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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6 |
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管理番号 | 1380990 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-06-21 |
確定日 | 2021-10-12 |
意匠に係る物品 | 屋外用燃焼装置の燃料載置具 |
事件の表示 | 意願2020− 2090「屋外用燃焼装置の燃料載置具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年2月5日の意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年12月24日付け:拒絶理由の通知 令和3年 2月 9日 :意見書の提出 令和3年 3月31日付け:拒絶査定 令和3年 6月21日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願意匠は、意匠に係る物品を「屋外用燃焼装置の燃料載置具」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることができない意匠)に該当する、というものである。 拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1299525号 (意匠に係る物品、バーベキューコンロ)の意匠の火床内に配された燃料載置板の部分の意匠 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は、「屋外用燃焼装置の燃料載置具」であり、願書の意匠に係る物品の説明欄の記載によると、バーベキューグリルや焚火台等の屋外用燃焼装置用の燃料載置具であって、屋外用燃焼装置用の火床内に配置され、この燃料載置具上に炭や薪等の加熱燃料が載置されて、当該加熱燃料を燃焼させて使用されるものである。 引用意匠の意匠に係る物品は、「バーベキューコンロ」であって、主に屋外での調理に使用する運搬可能な燃焼装置である。 したがって、両意匠の意匠に係る物品は、相違する。 2 形態の対比 以下、対比のため、引用意匠の向きを本願意匠の図の向きに合わせて認定する。 なお、原査定の引用意匠は「(意匠に係る物品、バーベキューコンロ)の意匠の火床内に配された燃料載置板の部分の意匠」となっていることから、火床内に配された燃料載置板の部分の形態と対比する。 (1)形態の共通点 (共通点1)両意匠は、全体の基本構成が、略台形状の凹凸が連続して成る略波状の板体であって、側面視における凸条の頂部が水平である点で共通する。 (共通点2)両意匠は、凸条が4列であって、その頂部に円形孔部を長手方向に等間隔に連続して形成する点で共通する。 (2)形態の相違点 (相違点1)全体構成について、側面視において、本願意匠は左右端部が斜面であるのに対し、引用意匠は水平フランジ状の支持板を有する点。 (相違点2)全体構成について、本願意匠は側面視において、頂部と底部の幅の比率を約2:1とする同形状の略台形状凹凸が等間隔に連続し、底部には孔部を有さないのに対し、引用意匠は、略台形状凹凸の頂部と底部の幅の比率を、左の端部から右の端部に向かって約3:1:3:4:3:1:3とし、かつ、当該中央の底部には円形孔部を長手方向に等間隔に連続して形成する点。 (相違点3)側面視における略台形状の凸条の具体的な形状と各部の長さ比について、本願意匠は等脚台形状であって、一つの凸条の横幅については、側面視全体の横幅に対する比率が約1:5であり、縦の長さについては、約1:6であるのに対し、引用意匠は、本願意匠の等脚台形の斜辺及び角部に相当する箇所の形状が不明で、一つの凸条の横幅については、水平フランジ状の支持板を含む側面視全体の横幅に対する比率が約1:8であり、縦の長さについては、不明である点。 (相違点4)略台形状の凸条の各頂部に長手方向に等間隔に連続して形成した円形孔部について、本願意匠は7つであるのに対し、引用意匠は9つである点。 第5 判断 1 意匠に係る物品の類否判断 両意匠は、主に屋外での調理に使用する運搬可能な燃焼装置に関する物品として、物品分野は共通するものの、その用途及び機能については、本願意匠は「屋外用燃焼装置の燃料載置具」であって、屋外用燃焼装置用の火床内に配置され、この燃料載置具上に炭や薪等の加熱燃料が載置されて、当該加熱燃料を燃焼させるものであるのに対し、引用意匠は「バーベキューコンロ」であって、主に屋外での調理のために、火床(風防を兼ねた筐体)、燃料載置具、焼き網(五徳)及び支持脚を有し、火床、燃料、燃料載置具、焼き網及び食材等を支持し、調理の用に供するものである。 したがって、本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が異なるから、類似しない。 2 形態の共通点及び相違点の評価 両意匠は、いずれも主に屋外での調理に使用する運搬可能な燃焼装置に関するものであるから、需要者は、使用する際の利便性及び携帯性等の観点から、両意匠に係る物品を観察するということができる。 したがって、使用する際の利便性及び携帯性という観点から、全体形状が需要者の注意を強く惹く部分であるということができる。 (1)形態の共通点 (共通点1)は、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであり、類否判断に与える影響は小さい。 (共通点2)は、頂部に孔部を長手方向に等間隔に連続して形成するものが、この物品分野では一般的にみられるものの、使用時に目に入りやすい箇所に係るものであるから、類否判断に一定程度の影響を与える。 (2)形態の相違点 (相違点1)については、本願意匠のように、左右端部が斜面であるものが、本願出願前より多数見られるところであって、本願意匠独自の態様とはいえないが、意匠全体の形状に係る相違であるから、類否判断に一定程度の影響を与える。 (相違点2)については、同形状の略台形状凹凸が等間隔に連続するか否かの相違も、また、底部において中央の底部のみに円形孔部を長手方向に等間隔に連続して形成するか否かの相違も、全体形状に係るものであるから、需要者に与える印象を大きく左右し、類否判断に与える影響は非常に大きい。 (相違点3)については、引用意匠の、本願意匠の等脚台形の斜辺及び角部に相当する箇所の形状及び凸条の高さが不明であるものの、本願意匠の、形状が等脚台形であり、かつ、その頂部が幅広である態様が、本願意匠の特徴を表出するものであって、需要者の注意を惹くものといえ、類否判断に与える影響は大きい。 (相違点4)については、孔部の数の増減が、この物品分野では通常なされる変更の範囲内のものであるから、類否判断に与える影響は小さい。 3 両意匠の類否判断 両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠は、上記2の前文のとおり、全体形状が需要者の注意を強く惹くものであるところ、上記2(2)のとおり、同形状の略台形状凹凸が等間隔に連続するか否か、及び中央の底部のみに円形孔部を長手方向に等間隔に連続して形成するか否か、という全体形状に係る相違があり、需要者に異なる美感を起こさせるものである。また、略台形状の凸条につき、等脚台形状の具体的形状にも、類否判断に大きな影響を与える相違がある。 一方、共通点1は、両意匠の形態を概括的に捉えたものにすぎず、共通点2は、この種物品分野において一般的ではあるが、使用時に目に入りやすい箇所に係るものであるから、類否判断に一定程度の影響を与える。 そうすると、相違点を総合した類否判断に与える影響は大きいものであって、共通する態様を考慮してもこれを凌駕し、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品は類似せず、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、類似しない。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-09-22 |
出願番号 | 2020002090 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C6)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
加藤 真珠 渡邉 久美 |
登録日 | 2021-11-09 |
登録番号 | 1700774 |
代理人 | 大西 正夫 |