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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 C5
管理番号 1377846 
審判番号 不服2021-2277
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-19 
確定日 2021-07-09 
意匠に係る物品 包装用箱付き調理器具 
事件の表示 意願2019-27875「包装用箱付き調理器具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は,令和1年(2019年)12月16日の意匠登録出願であって,令和2年6月29日付けの拒絶理由の通知に対し,同年8月5日に意見書が提出されたが,同年11月5日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和3年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用箱付き調理器具」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現したとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「包装用箱において,外側の筐体を略直方体形状の紙製の箱体とし,該箱体は,四周壁面の上方に閉塞時に蓋体となるフラップ部を形成した一般的に段ボール箱と呼ばれるもので,その内側に,外周を段ボール箱の形状に合わせて内装できる大きさで,中央に円形状の孔をあけたスペーサを形成したものが,本願意匠の出願前公然知られています【意匠1】。
同様に包装用箱に内装して用いるスペーサにおいて,外形を四角形とし,内側に円形状の孔をあけた段ボールを多数積層して,直方体の内側に円筒状の空洞を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠2】。
さらに,紙製からなり,円筒形状空洞内に食材を入れて容器本体ごと焚火にくべて燃やすことにより,加熱調理することができる調理器具が,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠3】。
本願意匠は,その出願前公然知られた【意匠1】ないし【意匠3】の意匠に基づき,当業者にとってありふれた手法を用いて,一の意匠としたまでのものにすぎませんから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。

【意匠1】(当審注:本審決においては別紙第2参照)
特許庁発行の公開実用新案公報記載
昭和61年実用新案出願公開第003275号
第2図に表された包装用箱とスペーサの意匠

【意匠2】(当審注:本審決においては別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2002-046781
【図6】(C)に表されたスペーサの意匠

【意匠3】(当審注:本審決においては別紙第4参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1607042号の意匠
(意匠に係る物品:紙製鍋)」

第4 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.本願意匠の認定
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,包装用箱付き調理器具である。
本願意匠は,調理器具及びそれを包装する箱のいずれもが,加熱調理する際の燃料となる紙でできているものであって,消費者は,調理器具が入った包装用箱をそのまま丸ごと焚火にくべて燃やすことにより,内包された食材を加熱調理することができるものである。
また,包装用箱内に収まっている調理器具内に食材を入れて梱包することにより,食材生産者から消費者へ食材を配送することもできるものである。

(2)本願意匠の創作内容
〔A〕本願意匠は,外側の箱体と,その中に入れた調理器具とから成るものである。
〔B〕箱体は,商品を配送するための包装用であり,かつ,収容した食材を加熱調理するための燃料となるものであって,その形状は,有底の略直方体で,四周壁面の上方に閉塞時に蓋となるフラップ部を形成したものである。
〔C〕調理器具は,収容した食材を加熱調理するための燃料となるものであって,外側の箱体に隙間なく収まるように,箱体の内側寸法に合わせた直方体状としたものである。
〔D〕当該調理器具は,中央に正円の穴を開けた長方形の板状材を多数積層したものであって,積層して形成する直方体の中央の円筒状の空洞は,食材を入れられるようになっている。

2.本願意匠の創作の容易性について
(1)出願前に公然知られた形状
本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる形状は,以下のとおりである。
ア.意匠1より,
(ア)外側の箱体と,その中に入れた内部充填材とから成るもの。
(イ)商品を配送するための包装用である箱体が,略直方体であって,四周壁面の上方に閉塞時に蓋となるフラップ部を形成したもの。
(ウ)収容した商品を安定保持するための内部充填材が,外側の箱体に隙間なく収まるように,箱体の内側寸法に合わせた板状としたもの。
イ.意匠2より,
収容した商品を安定保持するための内部充填材が,中央に正円の穴を開けた長方形の板状材を多数積層したものであって,直方体の中央に円筒状の空洞を形成したもの。
ウ.意匠3より,
全部を焚火にくべて燃やし,収容した食材を加熱調理するための燃料となる,有蓋有底略円筒状の調理器具。

(2)本願意匠の創作の容易性について
ア.上記(1)のア.及びイ.より,中央に正円の穴を開けた長方形の板状材を多数積層した結果,直方体の中央に円筒状の空洞を形成して,収容した商品を安定保持するための内部充填材とし,その内部充填材に合わせたサイズの包装用箱としたものであって,当該箱を略直方体とし,四周壁面の上方に閉塞地に蓋となるフラップ部を形成したものは,本願の出願前に公然知られた形状に基づいて容易に創作できるものと認められるが,これらの意匠に係る物品は包装用箱であって,全部を焚火にくべて燃やし,収容した食材を加熱調理するための燃料となる調理器具ではない。
よって,調理器具に属する分野の者が,本願の出願前に公然知られたこれらの意匠(意匠1及び意匠2)に基づいて,本願意匠を容易に創作することはできない。
イ.上記(1)のウ.より,全部を焚火にくべて燃やし,収容した食材を加熱調理するための燃料となる調理器具は,本願の出願前に存在するが,その形状は,有蓋有底略円筒状であり,本願意匠とは,その形状が大きく異なる。
よって,調理器具に属する分野の者が,本願の出願前に公然知られたこの意匠(意匠3)に基づいて,本願意匠を容易に創作することはできない。
ウ.以上のことより,消費者が,包装用箱をそのまま丸ごと焚火にくべて燃やすことにより,内包されていた食材を加熱調理するということを目的に作られた物品であって,食材を入れられるように円筒状の空洞を形成した,収容した食材を加熱調理するための燃料となる調理器具を,外側の箱体に隙間なく収まるように,箱体の内側寸法に合わせた直方体状とした点,及び,収容した食材を加熱調理するための燃料となる箱体を,略直方体であって,四周壁面の上方に閉塞時に蓋となるフラップ部を形成した点については,本願の出願前の公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。

3.結び
したがって,本願意匠は,原審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-06-23 
出願番号 意願2019-27875(D2019-27875) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (C5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 前畑 さおり 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2021-09-16 
登録番号 意匠登録第1696413号(D1696413) 
代理人 中村 仁 
代理人 土生 真之 
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