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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7 |
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管理番号 | 1381698 |
総通号数 | 2 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-09-28 |
確定日 | 2021-12-21 |
意匠に係る物品 | 鼻の拡張器 |
事件の表示 | 意願2020−7568「鼻の拡張器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の主な経緯 本願は,令和2年(2020年)4月10日の意匠登録出願であって,令和3年1月6日付けの拒絶理由の通知に対し,同年4月19日に意見書が提出されたが,同年6月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年9月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「鼻の拡張器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 特許庁意匠課が2001年12月28日に受け入れた ブリーズライト 第1頁所載 「鼻孔拡張テープ」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC14004896号) 第4 当審の判断 1.本願意匠 本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「鼻の拡張器」である。 (2)本願意匠の形状 〔形状A1〕1層のシート片の上面に弾性バーを貼り付けて成るものである。 〔形状A2〕全体の縦横比を約1:2.6とする横長テープ状としたものである。 〔形状A3〕全体を上下・左右対称形としたものである。 〔形状A4〕横長帯状の本体部には,上辺と下辺に沿って1本ずつ,合計2本の弾性バーを設けている。 〔形状A5〕上側弾性バーと下側弾性バーとの間隔は,弾性バーの幅の約1.5倍である。 〔形状A6〕本体部の,上辺及び下辺の左右両端には,左右にはみ出るように略四角形のタブを設けている。 〔形状A7〕左右両端が末広がりになるように,タブの外側の辺(上側のタブにおいては上辺,下側のタブにおいては下辺。)が少し傾斜している。 〔形状A8〕タブの端側辺(左側のタブにおいては左辺,右側のタブにおいては右辺。)が,途中までが斜辺で,内側の角が略円弧状としてタブの内側の辺へとつながっている。 〔形状A9〕タブの中側(中間領域部側)の辺が,徐々になだらかになる山裾状の凹円弧状としている。 〔形状A10〕全体の長さに対する左右のタブの距離(左側のタブの外側の辺と中側の辺の接点(a),右側のタブの外側の辺と中側の辺の接点(b)の,接点(a)と接点(b)の距離)につき,本願意匠は,約1:0.47である。 〔形状A11〕本体部の左右両縦辺の形状は,円弧が凸・凹・凸と並んでいる。 2.引用意匠 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は「鼻孔拡張テープ」である。 (2)引用意匠の形状 〔形状B1〕上下2層のシート片の間に弾性バーを入れて成るものである。 〔形状B2〕全体の縦横比を約1:3.3とする横長テープ状としたものである。 〔形状B3〕全体を上下・左右対称形としたものである。 〔形状B4〕横長帯状の本体部には,上辺と下辺に沿って1本ずつ,合計2本の弾性バーを設けている。 〔形状B5〕上側弾性バーと下側弾性バーとの間隔は,弾性バーの幅とほぼ等しい。 〔形状B6〕本体部の,上辺及び下辺の左右両端には,左右にはみ出るように略四角形のタブを設けている。 〔形状B7〕タブの外側の辺(上側のタブにおいては上辺,下側のタブにおいては下辺。)が平行である。 〔形状B8〕タブの端側辺(左側のタブにおいては左辺,右側のタブにおいては右辺。)が,途中までが斜辺で,内側の角が略円弧状としてタブの内側の辺へとつながっている。 〔形状B9〕タブの中側(中間領域部側)の辺が,徐々になだらかになる山裾状の凹円弧状としている。 〔形状B10〕全体の長さに対する左右のタブの距離(左側のタブの外側の辺と中側の辺の接点(a),右側のタブの外側の辺と中側の辺の接点(b)の,接点(a)と接点(b)の距離)につき,本願意匠は,約1:0.53である。 〔形状B11〕本体部の左右両縦辺の形状は,円弧が凸・凹・凸と並んでいる。 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品は「鼻の拡張器」であり,引用意匠に係る物品は「鼻孔拡張テープ」である。 (2)両意匠の形状の対比 両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 ア.共通点について 〔共通点1〕全体を上下・左右対称形としたものである。(形状A3とB3) 〔共通点2〕横長帯状の本体部には,上辺と下辺に沿って1本ずつ,合計2本の弾性バーを設けている。(形状A4とB4) 〔共通点3〕本体部の,上辺及び下辺の左右両端には,左右にはみ出るように略四角形のタブを設けている。(形状A6とB6) 〔共通点4〕タブの端側辺が,途中までが斜辺で,内側の角が略円弧状としてタブの内側の辺へとつながっている。(形状A8とB8) 〔共通点5〕タブの中側(中間領域部側)の辺が,徐々になだらかになる山裾状の凹円弧状としている。(形状A9とB9) 〔共通点6〕本体部の左右両縦辺の形状は,円弧が凸・凹・凸と並んでいる。(形状A11とB11) イ.相違点について 〔相違点1〕基本的な構成につき,本願意匠は,1層のシート片の上面に弾性バーを貼り付けて成るものであるのに対して,引用意匠は,上下2層のシート片の間に弾性バーを入れて成るものである。(形状A1とB1) 〔相違点2〕全体の縦横比につき,本願意匠は,約1:2.6とするものであるのに対して,引用意匠は,約1:3.3とするものである。(形状A2とB2) 〔相違点3〕上側弾性バーと下側弾性バーとの間隔につき,本願意匠は,弾性バーの幅の約1.5倍であるのに対して,引用意匠は,弾性バーの幅とほぼ等しい。(形状A5とB5) 〔相違点4〕タブの外側の辺の形状につき,本願意匠は,左右両端が末広がりになるように少し傾斜しているのに対して,引用意匠は,平行である。(形状A7とB7) 〔相違点5〕全体の長さに対する左右のタブの距離につき,本願意匠は,約1:0.47であるのに対して,引用意匠は,約1:0.53である。(形状A10とB10) 4.判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 本願意匠に係る物品は「鼻の拡張器」であり,引用意匠に係る物品は「鼻孔拡張テープ」であって,共に鼻に貼り付けて,鼻孔を拡張するテープ状のものであるから,本願意匠に係る物品と引用意匠に係る物品は,共通する。 (2)両意匠における形状の評価 ア.共通点について 共通点1ないし3については,この種物品分野においてありふれた形状であるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 共通点4ないし6については,これらの共通点が相まって,両意匠に一定程度の共通感を生み出すが,両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。 イ.相違点について 相違点1については,基本的な構成が異なり,引用意匠においては上下2層のシート片の間に挟まれて見えない内部構造である弾性バーが,本願意匠では,シート片の上面に貼り付けてあって,目視できるものであるから,両意匠に全く別の印象を生じさせているといえ,両意匠の類否判断に与える影響はとても大きい。 相違点3については,通気性などの使用感に影響を与えるところでの相違であって,需要者の注意を引く意匠の要部における相違といえるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点2及び5については,これらの構成比率の相違は小さく,なおかつ,この種物品分野においては,使用者の鼻梁の高さや大きさにあわせて,数種類の大きさを用意して商品展開をしていることが一般的であることからすると,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 相違点4については,全体形状の把握に影響を与えるタブの外側の形状に係る相違であるから,両意匠に別の印象を生じさせるものであって,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (3)両意匠における形状の類否判断 以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響が,小さい又は限定的であり,この共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点1,3及び4によって,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。 そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとは認められない。 (4)両意匠における類否判断 よって,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。 5.結び したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-12-02 |
出願番号 | 2020007568 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J7)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2022-01-14 |
登録番号 | 1705787 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 宮崎 修 |