1である。

2 意匠1ないし意匠5
原査定における拒絶の理由で引用された意匠1ないし意匠5について、以下のとおり認定する(本願意匠の向きに合わせて認定する)。なお、意匠1ないし意匠5の出典や公知日などについては、前記第3に記載したとおりである。
(1)意匠1(別紙第2参照)
意匠1の意匠に係る物品は「共働的接続コネクター」であり、本願部分に対応する意匠1の部分(以下「意匠1部分」という。)は、本体部、ネック部及びコード部である。なお、意匠1が掲載されたURLには2つのコネクターが現されているところ、意匠1部分の形態については、本体部の正面視形状がより正方形に近い下側のコネクターを対象にして認定する。
意匠1部分は、意匠1から端子部を除く部分であるから、意匠1部分の用途及び機能は、「共働的接続コネクター」の用途及び機能のうち端子に係る用途及び機能を除いたものである。
意匠1部分の形態は以下のとおりである。
ア 全体について
全体の形状は、平面視略横長長方形状(縦横比は約4:5)で厚みのやや薄い本体部、本体部の右側面から突出した略円柱形のネック部、及びネック部右側面から連続する丸紐状のコード部から成る。
イ 本体部の形状
本体部は、左側面から見て、略横長トラック形状であると推認され、平面及び底面の中央に、本体部の横幅の約2/5の径を有する略円形状レリーフ模様があり、そのレリーフ模様はごく浅く形成されている。
ウ ネック部の形状
ネック部は、平面から見て、横幅が本体部の横幅の約1/5であり、縦幅が本体部の縦幅の約1/2.5である。
エ コード部の形状
ネック部よりも細いコード部は途中で途切れており、現れている範囲内の(軸中央の)長さ:本体部の横幅の比は、約1.3:1である。

(2)意匠2(別紙第3参照)
意匠2の意匠に係る物品は「コネクター」であり、本願部分に対応する意匠2の部分(以下「意匠2部分」という。)は、本体部、ネック部及びコード部である。
意匠2部分は、意匠2から端子部を除く部分であるから、意匠2部分の用途及び機能は、「コネクター」の用途及び機能のうち端子に係る用途及び機能を除いたものである。
意匠2部分の形態は以下のとおりである。
ア 全体について
全体の形状は、平面視略縦長長方形状(縦横比は約8:7)で厚みのやや薄い本体部、本体部の右側面から突出した略円柱形のネック部、及びネック部右側面から連続する丸紐状のコード部から成る。
イ 本体部の形状
本体部は、左側面から見て、略横長トラック形状であると推認され、左端部寄りに幅の狭い別部材(紫色)が嵌まっている。
ウ ネック部の形状
ネック部は、平面から見て、横幅が本体部の横幅の約1/9であり、縦幅が本体部の縦幅の約1/4である。
エ コード部の形状
ネック部よりも細いコード部は途中で途切れており、現れている範囲内の(軸中央の)長さ:本体部の横幅の比は、約1:2.5である。

(3)意匠3(別紙第4参照)
意匠3の意匠に係る物品は「コネクター」であり、本願部分に対応する意匠3の部分(以下「意匠3部分」という。)は、本体部、ネック部及びコード部である。なお、意匠3が掲載された文献には2つのコネクターが現されているところ、意匠3部分の形態については、軸方向で斜視に現れていない上側のコネクターを対象にして認定する。
意匠3部分は、意匠3から端子部を除く部分であるから、意匠3部分の用途及び機能は、「コネクター」の用途及び機能のうち端子に係る用途及び機能を除いたものである。
意匠3部分の形態は以下のとおりである。なお、本願意匠の向きに合わせて、上下を反転させて認定する。
ア 全体について
全体の形状は、平面視略横長長方形状(縦横比は約3:5)で厚みのやや薄い本体部、本体部の右側面から突出した略円柱形のネック部、及びネック部右側面から連続する丸紐状のコード部から成る。
イ 本体部の形状
本体部は、左側面から見て、略角丸横長長方形状であると推認され、平面及び底面の中央やや先端寄りに、本体部の横幅の約1/2の径を有する略円環状突起部があり、その内部(赤色)がごく浅く凹んで形成されている。
ウ ネック部の形状
ネック部は、平面から見て、横幅が本体部の横幅の約1/4.4であり、縦幅が本体部の縦幅の約2/3である。
エ コード部の形状
ネック部よりも細いコード部は途中で途切れており、現れている範囲内の(軸中央の)長さ:本体部の横幅の比は、約1.6:1である。

(4)意匠4(別紙第5参照)
意匠4の意匠に係る物品は「電気コネクター」であり、本願部分に対応する意匠4の部分(以下「意匠4部分」という。)は、本体部、ネック部及びコード部である。なお、意匠4が掲載されたURLには2つのコネクターが現されているところ、意匠4部分の形態については、正面形状がより大きく現れている下側のコネクターを対象にして認定する。
意匠4部分は、意匠4から端子部を除く部分であるから、意匠4部分の用途及び機能は、「コネクター」の用途及び機能のうち端子に係る用途及び機能を除いたものである。
意匠4部分の形態は以下のとおりである。
ア 全体について
全体の形状は、平面視略倒舌片状(縦横比は約2:3)で厚みのやや薄い本体部、本体部の右側面から突出した略円柱形のネック部、及びネック部右側面から連続する丸紐状のコード部から成る。
イ 本体部の形状
本体部は、左側面から見て、角部が斜めに切り欠かれた略横長長方形状であると推認され、平面及び底面のネック部寄りに、本体部の縦幅の約1/2の径を有する円形状凹みがあり、その円形状凹みは凹球面状に形成されている。また、正面及び背面の中央部から先端寄りに、横長矩形状の浅い凹部が形成されている。
ウ ネック部の形状
ネック部は、平面から見て、横幅が本体部の横幅の約1/4であり、縦幅が本体部の縦幅の約2/3である。
エ コード部の形状
ネック部よりも細いコード部は途中で途切れており、現れている範囲内の(軸中央の)長さ:本体部の横幅の比は、約4:1である。

(5)意匠5(別紙第6参照)
意匠5の意匠に係る物品は「電気接続器」であり、本願部分に対応する意匠5の部分(以下「意匠5部分」という。)は、本体部、ネック部及びコード部である。なお、意匠5が掲載された意匠公報には正面視左右2つの本体部などが現されているところ、意匠5部分の形態については、正面及び背面に凹部が形成されている右側のコネクターを対象にして認定する。
意匠5部分は、意匠5から端子部を除く部分であるから、意匠5部分の用途及び機能は、「コネクター」の用途及び機能のうち端子に係る用途及び機能を除いたものである。
意匠5部分の形態は以下のとおりである。なお、本願意匠の向きに合わせて、「正面図」を上下に反転させた図を「平面図」と認定し、他の図もこれに合わせて認定する。
ア 全体について
全体の形状は、平面から見て、右端が凸弧状に膨出して右端寄りの上端及び下端が内側に凹んでいる変形横長長方形状(縦横比は約2:3)であって厚みのやや薄い本体部、本体部の右側面中央から突出した略細長円錐台形のネック部、及びネック部右側面中央から連続する丸紐状のコード部から成る。
イ 本体部の形状
本体部は、左側面から見て、略角丸横長長方形状であり、平面及び底面の中央やや右寄りに、本体部の横幅の約1/3の横幅を有するやや横長の略長円形状凹みがあり、その略長円形状凹みは略凹球面状に形成されている。また、端子部が左側面に付いた正面視略縦長長方形の部分が、A-A′断面図によれば、前後に回動すると推認される。
ウ ネック部の形状
ネック部は、平面から見て、横幅が本体部の横幅の約1/2.4であり、最大縦幅が本体部の最大縦幅の約1/2である。
エ コード部の形状
コード部はネック部よりも細く、平面から見たコード部の長さ(省略部分を含む):本体部の横幅の比は、約39:1である。

3 創作非容易性の判断
「コネクタ」の意匠の物品分野において、本体部の形態について、平面及び底面に本体部の縦幅の約1/2の径を有する円形状凹みを設け、その円形状凹みを凹球面状に形成したものは、意匠4部分に見られるように本願の出願前に公然知られている。しかし、本願部分のように、本体部を平面視略正方形状として、円形状凹みの横幅も本体部の横幅の約1/2にする、すなわち、正方形の中心に正方形の1辺の約1/2の径の円形状凹みを設けた形態は、本願部分に特有の形態であって、当業者が意匠4部分の形態を採用してその形態を容易に創作することができたということはできない。
そして、本願部分の本体部は左側面視略横長トラック形状であるところ、平面視略正方形状でありかつ左側面視略横長トラック形状である本体部は、意匠2部分が最も近い形態であるといえるが、意匠2部分は平面視では縦横比が約8:7である略縦長長方形状であって略正方形ではなく、左端部寄りに幅の狭い別部材が嵌まっていることも踏まえると、意匠2部分の本体部の形態をそのまま採用して当業者が本願部分の形態を容易に創作することができたということはできない。
加えて、ネック部の横幅が本体部の横幅の約1/2であり、ネック部の縦幅が本体部の縦幅の約1/3である本願部分の形態は、意匠1部分ないし意匠5部分の形態とは異なるから、当業者が意匠1部分ないし意匠5部分の形態に基づいてその形態を容易に創作することができたということはできない。
したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2021-02-17 
出願番号 意願2019-233(D2019-233) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 宏幸松田 光太郎 
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 濱本 文子
小林 裕和
登録日 2021-03-19 
登録番号 意匠登録第1682816号(D1682816) 
代理人 大塚 雅晴 
代理人 中谷 剣一 
代理人 山田 卓二 
代理人 岡部 博史 
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