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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B2
管理番号 1381689 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-08-10 
確定日 2022-01-18 
意匠に係る物品 Back bandage 
事件の表示 意願2019−501689「Back bandage」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和1年(2019年)9月12日の欧州連合知的財産庁への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,国際登録日を2019年12月16日とする国際意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和2年 4月20日 :優先権証明書提出書の提出
8月26日付け :拒絶の通報
12月11日 :期間延長請求書の提出
令和3年 1月12日 :意見書の提出
4月19日付け :拒絶査定
8月10日 :審判請求書の提出
17日付け :手続補正指令
10月 5日付け :却下前通知
7日 :手続補正書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「Back bandage」「参考訳:「背中用包帯」,以下日本語訳で示す。)とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
意匠に係る物品 整形外科用包帯の意匠
公報発行官庁 欧州共同体商標意匠庁
文献名 登録共同体意匠公報
出願日 2007年3月28日
出願番号 000697578−0007
登録日 2007年3月28日
登録番号 000697578−0007
公報発行日 2007年4月24日

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「背中用包帯」である。

(2)本願意匠の形状
ア.基本的構成態様
〔形状A1〕全体が,上から下に行くに従いやや裾広がりの円環状である。
〔形状A2〕前側中央に,大きな四角い留具を設けている。
〔形状A3〕全体は,留具の縦幅から,背面に向けて徐々に縦幅が大きくなっている。
〔形状A4〕要所に,伸縮度が異なると思われる装飾(以下,単に「装飾」ともいう。)を設けている。
イ.具体的態様
〔形状A5〕上辺は,留具上端から背中に向けて僅かに上がっている。
〔形状A6〕下辺は,留具下端から臀部に向けて下がっている。
〔形状A7〕形状A5と形状A6によって,前側にある留具の縦位置は,背面中央のやや上に位置する。
〔形状A8〕背面中央の縦幅と,留具の縦幅の比率は,約4:3である。
〔形状A9〕背面には,背面中央の縦幅の約5分の2の高さの倒立台形状の装飾(以下「背面装飾」という。)がある。
〔形状A10〕背面装飾は,中央やや上に位置し,背面装飾から上辺までは,背面装飾の高さの約2分の1,下辺までは,背面装飾の高さと同等の余白がある。
〔形状A11〕背面中央やや上(背面装飾の上下略中央)から,前側の中央僅かに下に向けて幅広の帯状の装飾(以下「幅広帯装飾」という。)を上辺と平行に設けている。
〔形状A12〕この幅広帯装飾は,3本の細い帯状装飾(以下「細帯装飾」という。)と,その間にある2本の極細の装飾から成っている。
〔形状A13〕背面左右中央にて,3本の細帯装飾のうち,上側の細帯装飾は下辺をややへこませ,下の細帯装飾は上辺をややへこませており,合わせて角丸横長長方形を連想させる空隙を,背面装飾の左右中央にて,しつらえている。
〔形状A14〕上端と下端には,上辺と下辺にそれぞれ接して,帯状の装飾(以下「帯状装飾」という。)を前方から後方に向けて設けている。
〔形状A15〕帯状装飾は,臀部の位置にて,背面装飾の左右に接するように突出して,倒U字状に曲がって,上辺側の帯状装飾と下辺側の帯状装飾がつながっている。
〔形状A16〕留具の左右両辺に接して,留具の約半分の幅の太い柱状装飾を設け,上下の帯状装飾をつないでいる。

2.引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「整形外科用包帯」である。

(2)引用意匠の形状
ア.基本的構成態様
〔形状B1〕全体が,環状である。
〔形状B2〕前側中央に,大きな四角い留具を設けている。
〔形状B3〕全体は,留具の縦幅から,背面に向けて徐々に縦幅が大きくなっている。
〔形状B4〕要所に,伸縮度が異なると思われる装飾を設けている。
イ.具体的態様
〔形状B5〕上辺は,留具上端の高さ位置で水平である。
〔形状B6〕下辺は,留具下端から臀部に向けてやや下がっている。
〔形状B7〕形状B5と形状B6によって,前側にある留具の縦位置は,背面中央の上に位置する。
〔形状B8〕背面中央の縦幅と,留具の縦幅の比率は,約4:3である。
〔形状B9〕背面には,背面中央の縦幅の約4分の3の高さの(下端に位置する)頂角が丸くなっている略倒立二等辺三角形状の装飾(以下「背面装飾」という。)がある。
〔形状B10〕背面装飾は,上下中央に位置し,背面装飾から上辺までと背面装飾と下辺までは,背面装飾の高さの約5分の1の余白がある。
〔形状B11〕背面中央やや上(背面装飾の上寄り)から,前側の中央に向けて幅広の帯状の装飾(以下「幅広帯装飾」という。)を上辺と平行(水平)に設けている。
〔形状B12〕この幅広帯装飾は,3本の細い帯状装飾(以下「細帯装飾」という。)と,その間にある2本の極細の装飾から成っている。
〔形状B13〕背面左右中央にて,3本の細帯装飾のうち,上側の細帯装飾は下辺をややへこませ,下の細帯装飾は上辺をややへこませており,合わせて扁平な倒立台形を連想させる空隙を,背面装飾の左右端に合わせて,しつらえている。
〔形状B14〕上端寄りと下端寄りには,上辺と下辺に沿って,紐状(ひもじょう)の装飾(以下「紐状装飾」という。)が一周している。
〔形状B15〕臀部の位置にて,背面装飾の右横と左横に背面装飾に向けて突出するように湾曲した帯状の装飾(以下「帯状装飾」という。)を設けている。
〔形状B16〕留具の左右両辺に接して,柱状装飾を上下の紐状装飾まで設けている。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「背中用包帯」であり,引用意匠に係る物品は「整形外科用包帯」である。

(2)両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
〔共通点1〕全体が,環状である。(形状A1と形状B1)
〔共通点2〕前側中央に,大きな四角い留具を設けている。(形状A2と形状B2)
〔共通点3〕全体は,留具の縦幅から,背面に向けて徐々に縦幅が大きくなっている。(形状A3と形状B3)
〔共通点4〕要所に,伸縮度が異なると思われる装飾を設けている。(形状A4と形状B4)
〔共通点5〕下辺は,留具下端から臀部に向けて下がっている。(形状A6と形状B6)
〔共通点6〕背面中央の縦幅と,留具の縦幅の比率は,約4:3である。(形状A8と形状B8)
〔共通点7〕幅広帯装飾は,3本の細帯装飾と,その間にある2本の極細装飾から成っている。(形状A12と形状B12)
〔共通点8〕背面左右中央にて,3本の細帯装飾のうち,上側の細帯装飾は下辺をややへこませ,下の細帯装飾は上辺をややへこませて空隙を,背面装飾にて,しつらえている。(形状A13と形状B13)
〔共通点9〕留具の左右両辺に接して,柱状装飾を設けている。(形状A16と形状B16)

イ.相違点について
〔相違点1〕全体形状につき,本願意匠は,上から下に行くに従いやや裾広がりの円環状であるのに対して,引用意匠は,裾広がりにはなっていない。(形状A1と形状B1)
〔相違点2〕上辺につき,本願意匠は,留具上端から背中に向けて僅かに上がっているのに対して,引用意匠は,留具上端の高さ位置で水平である。(形状A5と形状B5)
〔相違点3〕下辺につき,本願意匠は,留具下端から臀部に向けて下がっているのに対して,引用意匠は,やや下がっており,両意匠には下がる角度に相違がある。(形状A6と形状B6)
〔相違点4〕留具の縦位置につき,本願意匠は,背面中央にやや上に位置するのに対して,引用意匠は,(背面中央の上に位置する。形状A7と形状B7)
〔相違点5〕背面装飾の大きさと形状につき,本願意匠は,背面中央の縦幅の約5分の2の高さの倒立台形状であるのに対して,引用意匠は,背面中央の縦幅の約4分の3の高さの頂角が丸くなっている略倒立二等辺三角形状である。(形状A9とB9)
〔相違点6〕背面装飾の位置につき,本願意匠は,中央やや上に位置し,背面装飾から上辺までは,背面装飾の高さの約2分の1,下辺までは,背面装飾の高さと同等の余白があるのに対して,引用意匠は,上下中央に位置し,背面装飾から上辺までと背面装飾と下辺までは,背面装飾の高さの約5分の1の余白がある。(形状A10とB10)
〔相違点7〕幅広帯装飾につき,本願意匠は,背面中央やや上〔背面装飾の上下略中央〕から,前側の中央僅かに下に向けて上辺と平行に設けているのに対して,引用意匠は,背面中央やや上(背面装飾の上寄り)から,前側の中央に向けて上辺と平行(水平)に設けている。(形状A11と形状B11)
〔相違点8〕背面装飾の左右中央にしつらえた空隙について,本願意匠は,背面装飾の左右中央にて,角丸横長長方形を連想させるものであるのに対して,引用意匠は,背面装飾の左右端に合わせた,扁平な倒立台形を連想させるものである。
〔相違点9〕上端と下端につき,本願意匠は,上辺と下辺にそれぞれ接して帯状装飾を前方から後方に向けて設けていえるのに対して,引用意匠は,上辺と下辺に沿って,紐状装飾が一周している。(形状A14と形状B14)
〔相違点10〕臀部の位置における帯状装飾につき,本願意匠は,背面装飾の左右に接するように突出して,倒U字状に曲がって,上辺側の帯状装飾と下辺側の帯状装飾がつながっているのに対して,引用意匠は,背面装飾の右横と左横に背面装飾に向けて突出するように湾曲している。(形状A15と形状B15)
〔相違点11〕留具の左右両辺に接する柱状装飾につき,本願意匠は,留具の約半分の幅の太いものであって,上下の帯状装飾をつないでいるのに対して,引用意匠は,本願意匠のものよりも細いものを上下の紐状装飾まで設けている。(形状A16と形状B16)

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠に係る物品は「背中用包帯」であり,引用意匠に係る物品は「整形外科用包帯」であって,表記は異なるが,本願意匠に係る物品と引用意匠に係る物品は,共通する。

(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
共通点1,3,4及び5については,この種物品分野においては,ごくありふれた形状と認められ,両意匠のみの特徴とは認められないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
共通点2及び6については,この種物品分野においては,本願の出願前,そして,引用意匠の公知日前,から見られる形状であって,両意匠のみの特徴とは認められないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
共通点7ないし9については,特徴的であって,両意匠に一定程度の共通感を醸し出してはいるが,具体的には,相違点8及び11があり,両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。

イ.相違点について
相違点1,3及び7については,共に僅かな相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
相違点2及び4については,留具の位置が異なる相違であり,使い勝手に異なる印象を与える形状の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は僅かながらも認められる。
相違点5は,相違点6と相まって,目につきやすい相違であり,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点8ないし11については,包帯全域に設けた大きな装飾として表れており,この装飾の配置によって,両意匠において別異の印象を与えているものであるといえ,両意匠の類否判断に与える影響はとても大きい。

(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響は,限定的なものであり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点によっては,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。
そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとは認められない。

(4)両意匠における類否判断
よって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。

5.結び
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲


審決日 2021-12-28 
出願番号 2019501689 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B2)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2022-02-02 
登録番号 1707319 
代理人 特許業務法人平木国際特許事務所 
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