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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1378803 
審判番号 不服2021-8036
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-18 
確定日 2021-10-19 
意匠に係る物品 包装用袋 
事件の表示 意願2020-1479「包装用袋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,意願2020-1478号(不服2021-8035)の意匠を本意匠とする関連意匠に係る,令和2年(2020年)1月29日の意匠登録出願であって,同年10月1日付けの拒絶理由の通知に対し,同年11月20日に意見書が提出されたが,令和3年5月18日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年6月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用袋」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
特許庁発行の公開実用新案公報記載
昭和60年実用新案出願公開第146043号
第4図に表された吊り下げ袋の意匠の切り込みの部分

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用袋」である。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,包装用袋に設けた切り込みを含む部分である。
本願部分は,包装用袋の上辺に接しつつ,上辺中央に位置する,縦の長さが全体の約18分の1,横の長さが全体の約6分の1の横長長方形の大きさ及び範囲であり,吊し棒を差し込むという用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状
本願部分は,縦横比が約1対2の横長長方形であって,本願物品を吊すために吊し棒を挿入する孔の円に接する位置に鉛直方向の切り込みを設け,上端にて,左側は小円弧を,右側は大きな放物線状曲線を介して包装用袋の上辺につながっている。

2.引用意匠
引用意匠は,上記「第3」の公開実用新案公報の記載の内容によると,以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「吊り下げ袋」である。

(2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,吊り下げ袋に設けた切り込みを含む部分である。
引用部分は,吊り下げ袋の上辺に接しつつ,上辺中央に位置する,縦の長さが全体の約16分の1,横の長さが全体の約5分の1の横長長方形の大きさ及び範囲であり,パイプを差し込むという用途及び機能を有するものである。

(3)引用部分の形状
引用部分は,縦横比が約1対2の横長長方形であって,パイプ挿通孔から少し離れた位置に鉛直方向の切り込みを設け,上端にて,左側は小円弧を介して包装用袋の上辺につながり,右側は左側の小円弧より僅かに大きな円弧を介して吊り下げ袋の上辺につながっている。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「包装用袋」であり,引用意匠に係る物品は「吊り下げ袋」である。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比
本願部分は,包装用袋に設けた切り込みを含む部分であるのに対して,引用部分は,吊り下げ袋に設けた切り込みを含む部分である。
本願部分は,包装用袋の上辺に接しつつ,上辺中央に位置する,縦の長さが全体の約18分の1,横の長さが全体の約6分の1の横長長方形の大きさ及び範囲であるのに対して,引用部分は,吊り下げ袋の上辺に接しつつ,上辺中央に位置する,縦の長さが全体の約16分の1,横の長さが全体の約5分の1の横長長方形の大きさ及び範囲である。
そして,本願部分は,吊し棒を差し込むという用途及び機能を有するものであるのに対して,引用部分は,パイプを差し込むという用途及び機能を有するものである。

(3)両部分の形状の対比
両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)縦横比が約1対2の横長長方形である。
(イ)鉛直方向の切り込みを設けたものである。
(ウ)切り込みは,上端部にて,左右共に曲線を介して上辺につながっている。

イ.相違点について
(ア)切り込みの位置につき,本願部分は,本願物品を吊すために吊し棒を挿入する孔の円に接する位置であるのに対して,引用部分は,パイプ挿通孔から少し離れた位置である。
(イ)切り込みの端部の曲線につき,本願部分は,左側は小円弧を,右側は大きな放物線状曲線であるのに対して,引用部分は,左側は小円弧で,右側は左側の小円弧より僅かに大きな円弧である。

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠に係る物品は「包装用袋」であり,引用意匠に係る物品は「吊り下げ袋」であって,共に吊り下げた状態で内容物を保持するものであるから,共通する。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価
両部分共に,吊り下げた状態で内容物を保持するものに設けた切り込みを含む部分である。
本願部分は,包装用袋の上辺に接しつつ,上辺中央に位置する,縦の長さが全体の約18分の1,横の長さが全体の約6分の1の横長長方形の大きさ及び範囲であるのに対して,引用部分は,吊り下げ袋の上辺に接しつつ,上辺中央に位置する,縦の長さが全体の約16分の1,横の長さが全体の約5分の1の横長長方形の大きさ及び範囲であるから,本願部分と引用部分の位置は共通するが,本願部分と引用部分の大きさ及び範囲は異なる。
本願部分は,吊し棒を差し込むという用途及び機能を有するものであるのに対して,引用部分は,パイプを差し込むという用途及び機能を有するものであるから,本願部分と引用部分の用途及び機能は共通する。

(3)両部分における形状の評価
ア.共通点について
共通点(ア)は,意匠登録を受けようとする部分を定めるものと,それに伴うものであって,意匠の創作内容ではないから,両部分の形状に関する類否判断に関する評価はできない。
共通点(イ)及び(ウ)は,両部分の形状を概略的に捉えたときの共通点であって,具体的には相違点(ア)及び(イ)が含まれているものであるから,両部分の類否判断に与える影響は小さい。

イ.相違点について
相違点(ア)によって,吊し棒又はパイプを差し込む際に孔までの位置の違いにより,切り込みの位置が異なるという印象を与えるため,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(イ)によって,引用部分よりも,本願部分の方が左右非対称である印象が強く,両部分に別異な印象を与えると認められるため,両部分の形状の類否判断に与える影響は一定程度認められる。

ウ.小括
そうすると,両部分の形状については,その共通点及び相違点の評価に基づくと,上記のとおり,共通点は,類否判断に及ぼす影響は小さいのに対して,相違点によって類否判断に及ぼす影響は大きい又は一定度認められるものであり,両部分の形状は,類似するとは認められない。

(4)両意匠における類否判断
上記(1)ないし(3)をまとめると,以下のとおりである。
ア.両意匠は,意匠に係る物品が共通している。
イ.両部分の位置は共通するが,大きさ及び範囲は異なり,両部分の用途及び機能は共通する。
ウ.両部分の形状は,類似するとは認められないものである。
そして,ア.ないしウ.を総合して判断すると,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。

5.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似するとはいえず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-09-29 
出願番号 意願2020-1479(D2020-1479) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 重坂 舞 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2021-10-26 
登録番号 意匠登録第1699578号(D1699578) 
代理人 松井 宏記 
代理人 宗助 智左子 
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