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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 J7 |
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管理番号 | 1376818 |
審判番号 | 不服2021-4384 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-04-05 |
確定日 | 2021-08-24 |
意匠に係る物品 | 医療用コネクタ用キャップ |
事件の表示 | 意願2020-5402「医療用コネクタ用キャップ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の主な経緯 本願は,令和2年(2020年)3月19日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和2年 9月16日付け:拒絶理由の通知 令和2年11月 9日 :意見書の提出 令和2年12月23日付け:拒絶査定 令和3年 4月 5日 :審判請求書の提出 令和3年 4月13日付け:手続補正指令 令和3年 5月14日 :手続補正書の提出 令和3年 6月16日 :電話応対 令和3年 7月12日 :上申書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「医療用コネクタ用キャップ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。断面図を含めて『部分意匠として意匠登録を受けようとする部分』を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原審の拒絶の理由 原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠に係るキャップの分野においては,キャップの開口部に内側方向のフランジを設け,フランジを略等間隔の凹凸状とするような態様は,下記の意匠1のように,本願出願前より見受けられます。 そうすると,本願出願前より公然知られた下記の意匠1の態様を,医療用コネクタ用キャップに表したに過ぎない本願の意匠は,当業者であれば,容易に創作することができたものです。 意匠1(当審注:本審決においては,別紙第2参照) 大韓民国意匠商標公報 2016年12月 6日 化粧品の包装用キャップ(登録番号30-0884186)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH28450736号)」 第4 当審の判断 以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1.本願意匠の認定 (1)本願意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「医療用コネクタ用キャップ」といい,注射器などの器具と医療用チューブなどを接続して薬液を混注するために用いられる医療用コネクタに用いるキャップである。 (2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,キャップにおける雌ネジを形成した内周面の下端の位置に設けた凹凸部である。 本願部分は,キャップの内径を100とすると,直径で100?120の範囲で,高さ(深さ)が約5の大きさ及び範囲であって,本願意匠を成形する際に形作るものであって,キャップにおける凹凸部としての特段の用途や機能は無いものである。 (3)本願部分の形状 本願部分の形状は,キャップの内径を100とした場合,キャップの内側を,深さを約5で,直径で約107まで削り,なおかつ,等間隔に6か所を,周方向の長さを全周の約1/12で,直径を約120まで削って,凹凸とした形状である。 2.引用意匠の認定 (1)本願意匠の意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は,化粧品の包装用キャップである。 (2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能 引用意匠に係る物品のうち,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)は,外キャップと内キャップから成るキャップの,外キャップにおいて下端面の内側の位置に設けた凹凸部である。 引用部分は,外キャップの内径を100とすると,直径で105?114の範囲で,高さ(深さ)が約24の大きさ及び範囲であって,外キャップからの回転する力を有効的に内キャップに伝えるという用途及び機能を有している。 (3)引用部分の形状 引用部分の形状は,外キャップの内径を100とした場合,外キャップの内側を,深さを約24で,直径で約105まで削り,なおかつ,等間隔に6か所を,周方向の長さを全周の約1/12で,直径を約114まで削って,凹凸とした形状である。 3.本願意匠の創作の容易性について (1)出願前に公然知られた形状 本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる形状は,以下のとおりである。 意匠1より,化粧品の包装用キャップにおいて, 外キャップと内キャップから成るキャップの,外キャップの内径を100とした場合,外キャップの内側を,深さを約24で,直径で約105まで削り,なおかつ,等間隔に6か所を,周方向の長さを全周の約1/12で,直径を約114まで削って,凹凸とした形状。 (2)本願意匠の創作の容易性について 本願部分は,「医療用コネクタ用キャップ」における,雌ネジを形成した内周面の下端の位置に設けた凹凸部であって,キャップにおける凹凸部としての特段の用途及び機能は無いものであるのに対して,引用部分は,外キャップと内キャップから成る「化粧品の包装用キャップ」における外キャップの下端面の内側の位置に設けた凹凸部であって,外キャップからの回転する力を有効的に内キャップに伝えるという用途及び機能を有しているところ,医療用コネクタ用キャップにおける雌ネジを形成した内周面の下端の位置に凹凸部を設けることが容易であると認めるに足る証拠はない。 そして,本願意匠に係る医療用コネクタの属する分野における通常の知識を有する者が,引用意匠である化粧品の包装用キャップを公然知ることができたと認めるに足る証拠はない。 よって,本願意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,本願の出願前の公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。 4.結び したがって,本願意匠は,原審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-08-03 |
出願番号 | 意願2020-5402(D2020-5402) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(J7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | ▲高▼橋 杏子 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2021-09-07 |
登録番号 | 意匠登録第1695674号(D1695674) |
代理人 | 特許業務法人創成国際特許事務所 |