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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 N3 |
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管理番号 | 1381692 |
総通号数 | 2 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-08-11 |
確定日 | 2022-01-17 |
意匠に係る物品 | 防災支援システム機能付き電子計算機 |
事件の表示 | 意願2020− 11526「防災支援システム機能付き電子計算機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意匠登録第1652471号(意願2019−1074号)の意匠を本意匠とする関連意匠に係る、令和2年6月10日の意匠登録出願であって、その後の主な経緯は以下のとおりである。 令和3年 1月14日付け:拒絶理由の通知 令和3年 5月14日付け:拒絶査定 令和3年 8月11日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠(願書及び添付図面の記載) 本願の意匠は、意匠に係る物品を「防災支援システム機能付き電子計算機」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「表示画面に表された画像のうち、青色で着色した以外の部分が意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び願書に記載した本意匠 1 原査定の拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、願書に記載した本意匠(意匠登録第1652471号の意匠)に類似する意匠と認められないので、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであって、具体的には以下のとおりの付記がなされたものである。 「本願意匠と、願書に記載した本意匠を比べると、意匠登録を受けようとする部分の位置、すなわち、意匠登録を受けようとするGUI部品の配置態様が異なります。 メニューアイコンを想起させる九つの円のアイコンの形態と、それを端部付近に配置したバーの、その色彩が変化する態様は、たしかに、両意匠において共通しますが、そのアイコンの形態と、その色彩の変化の態様が、本願出願前からよく見られるものであるとすると、そのバーを、本意匠であれば、画面上端に当該バーと同じ縦幅の余白部を設けてその直下に配置する態様、本願意匠であれば、画面左端に当該バーと同じ縦幅の余白部を設けてそのすぐ右に配置する態様、において、すなわち、その具体的な構成と態様において、それぞれの意匠の特徴を見てとることができます。 そうすると、それぞれの特徴の一つとなり得る当該GUI部品の配置態様が異なる両意匠は、類似しないものと認められます。 なお、本願に対して、本意匠の表示の欄を削除する補正をされた場合は、この拒絶の理由は解消します。」 2 願書に記載した本意匠 願書に記載した本意匠(以下、単に「本意匠」という。)は、平成31年(2019年)1月22日に意匠登録出願(意願2019−1074)され、意匠法第14条第1項の規定により、秘密にすることを請求する期間を3年とし、令和2年(2020年)1月21日に意匠権の設定の登録(意匠登録第1652471号)がなされ、同年2月10日に意匠公報が発行されたものであり、本意匠の意匠に係る物品は、本意匠の願書の記載によれば「防災支援システム機能付き電子計算機」であり、本意匠の形状等は、同願書及び同願書に添付した図面に記載されたとおりであり、同願書の「意匠の説明」の欄には「表示画面に表された画像のうち、青色で着色した以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本意匠部分」という。)である。」と記載されている(別紙第2参照)。 第4 当審の判断 1 本願意匠の認定 (1)本願意匠の意匠に係る物品 本願意匠は、意匠に係る物品を「防災支援システム機能付き電子計算機」とするものである。 (2)本願部分の用途及び機能 本願部分は、防災設備の状況を色彩として表す機能及び他の画像に遷移する指示を出す用途及び機能を有するものと認められる。 (3)本願部分の位置、大きさ及び範囲 本願部分は、正面視の上下の約10分の9、左右の約20分の19を占め、縦横比が約2:3である表示部全体に表れる画像のうち、左から約28分の1から約28分の2までの上下全体を占め、画像左端から帯状部と同幅の余白部を設けて配されている。 (4)本願部分の形状等 本願部分は、垂直帯状であり、背景色が緑色、赤色又は灰色に変化するものであり、上端に9つの白い円を3つずつ3列上下左右等間隔に配したアイコンを有している。 2 本意匠の認定 (1)本意匠の意匠に係る物品 本意匠は、意匠に係る物品を「防災支援システム機能付き電子計算機」とするものである。 (2)本意匠部分の用途及び機能 本意匠部分は、防災設備の状況を色彩として表す機能及び他の画像に遷移する指示を出す用途及び機能を有するものと認められる。 (3)本意匠部分の位置、大きさ及び範囲 本意匠部分は、正面視の上下の約10分の9、左右の約20分の19を占め、縦横比が約2:3である表示部全体に表れる画像のうち、上から約20分の1から約20分の2までの左右全体を占め、画像上端から帯状部と同幅の余白部を設けて配されている。 (4)本意匠部分の形状等 本意匠部分は、水平帯状であり、背景色が緑色、赤色又は灰色に変化するものであり、左端に9つの白い円を3つずつ3列上下左右等間隔に配したアイコンを有している。 3 本願意匠と本意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「防災支援システム機能付き電子計算機」であるから共通する。 (2)本願部分と本意匠部分の用途及び機能の対比 本願部分と本意匠部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は、いずれも防災設備の状況を色彩として表す機能及び他の画像に遷移する指示を出すものであるから共通する。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部分は、画像の端付近にある上下又は左右いっぱいを占める細幅帯状である点及び細幅帯状部が画像の端から帯状部と同幅の余白部を設けて配されている点で共通し、その配されている位置について、画像左端付近に配されているか、画像上端付近に配されているかの点で相違する。 (4)両部分の形状等の対比 両部分の形状等は、いずれも帯状であり、背景色が緑色、赤色又は灰色に変化するものであり、一方の端に9つの白い円を3つずつ3列上下左右等間隔に配したアイコンを有するものである点で共通し、本願部分が垂直帯状であるのに対し、本意匠部分が水平帯状である点で相違する。 4 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は、同一である。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分は、画像の端付近にある上下又は左右いっぱいを占める細幅帯状である点及び細幅帯状部が画像の端から帯状部と同幅の余白部を設けて配されている点で共通し、その配されている位置について、画像左端付近に配されているか、画像上端付近に配されているかの点で相違するが、この種操作画像において、例えば本願意匠の出願前から公然知られた特開平8−255066号(別紙第3参照)の段落番号【0016】において、「【0016】 (略) 図10は、図8に示したタスクバーをビデオ・ディスプレイ18の右端にドラッグしたときの外観を示している。 (略) 図11は、タスクバー28をビデオ・ディスプレイ18の上端にドラッグしたときの外観の一例を、図12は、タスクバー28をビデオ・ディスプレイ18の左端にドラッグしたときの外観の一例をそれぞれ示している。」と記載されているように、画像の横幅全体を占める水平な細幅帯状部について、画像左端付近も画像上端付近も両意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものであることから、両部分の類否判断にほとんど影響を与えない。 (4)両部分の形状等の評価 ア 共通点 両部分の形状等は、帯状であり一方の端に配された操作に用いるアイコンの形状等が共通するだけでなく、背景部の色彩の変化についても共通する。当該共通点は、需要者の関心の高い、操作や表示に関わるものであることから、需要者に共通した印象を強く与え、両部分の形状等の類否判断に与える影響は、大きい。 イ 相違点 両部分の形状等は、本願部分が垂直帯状であるのに対し、本意匠部分が水平帯状である点が相違するが、上記(3)において示した特許文献にも記載されているように、帯状の操作部を左右端部付近に垂直に配することや上下端部付近に水平に配することは両意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものであることから、需要者に相違する印象をほとんど与えない。 したがって、当該相違点が両部分の形状等の類否判断に与える影響は、小さい。 (5)両部分の形状等の類否判断 両部分の形状等の共通点、相違点の評価に基づき、両部分全体を総合的に観察した場合、両部分の共通点が類否判断の類否判断に与える影響が大きいのに対し、両部分の相違点が類否判断に与える影響は小さい。これら評価を総合すると、両部分の形状等は、相違点が共通点を凌駕するものではなく、類似する。 (6)小活 両意匠は、意匠に係る物品及び意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能が同一である一方、意匠登録を受けようとする部分の位置、大きさ及び範囲に相違点はあるが、それは、両意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものであり、需要者に共通の強い印象を与える形状等が類似する両意匠は、類似する。 5 本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて 本意匠は、本願の意匠登録出願人の意匠登録出願に係る意匠であるから、意匠法第10条第1項に規定されている本意匠の要件を満たしている。 また、本願意匠の意匠登録出願の日は、本意匠の意匠登録出願の日(なお、本意匠は意匠法第15条第1項において準用する特許法第43条第1項等の規定による優先権を主張していない)以後であって本意匠の意匠登録出願の日から10年を経過する日前であるから、意匠法第10条第1項に規定されている関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。 さらに、前記4(5)のとおり、本願意匠は、本意匠に類似するものと認められるので、意匠法第10条第1項に規定されている、本意匠に類似する意匠(関連意匠)の要件を満たしている。 したがって、本願意匠は、意匠法第10条第1項の規定に該当する。 第5 むすび 以上のとおり、本願意匠は、意匠法第10条第1項の規定に該当するから、本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができる。そうすると、原査定における拒絶の理由は成り立たない。 また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-12-27 |
出願番号 | 2020011526 |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(N3)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
大峰 勝士 渡邉 久美 |
登録日 | 2022-02-10 |
登録番号 | 1708011 |
代理人 | 原田 雅美 |
代理人 | 渡邉 知子 |