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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K3
管理番号 1380983 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-17 
確定日 2021-11-24 
意匠に係る物品 水田作業機 
事件の表示 意願2020− 9047「水田作業機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和2年(2020年)5月7日の意匠登録出願であって,同年10月29日付けの拒絶理由の通知に対し,同年12月14日に意見書,手続補正書及び手続補足書が提出されたが,令和3年2月2日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年5月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「水田作業機」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「黄土色で着色した部分以外が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,この部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)とし,「底面図は重量物のため省略する。各図の表面全体に表された濃淡は,立体の表面形状を表わす濃淡である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものであって,当該拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1231741号(意匠に係る物品,乗用田植機)
の意匠における本願部分に相当する部分

第4 当審の判断
1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠に係る物品は「水田作業機」であり,機体の後方に苗植付装置等の水田作業装置を連結したものであって,作業者が運転台に乗って,水田を走行しながら動力で水田作業を行うものである。
(2)本願部分の用途及び機能
本願部分は,本願意匠に係る物品のうち,車体前端に設けたアーム部分と,その上端に取り付けた指標部分からなるものであり,アーム部分は畦越えやトラックへの上げ下ろしの際に引き手としての用途及び機能を有し,指標部分は田植作業時の走行位置を確認するための用途及び機能を有するものである。
(3)本願部分の位置,大きさ及び範囲
本願部分の位置,大きさ及び範囲は,車体前端における,物品の左右方向中央の,車体の下端付近から運転台の操作ハンドルの高さを少し超えた高さまでの位置及び大きさで,アーム部分と指標部分の全体に及ぶ範囲である。
(4)本願部分の形態
以下,本願部分の形態の認定においては,添付図面の左側面図に表れている,物品の前方から見た場合を正面視といい,正面図と背面図に表れている,物品の側方から見た場合を側面視という。
A 全体の構成
本願部分は,アーム部分の上辺中央に,指標部分を垂直状に設けたもので,アーム部分の高さと指標部分の高さの比率を,約4対1としたものである。
B アーム部分
B1:アーム部分は,全体が丸棒状体から成り,正面視縦長の略逆U字形状とし,下端を車体の底面側へ折り曲げたものである。
B2:アーム部分の正面視形状は,上辺は水平で,その左右両端から湾曲した角部を経て下方へ,アーム部分全高の約2分の1のやや下が最大幅となるように漸次幅を広げ(以下,この幅を広げてゆく部分を「上部」ともいう。),そこから反転して,残りの長さの半分弱を漸次狭め(以下,この幅を狭めてゆく部分を「中間部」ともいう。),それより下方を垂直状(以下,この垂直状部分を「下部」ともいう。)とし,上辺幅,最大幅,下方幅及び高さの比率を,約1対2対1.5対4としたものである。
B3:アーム部分の側面視形状は,上部を略垂直状とし,中間部をやや前方へ傾斜させ,下部を略垂直状としたものである。
C 指標部分
指標部分は,全体的に棒状で,その太さは,アーム部分を形成する丸棒状体よりも若干太く,やや先細りさせて先端を丸め,前面を平面視凸弧状の曲面,左右側面を平坦面とし,背面側を開口させたものであり,指標部分の下端に位置するアーム部分への取付け部は縦長直方体形状である。

2 引用意匠の認定
(1)意匠に係る物品
引用意匠に係る物品は「乗用田植機」であり,作業者が運転台に乗って,水田を走行しながら動力で田植という水田作業を行うものである。
(2)引用部分の用途及び機能
本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」という。)は,引用意匠に係る物品のうち,車体前端に設けたアーム部分と,その上端に取り付けた指標部分からなるものであり,アーム部分は畦越えやトラックへの上げ下ろしの際に引き手としての用途及び機能を有し,指標部分は田植作業時の走行位置を確認するための用途及び機能を有するものである。
(3)引用部分の位置,大きさ及び範囲
引用部分の位置,大きさ及び範囲は,車体前端における,物品の左右方向中央の,車体の下端付近から運転台の操作ハンドルの高さを少し超えた高さまでの位置及び大きさで,アーム部分と指標部分の全体に及ぶ範囲である。
(4)引用部分の形態
以下,引用部分の形態の認定に際しては,本願部分と同様に表して認定する。
A 全体の構成
引用部分は,アーム部分の上辺中央に,指標部分を垂直状に設けたもので,アーム部分の高さと指標部分の高さの比率を,約2対1としたものである。
B アーム部分
B1:アーム部分は,全体が丸棒状体から成り,正面視縦長の略逆U字形状とし,下端を車体の底面側へ折り曲げたものである。
B2:アーム部分の正面視形状は,上辺は水平で,その左右両端から湾曲した角部を経て下方へ,アーム部分全高の約2分の1のやや下が最大幅となるように漸次幅を広げ(以下,この幅を広げてゆく部分を「上部」ともいう。),そこから反転して,残りの長さの半分弱を漸次狭め(以下,この幅を狭めてゆく部分を「中間部」ともいう。),それより下方を垂直状(以下,この垂直状部分を「下部」ともいう。)とし,上辺幅,最大幅,下方幅及び高さの比率を,約1対1.5対0.9対3としたものである。
B3:アーム部分の側面視形状は,上部をやや後ろ倒し,中間部及び下部を略垂直状としたものである。
C 指標部分
指標部分は,全体的に棒状で,上半分弱は紡錘形状に膨出させ,それより下方はアーム部分を形成する丸棒状体よりも若干太くしたものであり,指標部分の下端に位置するアーム部分への取付け部は略水滴型形状である。

3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠に係る物品は「水田作業機」であるのに対して,引用意匠に係る物品は「乗用田植機」である。
(2)両部分の用途及び機能
両部分の用途及び機能は,両部分共に,アーム部分は畦越えやトラックへの上げ下ろしの際に引き手としての用途及び機能を有し,指標部分は田植作業時の走行位置を確認するための用途及び機能を有するものである。
(3)両部分の位置,大きさ及び範囲
両部分の位置,大きさ及び範囲は,両部分共に,車体前端における,物品の左右方向中央の,車体の下端付近から運転台の操作ハンドルの高さを少し超えた高さまでの位置及び大きさで,アーム部分と指標部分の全体に及ぶ範囲である。
(4)両部分の形態
(4−1)共通点
共通点1:全体は,アーム部分の上辺中央に,指標部分を垂直状に設けたものである。
共通点2:アーム部分は,全体が丸棒状体から成り,正面視縦長の略逆U字形状とし,下端を車体の底面側へ折り曲げたものである。
共通点3:アーム部分の正面視形状は,上辺は水平で,その左右両端から湾曲した角部を経て下方へ,アーム部分全高の約2分の1のやや下が最大幅となるように漸次幅を広げ,そこから反転して,残りの長さの半分弱を漸次狭め,それより下方を垂直状としたものである。
共通点4:指標部分は,全体的に棒状とし,下端をアーム部分への取付け部としたものである。
(4−2)相違点
相違点1:アーム部分の高さと指標部分の高さの比率について,本願部分は,約4対1としたものであるのに対して,引用部分は,約2対1としたものである。
相違点2:アーム部分の上辺幅,最大幅,下方幅及び高さの比率について,本願部分は,約1対2対1.5対4としたものであるのに対して,引用部分は,約1対1.5対0.9対3としたものである。
相違点3:アーム部分の側面視形状について,本願部分は,上部を略垂直状とし,中間部をやや前方へ傾斜させ,下部を略垂直状としたものであるのに対して,引用部分は,上部をやや後ろ倒し,中間部及び下部を略垂直状としたものである。
相違点4:指標部分について,本願部分は,アーム部分を形成する丸棒状体よりも若干太く,やや先細りさせて先端を丸め,前面を平面視凸弧状の曲面,左右側面を平坦面とし,背面側を開口させたものであり,アーム部分への取付け部は縦長長方形状であるのに対して,引用部分は,上半分弱は紡錘形状に膨出させ,それより下方はアーム部分を形成する丸棒状体よりも若干太くしたものであり,アーム部分への取付け部は略水滴型形状である。

4 両意匠の類否
(1)意匠に係る物品について
本願意匠に係る物品は「水田作業機」であるのに対して,引用意匠に係る物品は「乗用田植機」であるが,共に作業者が運転台に乗って,水田を走行しながら動力で水田作業を行うものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
(2)両部分の用途及び機能について
両部分共に,アーム部分は畦越えやトラックへの上げ下ろしの際に引き手としての用途及び機能を有し,指標部分は田植作業時の走行位置を確認するための用途及び機能を有するものであるから,両部分の用途及び機能は,共通する。
(3)両部分の位置,大きさ及び範囲について
両部分共に,車体前端における,物品の左右方向中央の,車体の下端付近から運転台の操作ハンドルの高さを少し超えた高さまでの位置及び大きさで,アーム部分と指標部分の全体に及ぶ範囲であるから,両部分の位置,大きさ及び範囲は,共通する。
(4)両部分の形態について
(4−1)共通点の評価
まず,アーム部分の上辺中央に,指標部分を垂直状に設けた点(共通点1)については,この物品分野においては極めてありふれたものであるから,両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい,といえる。
次に,アーム部分の共通点のうち,全体が丸棒状体から成り,正面視縦長の略逆U字形状とし,下端を車体の底面側へ折り曲げた点(共通点2)については,概略的に観察したものであり,この物品分野においてはありふれているから,両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さいといえる。また,正面視形状を具体的に観察した場合の共通点(共通点3)については,一定の共通感は認められるものの,構成比率の相違(相違点2)を包含するものであるから,両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は一定程度にとどまる,といえる。
そして,指標部分の共通点である,全体的に棒状とし,下端をアーム部分への取付け部とした点(共通点4)については,概略的に観察したものであり,この物品分野においてはありふれているから,両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい,といえる。
(4−2)相違点の評価
まず,アーム部分の高さと指標部分の高さの比率に係る相違(相違点1)については,本願部分は,長いアーム部分にコンパクトな指標部分を設けたもの,引用部分は,コンパクトなアーム部分に長い指標部分を設けたもの,という全体のバランスが顕著に異なるとの印象をもたらすから,両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は大きい,といえる。
次に,アーム部分に係る相違については,アーム部分の使用が畦越えやトラックへの上げ下ろしの際に限られるものであるとしても,直接手で握る部分であり,引き手としての引きやすさ等の観点から,需要者の注目する部分といえるところ,上辺幅,最大幅,下方幅及び高さの比率に係る相違(相違点2)により,本願部分は細長いもの,引用部分はずんぐりしたもの,という異なる印象をもたすものであるし,側面視形状の相違(相違点3)も認められるから,両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。
そして,指標部分に係る相違(相違点4)については,指標部分は,田植作業時の走行中に運転席から作業者が注視する部分であり,需要者の注目する部分といえるところ,一見して,両部分は全体的に全く異なる形状として認識できるものであるから,両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は大きい,といえる。
(4−3)形態の類否
両部分の形態の共通点及び相違点の評価は上記のとおりであって,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれを凌駕するものといえるから,両部分の形態は類似しない。
(5)小括
そうすると,両意匠は,意匠に係る物品は共通し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲も共通するが,両部分の形態が類似しないから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。

5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲







審決日 2021-11-08 
出願番号 2020009047 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 上島 靖範
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2021-12-24 
登録番号 1704496 
代理人 特許業務法人R&C 
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