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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C1
管理番号 1377858 
審判番号 不服2021-3262
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-11 
確定日 2021-09-13 
意匠に係る物品 枕 
事件の表示 意願2019- 27921「枕」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和1年(2019年)12月17日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和2年 9月 9日付け :拒絶理由の通知
令和2年10月 7日 :意見書の提出
令和2年12月10日付け :拒絶査定
令和3年 3月11日 :審判請求書の提出
令和3年 3月11日 :手続補足書の提出
令和3年 6月24日付け :審尋
令和3年 7月 7日 :回答書の提出
令和3年 7月 7日 :手続補正書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「枕」としたものであって,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものであって,当該拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

「著者の氏名 Amazon.co.jp
表題 <<2個セット>>【人間工学に基づき開発されたイタリア
製まくら】オルトペディコ 枕 洗える「アンナブルー」ス
リープメディカル枕 ∞型ウレタンフォーム 体圧 分散ホ
テル枕 約75×45cm ジャンボサイズ エコテックス
100認証 枕 安眠 人気
掲載箇所 ホーム&キッチン>寝具>枕・抱き枕>枕
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2019年2月24日
検索日 [令和2年8月18日検索]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL:
https://www.amazon.co.jp/%E2%89%AA2%E5%80%8B%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88%E2%89%AB%E3%80%90%E4%BA%BA%E9%96%93%E5%B7%A5%E5%AD%A6%E3%81%AB%E5%9F%BA%E3%81%A5%E3%81%8D%E9%96%8B%E7%99%BA%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E8%A3%BD%E3%81%BE%E3%81%8F%E3%%82%89%E3%80%91%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B3-%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%80%8D-%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%AB%E6%9E%95-%E2%88%9E%E5%9E%8B%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0-%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9100%E8%AA%8D%E8%A8%BC/dp/B07NZFDFCV
に掲載された枕の意匠」

第4 当審の判断
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「枕」であって,平面及び底面の両面で使用することができ,願書に添付した図面中,使用状態を示す参考図(1)及び使用状態を示す参考図(2)に示されているように,高さH1又はH2の部分に頸部を当接するようにして使用するものである。
(2)形状
全体は,平面視横長長方形の偏平体であって,長さと幅の比率を約1対1.6という枕の分野においてはありふれた比率のもので,平面及び底面のやや後方(平面図でいえば上方)寄りを左右にわたり側面視で上下対称形の緩やかな弧状の凹部(以下,単に「凹部」ともいう。)とし,凹部を挟んで前方及び後方は,それぞれ端部へ向けて側面視上下対称に漸次厚みを増しながら端面を半円状に丸めた側面視横倒舌片形状の凸部(以下,前方の凸部を「前方凸部」といい,後方の凸部を「後方凸部」という。)としたものであって,前方凸部の高さ,凹部の厚み及び後方凸部の高さの比率は,長さ(側面の左右長さ)を10とした場合で約3対1.8対2.5である。

2 引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「枕用芯材」であり,この芯材に綿やカバーを用いて,初めて枕として使用できるものである。
なお,拒絶理由の通知において,引用意匠を前記第3のウェブサイトに掲載されている「枕」の意匠としている。しかし,この点につき,本件請求人(本願の出願人と同じ。)は,この誤記を正しく認定して,意見書にて意見を述べ,審判請求書にて請求理由を主張しているから,このまま継続して審理するものとする。
(2)形状
全体は,平面視横長長方形の偏平体であって,正確な比率は不明であるものの,枕の分野においてはありふれた長さと幅の比率のもので,平面及び底面のほぼ中央を左右にわたり側面視で上下対称形の緩やかな弧状の凹部(以下,単に「凹部」ともいう。)とし,凹部を挟んで前方及び後方(頭頂部側)は,それぞれ端部へ向けて上下対称に漸次緩やかな凸弧状で厚みを増しながら端面を半円状に丸めた側面視横倒舌片形状の凸部(以下,前方の凸部を「前方凸部」といい,後方の凸部を「後方凸部」という。)としたものであって,前方凸部の高さ,凹部の厚み及び後方凸部の高さの比率は,側面の左右長さを10とした場合で約2.3対0.6対2.3である。
なお,枕の分野においてはありふれた比率の平面視横長長方形である点と,凹部を左右にわたり設けたものである点は,原審で引用した写真における枕の形状や人物の頭の沈み具合と,一般常識により推認した。

3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「枕」であるのに対して,引用意匠の意匠に係る物品は「枕用芯材」である。
(2)形状
(2-1)共通点
共通点1:全体は平面視横長長方形の偏平体で,平面及び底面の中間部を左右にわたり凹部とし,凹部を挟んで前方及び後方は,それぞれ凸部としたものである。
共通点2:凹部は,側面視上下対称形の緩やかな弧状としたものである。
共通点3:前方凸部及び後方凸部は,側面視で,端部へ向けて上下対称に漸次緩やかな凸弧状で厚みを増しながら端面を半円状に丸めた横倒舌片形状としたものである。
(2-2)相違点
相違点1:長さと幅の比率について,本願意匠は,約1対1.6としたものであるのに対して,引用意匠は,正確な比率は不明である。
相違点2:側面視における具体的な寸法比について,本願意匠は,前方凸部の高さ,凹部の厚み及び後方凸部の高さの比率を,側面の左右長さを10とした場合で,約3対1.8対2.5としたものであるのに対して,引用意匠は,約2.3対0.6対2.3としたものであり,本願意匠は引用意匠と比べて,全体的に厚みが有り,凸部と凹部との高低差が小さいものである。
相違点3:凹部について,本願意匠は,やや後方寄りに設けたものであるのに対して,引用意匠は,ほぼ中央に設けたものである。
相違点4:凸部について,本願意匠は,前方凸部と後方凸部を異なる形状(大きさ)としたものであるのに対して,引用意匠は,前方凸部と後方凸部を同一の形状(大きさ)としたものである。

4 両意匠の類否
(1)意匠に係る物品について
本願意匠の意匠に係る物品は「枕」であるのに対して,引用意匠の意匠に係る物品は「枕用芯材」であって,この芯材に綿やカバーを用いて,初めて枕として使用できるものであり,本願意匠と引用意匠では使用目的や使用状態が異なるから,両意匠の意匠に係る物品は,異なる。
(2)形状について
(2-1)需要者
この種物品の需要者は,購入者や使用者であり,寝心地という観点から頸部が接する凸部や頭部が接する凹部に注目して全体形状を観察するものといえる。
(2-2)共通点の評価
共通点1は,全体の形状を概括したものであり,枕の分野においてはありふれたものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
共通点2は,凹部の形状のみを捉えたものであるし,両意匠だけに見られる特徴とはいえないから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
共通点3は,凸部の形状に係るものであり,一定の特徴が認められるが,具体的な形状としては相違点4を内包するものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
(2-3)相違点の評価
相違点1は,両意匠共に枕の分野においてはありふれた比率のものであり,その比率差に大差ないから,類否判断に及ぼす影響は,小さい。
相違点2は,相対的な相違であるが,両意匠を見比べればある程度気が付くものといえるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。
相違点3及び相違点4は,側面視において,本願意匠が左右非対称形,引用意匠が左右対称形として認識できるものであって,本願意匠については,向きによって使い勝手が異なることが視覚的に表れており,需要者に別異の印象をもたらすから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
(2-4)形状の類否
両意匠の形状の共通点及び相違点の評価は上記のとおりであって,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれを凌駕するものといえるから,両意匠の形状は類似しない。
(3)小括
そうすると,両意匠は,意匠に係る物品が異なり,形状についても類似しないから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。

5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2021-08-24 
出願番号 意願2019-27921(D2019-27921) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 上島 靖範
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2021-09-22 
登録番号 意匠登録第1696821号(D1696821) 
代理人 佐野 弘 

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