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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1381688 |
総通号数 | 2 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-07-28 |
確定日 | 2022-01-04 |
意匠に係る物品 | 光源モジュール |
事件の表示 | 意願2020− 21139「光源モジュール」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意願2014−5840(意匠登録第1512297号)を本意匠とする令和2年(2020年)10月2日に出願された関連意匠の意匠登録出願であって、令和3年(2021年)2月15日付けの拒絶理由の通知に対し、同年4月12日に意見書が提出されたが、同年6月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「光源モジュール」とし、その形状等(形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合)は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は願書に記載した本意匠に類似する意匠とは認められず、意匠法10条1項の規定に該当しないとの理由であって、具体的には以下のとおりである。 「本願意匠は、願書記載の本意匠(意願2014−5840)に類似する意匠とは認められないので、意匠法第10条第1項の規定に該当せず、意匠登録を受けることができません。 本願意匠は、光射出部の態様が上記本意匠と顕著に相違します。 ただし、願書記載の本意匠の表示を削除する補正を行った場合はこの限りではありません。」 第4 本意匠 本意匠は、平成26年3月19日に出願され、同年10月24日に意匠権の設定の登録がなされ、同年11月25日に意匠公報が発行された意願2014−5840(意匠登録第1512297号)の意匠であり、意匠に係る物品を「光源モジュール」とし、その形状等は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照) 第5 本意匠の表示を削除する手続補正 審判請求人は、原審の拒絶の理由に対して意見書を提出し、本願意匠は、本意匠の関連意匠として登録されるべき旨主張したが、拒絶の査定がなされたため、同査定を不服として審判を請求し、「原査定を取り消す、本願の意匠は登録すべきものとする、との審決を求める。」との審決を求めた。そして、この審判請求と同日の令和3年7月28日に手続補正書を提出し、本願の本意匠の表示を削除した。 第6 当審の判断 以下、本願意匠及び本意匠(以下「両意匠」という。)が類似し、意匠法10条1項の規定に該当するものか否かについて検討する。 1 両意匠の対比 (1)両意匠の意匠に係る物品 意匠に係る物品は、両意匠ともに、光を照射する機器に用いられる光電変換素子であるから、一致する。 (2)両意匠の形状等 両意匠の形状等については、主として、以下の通りの共通点及び相違点がある。 ア 共通点 略隅丸直方体形状の本体の下端周縁に等幅鍔状の突出片を一体状に設け、その背面に上記突出片より若干大きめの略隅丸矩形板状の台座を段差状に取り付けたものであって、本体表面に光射出用の略円盤(以下「光射出部」という。)を嵌め込み、台座背面に略細長円柱形状のリード線を複数本取り付けている点において共通する。 イ 相違点 (ア)本体 本願意匠は、正面視略正方形状で、突出片の外形状は本体より一回り大きいものであるのに対し、本意匠は、正面視略横長長方形状で、突出片の外形状は本体より僅かに大きい点、 (イ)台座 本願意匠は、台座の高さ(奥行き)は、本体の約半分の高さであるのに対し、本意匠は、約1/4の高さである点、 (ウ)光射出部 本願意匠は、本体正面の上端中央を横幅の約1/3の長さ分、略横長矩形状に浅く切り欠き、その真ん中付近に略リング状の薄板を幅一杯に形成し、さらに当該薄板の上に略矩形板状の透明板を本体正面及び平面と面一となるよう密着状に取り付けたものであるのに対し、本意匠は、本体正面の下端右寄りに略円形の浅い凹陥を形成している点、 (エ)リード線 本願意匠は、台座背面の上下中央左右端寄りに略長円形模様を縦に2つずつ左右対称位置に形成し、それぞれの模様内の上下端寄りに1本ずつ、合計8本取り付けているのに対し、本意匠は、台座部背面の上下端寄りに小さな略円形模様を9個ずつ上下対称位置に等間隔に形成し、それぞれの模様内に1本ずつ、合計18本取り付けている点において相違する。 2 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、ともに、光電変換素子の「光源モジュール」であるから、意匠に係る物品は同一である。 (2)両意匠の形状等 ア 共通点の評価 この種物品の分野において、略隅丸直方体形状の本体の下端周縁に等幅鍔状の突出片を一体状に設け、その背面に突出片より若干大きめの略隅丸矩形板状の台座を段差状に取り付け、本体表面に光射出部を形成し、台座背面に略細長円柱形状のリード線を複数本取り付けものは、両意匠の他にも一般に見られる態様であることから(例えば、意匠登録第1564742号の「光源モジュール」の意匠。)、これらの点は、需要者が特段注目するものではなく、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 相違点(ア)について、この種物品の分野においては、本体の正面視形状を、本願意匠のように略正方形状としたものも、本意匠のように略横長長方形状としたものも、どちらも普通に見られるものであるから、この相違点が両意匠の美感を大きく異ならせるとまではいえず、相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 相違点(イ)について、本意匠のように台座の高さを本体の約1/4の高さとしたものは、前記アの事例に示すとおり、本願出願前より公然知られているものであるが、本願意匠のように台座の高さを本体の約半分の高さとしたものは、本願の出願前には見られず、需要者に別異の美感を起こさせるものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(ウ)について、「光源モジュール」等の光電変換素子の物品分野においては、光射出部は、需要者が最も注意を払う部分であるところ、本体正面の上端中央を略横長矩形状に浅く切り欠き、その真ん中付近に略リング状の薄板を形成し、さらにその上に略矩形板状の透明板を密着状に取り付けた本願意匠と、本体正面の下端右寄りに略円形の浅い凹陥を形成した本意匠は、その形成される位置も含め、明らかに形状等が異なるものであって、需要者に別異の美感を強く与えるものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。 相違点(エ)について、リード線を本意匠のような態様としたものは、前記アの事例に示すとおり、本願出願前より公然知られているものであるが、本願意匠の態様、すなわち、台座背面の上下中央左右端寄りに略長円形模様を縦に2つずつ左右対称位置に形成し、それぞれの模様内の上下端寄りに1本ずつ、合計8本取り付けているものは、本願の出願前には見られず、需要者に異なる美感を与えているものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 ウ 形状等の類否判断 両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、両意匠を全体として総合的に観察し、判断した場合、両意匠は、共通点が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいのに対して、相違点のうち、相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの、相違点(イ)ないし相違点(エ)が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。 したがって、両意匠の形状等を総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。 (3)小括 そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形状等において類似しないから、本願意匠は本意匠に類似しない。 3 本願意匠が意匠法10条1項の規定に該当するか否かについて 本意匠は、本願の意匠登録出願人の意匠登録出願に係る意匠であるから、意匠法10条1項に規定する本意匠の要件を満たしている。 また、本願意匠の意匠登録出願の日は、本意匠の意匠登録出願の日と同日であるから、意匠法10条1項に規定する関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。 一方、前記2(3)のとおり、本願意匠は、本意匠に類似しないから、意匠法10条1項の規定に該当しない。 しかしながら、本願は、前記第5のとおり、令和3年7月28日に、願書の本意匠の表示を削除する手続補正がなされているから、原審の拒絶の理由によっては拒絶することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願意匠は、意匠法10条1項の規定に該当しないから、本意匠の関連意匠としては意匠登録を受けることができないものであるが、願書の本意匠の表示を削除する手続補正がなされているから、原審の拒絶の理由によっては拒絶することはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-12-07 |
出願番号 | 2020021139 |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H1)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
加藤 真珠 内藤 弘樹 |
登録日 | 2022-01-28 |
登録番号 | 1706947 |
代理人 | 布施 哲也 |
代理人 | 野間 悠 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |