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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 F4
管理番号 1380961 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-23 
確定日 2021-02-02 
意匠に係る物品 包装用箱 
事件の表示 意願2019−19915「包装用箱」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,意願2019−19911号(意匠登録第1656424号)の意匠を本意匠とする関連意匠に係る,令和1年(2019年)9月6日の意匠登録出願であって,令和2年2月26日付けの拒絶理由の通知に対し,同年4月6日に意見書が提出されたが,同年6月24日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年9月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様又は色彩の結合」を「形態」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「赤色に着色された部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。斜視図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び本意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。
そして,本願の願書に記載した本意匠である意願2019−19911号(意匠登録第1656424号)は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,令和1年9月6日に意匠登録出願され,その後,令和2年3月13日に意匠権の設定登録がされ,同年3月30日に意匠公報が発行されたものであって,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「赤色に着色された部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。斜視図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第2参照)。

第4 当審の判断
1.本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の,意匠に係る物品は「包装用箱」である。

(2)本願部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願意匠は,包装用箱の部分についての意匠であり,本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,包装用箱における正面の四周を僅かに除いた部分であり,包装用箱における正面の四周を僅かに除いた位置,大きさ及び範囲である。また,本願部分は,包装用箱において,包装されている物品の印象を,視覚を通じて伝える用途及び機能を有している。

(3)本願部分の形態
ア.全体が,横長長方形である。
イ.暗調子の地に,上端右寄りを中心にして,七重の年輪様の線模様で等圧線を,その中心から温暖前線及び寒冷前線を,中間調子で描いて全体を天気図様の模様として右上寄りに配置している。
ウ.丸めた髪を頭頂部に配した,いわゆるお団子ヘアの人物が,正面を向き,側頭部に右手を当てている様子を表した,抽象的な黒枠中抜き模様(やや太い黒い線で輪郭を描きその中を白色とした模様)を左下に配置している。

2.本意匠
(1)意匠に係る物品
本意匠の,意匠に係る物品は「包装用箱」である。

(2)本意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本意匠部分」といい,「本願部分」と併せて「両部分」という。)は,包装用箱における正面の四周を僅かに除いた部分であり,包装用箱における正面の四周を僅かに除いた位置,大きさ及び範囲である。また,本意匠部分は,包装用箱において,包装されている物品の印象を,視覚を通じて伝える用途及び機能を有している。

(3)本意匠部分の形態
ア.全体が,横長長方形である。
イ.暗調子の地に,上端右寄りを中心にして,七重の年輪様の線模様で等圧線を,その中心から温暖前線及び寒冷前線を,中間調子で描いて全体を天気図様の模様として右上寄りに配置している。
ウ.坊主頭のような髪形の人物が,横を向き,前頭部に左手を当てている様子を表した抽象的な中抜き模様を右寄りに配置している。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「包装用箱」である。

(2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の対比
両部分は,いずれも包装用箱における正面の四周を僅かに除いた部分であり,包装用箱における正面の四周を僅かに除いた位置,大きさ及び範囲である。また,両部分は,包装用箱において,包装されている物品の印象を,視覚を通じて伝える用途及び機能を有している。

(3)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると,以下に示す主な共通点及び相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)全体形状につき,横長長方形である。
(イ)暗調子の地に,上端右寄りを中心にして,七重の年輪様の線模様で等圧線を,その中心から温暖前線及び寒冷前線を,中間調子で描いて全体を天気図様の模様として右上寄りに配置している。
(ウ)頭部に手を当てている様子を表した抽象的な中抜きの人物模様を配している。

イ.相違点について
人物模様につき,本願部分は,お団子ヘアの人物が,正面を向き,側頭部に右手を当てている様子を黒枠で表したものを左下に配置しているのに対して,本意匠部分は,坊主頭のような髪形の人物が,横を向き,前頭部に左手を当てている様子を表したものを右寄りに配置している。

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「包装用箱」であるから,一致している。

(2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価
両部分は,いずれも包装用箱における正面の四周を僅かに除いた部分であり,包装用箱における正面の四周を僅かに除いた位置,大きさ及び範囲である。また,両部分は,包装用箱において,包装されている物品の印象を,視覚を通じて伝える用途及び機能を有しているから,一致している。

(3)両部分における形態の評価
ア.共通点について
共通点(ア)については,包装用箱において,ごく普通の形状といえ,両部分の類否判断に与える影響は小さい。
共通点(イ)については,共通点(ウ)と相まって,天気によって頭が不調になる人に対する商品であることを需要者に強く印象づけるものと認められ,包装用箱において,両意匠の出願前には見当たらない形態であって,両意匠において特徴的な形態といえ,一番目に付く箇所の共通点であるから,両部分の類否判断に与える影響は大きい。

イ.相違点について,具体的には,細々と相違があるが,共通点が相まって醸し出す共通感を覆すほどの相違とは認められず,両意匠が店舗内にて陳列されている場合には,需要者にとって,それほど大きな別異感が生じるわけでもないと考えられ,両部分の類否判断に与える影響は小さい。

ウ.両部分における形態の類否判断
以上のとおり,共通点(イ)及び同(ウ)が相まって,両部分の類否判断に与える影響は大きく,両意匠の類否判断を決するものといえるのに対して,相違点は,両部分の類否判断に与える影響は小さく,この相違点によっては,両部分の類否判断を決するものといえない。
よって,本願部分の形態と本意匠部分の形態は,部分における全体観察においては類似していると認められる。

(4)両意匠における類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が一致し,両部分の形態は類似するものであるから,本願意匠と本意匠とは類似する。
また,本願は,その他,意匠法第10条第1項の要件を充足していると認められる。

第5 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲




審決日 2021-01-18 
出願番号 2019019915 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (F4)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2021-03-05 
登録番号 1681763 
代理人 松井 宏記 
代理人 鈴木 行大 
代理人 宗助 智左子 

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