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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 J7
管理番号 1373837 
審判番号 不服2020-15294
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-04 
確定日 2021-05-11 
意匠に係る物品 経腸栄養チューブ用接続具 
事件の表示 意願2019-23728「経腸栄養チューブ用接続具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和1年(2019年)10月25日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和2年 3月25日付け:拒絶理由の通知
令和2年 5月11日 :意見書の提出
令和2年 6月 1日付け:拒絶理由の通知
令和2年 7月13日 :意見書の提出
令和2年 7月27日付け:拒絶査定
令和2年11月 4日 :審判請求書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「経腸栄養チューブ用接続具」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。断面図を含めて『部分意匠として意匠を受けようとする部分』を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由(令和2年6月1日付け)は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「接続具の分野において,分岐部に略三角形の板状部材を設けることは,本願出願前よりごく一般的に見受けられ(例えば下記の意匠1,意匠2)ます。
そうすると,本願出願前より公然知られた経腸栄養チューブ用接続具(下記の意匠3)の分岐部に,本願出願前よりごく一般的に見受けられる手法により,略三角形の板状部材を設けたにすぎない本願の意匠は,当業者であれば容易に創作することができたものです。

意匠1(当審注:別紙第2参照)
大韓民国意匠商標公報 2018年 4月 6日
医療用コネクタ(登録番号30-0951515)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH30408746号)

意匠2(当審注:別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2018-118096
[図1]において『Yコネクタ又は血流停止バルブ』として表された『医療用コネクタ』の意匠

意匠3(当審注:別紙第4参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2002-028224
[図1]において表された『経腸栄養チューブ用接続具』の意匠」

第4 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.本願意匠の認定
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,経腸栄養チューブ用接続具である。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,略Y字状の経腸栄養チューブ用接続具のうち,二股に分かれた2つのポートの間に設けられた三角形の板状部分であって,その位置は,二股に分かれた2つのポートの間で,本願部分の大きさ及び範囲は,二等辺三角形の頂角を挟む2辺(二等辺三角形における底辺以外の辺。以下「等辺」という。)が,二股に分かれた2つのポートとほぼ同じ長さの三角形の板状部分の大きさ及び範囲であって,チューブに取り付けられたクランプ等が本物品の2つのポートの間にはまり込まないようにする,という用途及び機能を有している。

(3)本願部分の形状
ア.頂角が約80度の,頂角の角を丸くした略二等辺三角形状である。
イ.底辺が,二股に分かれた2つのポートの先端におおむね接するようにしたものである。
ウ.底辺の中央における断面形状は,A-A線断面図によると半円形である。

2.本願意匠の創作の容易性について
接続具の分野において,二股に分かれた分岐部に略三角形の板状部材を設けることは,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
しかし,この場合の部材の用途及び機能は,分岐部の補強であると推認される。
それに対して,本願部分は,チューブに取り付けられたクランプ等が本物品の2つのポートの間にはまり込まないようにするためのものであり,そのために,等辺の長さが二股に分かれた2つのポートとほぼ同じ長さとし,底辺が二股に分かれた2つのポートの先端におおむね接するようにしたものであり,ポートの先端付近で,クランプ等が板状部材と干渉して,侵入を妨げることにより,本願意匠の用途及び機能を有する。
このように,チューブに取り付けられたクランプ等が本物品の2つのポートの間にはまり込まないようにするための用途及び機能を達するための形状として,二股に分かれた分岐部に位置する板状部材における等辺の長さを二股に分かれた2つのポートとほぼ同じ長さとし,底辺が二股に分かれた2つのポートの先端におおむね接するように略二等辺三角形状とした創作が,容易であったと認めるに足る証拠はない。
よって,本願部分の形状は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとはいえない。

3.結び
したがって,本願意匠は,原審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-04-15 
出願番号 意願2019-23728(D2019-23728) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 杏子 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2021-05-27 
登録番号 意匠登録第1687749号(D1687749) 
代理人 特許業務法人創成国際特許事務所 

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