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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7 |
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管理番号 | 1375916 |
審判番号 | 不服2020-15063 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-10-29 |
確定日 | 2021-03-26 |
意匠に係る物品 | カテーテル用コネクタ |
事件の表示 | 意願2019-24739「カテーテル用コネクタ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の主な経緯 本願は,令和1年(2019年)11月6日の意匠登録出願であって,令和2年3月30日付けの拒絶理由の通知に対し,同年5月8日に意見書が提出されたが,同年7月27日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年10月29日に手続補正書を提出の上,拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「カテーテル用コネクタ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 著者の氏名 新居 浩平 他 表題 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会 JNET / 脳血管内治療 Journal Home Page 掲載箇所 HyperForm balloon microcatheterはワンタッチスライド開閉機能が付いたYコネクターのホイール操作で拡張される 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 平成25年11月 検索日 [令和2年3月23日検索] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス http://www.jnet-ejournal.org/backnumber/7-5/pdf/7-5-307.pdf に「グッドテックYコネクターセット Type Okay II」として掲載されたカテーテル用コネクタの意匠 第4 当審の判断 1.本願意匠 本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「カテーテル用コネクタ」である。 (2)本願意匠の形状 ア.本願意匠は,上から順に,オープナ用ハンドル部,キャップ部,管部及びコネクタ部から成るものである。 イ.管部は,全長の約2分の1の長さの主管に,主管の下から約3分の1の箇所から斜め上に延びる分岐管を設けて成っている。 ウ.主管は,上端の約5分の1を逆円錐台状としており,逆円錐台状部分の下端から漸次僅かに裾広がりになっている。 エ.主管と分岐管の間(狭い側)には,底辺が曲線状の略二等辺三角形の補強用リブ板を設けている。 オ.オープナの上端に設けた略円形板状のハンドル部は,周面に略半円柱状の6つの突起を有し,上面はなだらかに傾斜している。 カ.キャップ部の高さは,キャップ部の直径の約6割である。 キ.キャップ部の周面は,上側約3分の2の箇所に,縦長長方形の偏平な四角錘台形状の凸部を複数個設け,下側約3分の1の箇所に,凸部と左右の位置を合わせて,横長長方形の凹部を設けている。 ク.コネクタ部の高さは,コネクタ部の直径の2倍弱である。 ケ.コネクタ部の周面は,上端寄りに,小さな横長長方形の凹部が2つ一組で接しており,それが四組設けてある。そして,その凹部の下から,コネクタ部の下端まで4本の垂直突条部を設けている。 2.引用意匠 引用意匠は,上記「第3」のインターネットの内容によると,以下のとおりである。 なお,引用意匠の認定に際しては,本願意匠と同じ向きとして認定する。 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は「カテーテル用コネクタ」である。 (2)引用意匠の形状 ア.引用意匠は,上から順に,オープナ用ハンドル部,キャップ部,管部及びコネクタ部から成るものである。 イ.管部は,全長の約2分の1の長さの主管に,主管の下から約3分の1の箇所から斜め上に延びる分岐管を設けて成っている。 ウ.主管は,上端に扁平な円盤状の突部を設けており,下側半分を漸次僅かに裾広がりにしている。 エ.オープナの上端に設けたハンドル部は,板状である。 オ.キャップ部の高さは,キャップ部の直径とほぼ同じである。 カ.コネクタ部の高さは,コネクタ部の直径の2倍弱である。 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品も,引用意匠に係る物品も,共に「カテーテル用コネクタ」である。 (2)両意匠の形状の対比 両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 ア.共通点について (ア)両意匠共に,上から順に,オープナ用ハンドル部,キャップ部,管部及びコネクタ部から成るものである。 (イ)管部は,全長の約2分の1の長さの主管に,主管の下から約3分の1の箇所から斜め上に延びる分岐管を設けて成っている。 (ウ)主管は,下側を漸次僅かに裾広がりにしている。 (エ)オープナの上端に設けたハンドル部は,板状である。 (オ)コネクタ部の高さは,コネクタ部の直径の2倍弱である。 イ.相違点について (ア)主管の上端部形状につき,本願意匠は,約5分の1の長さの部分を逆円錐台状としているのに対して,引用意匠は,扁平な円盤状の突部としている。 (イ)主管の全体形状につき,本願意匠は,上端の逆円錐台状部分の下端から漸次僅かに裾広がりになっているのに対して,引用意匠は,下側半分を漸次僅かに裾広がりにしている。 (ウ)主管と分岐管の間のリブ板につき,本願意匠は,底辺が曲線状の略二等辺三角形のものを設けているのに対して,引用意匠は,設けていない。 (エ)オープナの上端に設けた板状のハンドル部の形状につき,本願意匠は,略円形で,周面に略半円柱状の6つの突起を有し,上面はなだらかに傾斜しているのに対して,引用意匠は,具体的な形状が不明確である。 (オ)キャップ部の高さにつき,本願意匠は,キャップ部の直径の約6割であるのに対して,引用意匠は,キャップ部の直径とほぼ同じである。 (カ)キャップ部の周面の形状につき,本願意匠は,上側約3分の2の箇所に,縦長長方形の偏平な四角錘台形状の凸部を複数個設け,下側約3分の1の箇所に,凸部と左右の位置を合わせて,横長長方形の凹部を設けているのに対して,引用意匠は,具体的な形状が不明確である。 (キ)コネクタ部の周面の形状につき,本願意匠は,上端寄りに,小さな横長長方形の凹部が2つ一組で接しており,それが四組設けてあり,その凹部の下から,コネクタ部の下端まで4本の垂直突条部を設けているのに対して,引用意匠は,具体的な形状が不明確である。 4.判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「カテーテル用コネクタ」であるから,一致している。 (2)両意匠における形状の評価 ア.共通点について 共通点(ア),同(イ)及び同(エ)は,カテーテル用コネクタにおいて通常の形状の一つと認められ,両意匠のみの特徴とは認められないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 共通点(ウ)は,本の僅かな広がりであるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 共通点(オ)は,使用時にカテーテルをつなぐ箇所であり,需要者にとって注意を引く箇所といえるが,具体的には,相違点(キ)の相違が存在するものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 イ.相違点について 相違点(ア)は,大きく突出しているキャップ部の直下に位置する箇所の相違であって,需要者にとって見えにくい部分であるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 相違点(イ)は,注視しなければ気付かないほどの僅かな相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 相違点(ウ)は,二股部分にリブ板を設けることも,設けないことも普通に行われている形状であり,両意匠それぞれの特徴とはいえず,かつ,小さな部分の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 相違点(エ)は,使用時に手で操作する部分であるから,需要者にとって注意を引く箇所といえ,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(オ)及び同(カ)は,使用時に操作する部分であり,目に付きやすい大きな部品における相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(キ)は,使用時に操作する部分であり,端部の目に付きやすい大きな部品における相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (3)両意匠における形状の類否判断 以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響が,小さいものであり,この共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(エ)ないし(キ)によって,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。 そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとは認められない。 (4)両意匠における類否判断 よって,両意匠は,意匠に係る物品が一致しているが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。 5.結び したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-03-11 |
出願番号 | 意願2019-24739(D2019-24739) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | ▲高▼橋 杏子 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2021-07-30 |
登録番号 | 意匠登録第1692892号(D1692892) |
代理人 | 小松原 寿美 |