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審決分類 |
審判 査定不服 意7条一意匠一出願 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1380980 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-03-29 |
確定日 | 2021-10-29 |
意匠に係る物品 | イヤホン付イヤホンケース |
事件の表示 | 意願2019− 24140「イヤホン付イヤホンケース」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和1年(2019年)10月29日の意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和 2年 8月31日付け 拒絶理由の通知 令和 2年10月14日 意見書の提出 令和 2年10月19日 手続補足書の提出 令和 3年 1月 7日付け 拒絶査定 令和 3年 3月29日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「イヤホン付イヤホンケース」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって、物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「一点鎖線で囲んだ部分(参考正面図において薄墨で着色したイヤホン側の部分とイヤホンケース側の部分)が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原審の拒絶の理由及び引用意匠 原審の拒絶の理由は、この意匠登録出願は、経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとにされているものとは認められないので、意匠法第7条に規定する要件を満たしていないというものであり、具体的には以下のとおりである。 「この意匠登録出願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、(A)イヤホンの一部分、及び、(B)イヤホンケースを開いたときに表れるイヤホンケース本体側上面の一部分を、それぞれ意匠登録を受けようとする部分(以下、「請求部分」といいます。)としたものですが、(A)及び(B)の両部分は、イヤホンケースにイヤホンが収納された状態においても物理的に分離しており、また、(1)両部分に形態的な一体性が認められる場合、(2)両部分に機能的な一体性が認められる場合、若しくは、(3)ある用途及び機能を果たすための部分や、形態的なまとまりを有する部分を非請求部分としたものである場合のいずれにも該当しないため、この意匠登録出願は、(A)及び(B)をそれぞれ請求部分とする二つの意匠に係るものです。」 第4 当審の判断 1 意匠の認定 (1)本願意匠 ア 本願意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、ワイヤレスイヤホンと、その収納ケースからなる「イヤホン付イヤホンケース」である。 本願部分は、イヤホンケースの部分とイヤホンの部分に分離しているもので、具体的には以下のとおりである。 イ 本願部分の用途及び機能 イヤホンケースの部分は、イヤホンを収納して保護するイヤホンケース本体の上面であって、イヤホンの固定及びイヤホンの出し入れをし易くする用途及び機能を有する。 また、イヤホンの部分は、イヤホン本体の一部であって、イヤホンの機構を収容して保護する用途及び機能を有し、外装の一部を構成している。 ウ 本願部分の位置、大きさ及び範囲 (ア)イヤホンケースの部分 イヤホンケースの部分の位置は、本体上面で、その大きさ及び範囲は、上面視において、本体上面のうち、一点鎖線で囲われた約3割の範囲を占めるものである。 また、この面はイヤホンケースの底面に対して前方に約22度の傾斜をなしている。 (イ)イヤホンの部分 イヤホンの部分の位置は、イヤホンケース上面に収納された左右一対のイヤホン本体上面で、その大きさ及び範囲は、上面視において、イヤホン本体上面全体のうち、一点鎖線で略矩形状に囲われた約1割5分の範囲を占めるものである。 また、この面はイヤホンケースの底面に対して前方に約22度の傾斜をなしている。 エ 本願部分の形態 (ア)イヤホンケースの部分 イヤホンケースの部分の形態は、上面視において、全体が横長長円形状で、その内側において中心に対して左右対称に設けられた略楕円部を除いた、一点鎖線で囲われた略倒8字状のフラット面である。 (イ)イヤホンの部分 イヤホンの部分の形態は、上面視において、イヤホンケース上面に収納された2つのイヤホン本体の略弧状凸部のほぼ中央におけるフラット面である。 2 意匠法第7条における一意匠について 本願部分のように、意匠登録を受けようとする物品の部分が物理的に分離している場合、意匠登録出願が、意匠法第7条の要件を満たすには、意匠創作上の一体性が認められるか、あるいは、意匠登録を受けようとする物品の部分以外の「その他の部分」の機能及び用途におけるまとまり、または形態的なまとまりが必要とされる。 本願部分は、イヤホンケースの部分とイヤホンの部分の2箇所に分離し、その位置、大きさ及び範囲、並びに形態は、前記1(1)ウ及びエに示したとおりであって、イヤホンケースの部分とイヤホンの部分それぞれについてみた場合においては、両部分は、形態的一体性及び機能的一体性は見られない。 しかしながら、本願の意匠登録を受けようとする物品の部分以外の「その他の部分」は、イヤホンケース本体と蓋の部分、イヤホン部分、及び、イヤホンとイヤホンケースとの接合周辺の部分であり、これらはそれぞれに用途及び機能のまとまり及び形態的なまとまりを有する部分であると認められる。 そうすると、本願部分は、イヤホンケースの部分とイヤホンの部分の2箇所に物理的に分離しているものの、他の意匠と対比する際に対象となり得る一の意匠としてのまとまりがないとまでは否定することはできない。 よって、本願は、意匠法第7条に規定する要件を満たすものである。 3 むすび 以上のとおり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審においてさらに審理した結果、ほかに本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-10-13 |
出願番号 | 2019024140 |
審決分類 |
D
1
8・
52-
WY
(H7)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
上島 靖範 渡邉 久美 |
登録日 | 2021-11-10 |
登録番号 | 1700924 |
代理人 | 五味 飛鳥 |