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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 J7
管理番号 1381014 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-09-14 
確定日 2021-12-10 
意匠に係る物品 注射筒 
事件の表示 意願2020−25109「注射筒」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,意願2020−25108号(不服2021−12329号)の意匠を本意匠とする関連意匠に係る,令和2年(2020年)11月20日の意匠登録出願であって,令和3年3月22日付けの拒絶理由の通知に対し,同年4月30日に意見書が提出されたが,同年6月14日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年9月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「注射筒」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線であらわした部分が,意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。意匠登録を受けようとする部分は本物品の外表面のみであり,その内部部分は意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。斜視図,拡大図及び端面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ,頒布された刊行物に記載され,又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「この意匠登録出願は,全体が透明で,円板状のフランジ部分の針取付部側の表面に円環帯状の非透明部分(「意匠に係る物品の説明」には,「例えば,素子」と記載されていますが,「素子」に限定して解釈されるものではありません。)が露出した状態で埋め込まれている『注射筒』の意匠であり,上記フランジ部分の外表面の一部を意匠登録を受けようとする部分としたものです。
この意匠登録出願に係る『注射筒』の分野において,全体が透明で,フランジ部分の針取付部側の表面に,注射器本体の円筒部分及びフランジ部分の外周端から間隔を開けて,非透明部分(滑り止め部材)を形成したものは,本願出願前から公然知られています(意匠1)。また,注射筒のフランジ部分の形状を円板状としたものも,本願出願前から公然知られています(意匠2)。
そうすると,本願意匠は,意匠1にみられる注射筒のフランジ部分の形状を,意匠2にみられるような円板状とすることにより,当業者が容易に創作をすることができたものです。

意匠1
特許庁発行の公開特許公報記載
令和 2年特許出願公開第058805号
段落【0018】,【図1】,【図3】に表された注射器本体1の意匠

意匠2
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第0953502号の意匠
意匠に係る物品:注射筒」

第4 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.本願意匠の認定
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「注射筒」といい,フランジの左側面側部分に,環状の素子等が表面を露出した状態で埋め込まれているものである。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,注射筒における,筒本体後端の,フランジ部へとつながる裾部分からフランジ部分にかけての,素子等が埋め込まれている箇所における中心角度が約70度の部分である。
本願部分は,フランジの約5分の1を占める大きさ及び範囲であって,素子等が埋め込まれているフランジという用途及び機能を有している。

(3)本願部分の形状
本願部分の形状は,左側面視で,中心角度が約70度の扇面形状であって,円弧状のフランジ外縁に沿ってやや内側に,扇面形状の素子等の不透明の部材(以下「不透明部材」という。)が埋め込まれており,その不透明部材の外側の形状線と内側の形状線が二重の円弧状に表れている。

2.本願意匠の創作の容易性について
(1)出願前に公然知られた形状
本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる形状は,以下のとおりである。
ア.意匠1より
全体が透明で,フランジ部分の先側(本願でいうところの左側面側)の表面に,フランジの外縁から間隔を開けて,不透明部材(滑り止め部材)を配したもの。
イ.意匠2より
注射筒のフランジ部分を側面視で正円形としたもの。

(2)本願意匠の創作の容易性について
上記(1)に挙げた形状は本願の出願前に公然知られた形状と認められる。
しかし,注射筒のフランジ部分の先側表面に,中心角度が約70度の扇面形状の不透明部材を埋め込んだ形状は,本願の出願前の公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとはいえない。

3.結び
したがって,本願意匠は,原審で示した意匠1及び意匠2を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲




審決日 2021-11-24 
出願番号 2020025109 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (J7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2021-12-28 
登録番号 1704800 
代理人 特許業務法人藤本パートナーズ 
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