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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1381702 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-15 
確定日 2022-01-25 
意匠に係る物品 Cap of medical container 
事件の表示 意願2020−501081「Cap of medical container」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和1年(2019年)9月12日の英国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,国際登録日を2020年3月9日とする国際意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和2年 7月29日 :優先権証明書提出書の提出
11月 2日付け :拒絶の通報
2日付け :指令
25日 :電話応対
12月14日 :ファクシミリ応対
16日 :電話応対
令和3年 1月13日 :電話及びファクシミリ応対
14日 :電話応対
19日 :手続補正書の提出
3月 3日付け :拒絶理由の通知
5月19日 :意見書の提出
7月 2日付け :拒絶査定
10月15日 :審判請求書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「Cap of medical container」(参考訳:「医療用容器のキャップ」,以下日本語訳で示す。)とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における令和3年3月3日付けの拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
米国特許出願公開2017/0280976
FIG.1−4に示された「the connector 10」の意匠

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「医療用容器のキャップ」である。

(2)本願意匠の形状
〔形状A1〕カラーとキャップから成るものである。
〔形状A2〕カラーは,高さ:直径が約1:2の扁平な円筒状である。
〔形状A3〕カラーの周側面には,多数の縦筋状リブを設けている。
〔形状A4〕カラーの上端には,面取りをした上で,内向きのフランジ(請求人がいうところの「第1のフランジ」のこと。以下,内向きのフランジのことを「内フランジ」という。)を設けている。
〔形状A5〕カラーの下端には,上面が斜面になっている外向きのフランジ(請求人がいうところの「第2のフランジ」のこと。以下,外向きのフランジのことを「外フランジ」という。)を設けている。
〔形状A6〕リブは,外フランジ上面から周側面の上端やや下の位置までの長さである。
〔形状A7〕リブは,ごく細い略三角柱状で,その突出長さは,外フランジの幅の半分である。
〔形状A8〕リブは,周側面に,等間隔に46本設けている。
〔形状A9〕キャップは,ベースとその上に設けた複数本のチューブ受入筒(以下「スリーブ部」ともいう。)から成っており,合わせて,カラーの高さの約3分の2の高さである。
〔形状A10〕ベースは,カラーの高さの約3分の1の高さの扁平な円筒状であって,下端に外フランジを設け,上面側の角を面取りしている。
〔形状A11〕スリーブ部は,対角線上の太い筒2本と,対角線上の細い筒2本から成り,ベースの高さと同等の高さとしている。
〔形状A12〕スリーブ部は,太い筒同士を近接させ,太い筒同士の接点を挟むようにして細い筒を設けている。これによって,4本の筒の中心点は,菱形に配置している。

2.引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「the connector」(参考訳:「コネクター」,以下日本語訳で示す。)である。

(2)引用意匠の形状
〔形状B1〕カラーとキャップから成るものである。
〔形状B2〕カラーは,高さ:直径が約1:2の扁平な円筒状である。
〔形状B3〕カラーの周側面には,多数の縦筋状リブを設けている。
〔形状B4〕カラーの上端には,面取りをした上で,内フランジを設けている。
〔形状B5〕カラーの下端には,上面が斜面になっている外フランジを設けている。
〔形状B6〕リブは,外フランジ上面から周側面の上の面取り部上端までの長さであり,その結果,リブの上端は,ほぼ内フランジと面一となっている。
〔形状B7〕リブは,薄い板状で,その突出長さは,外フランジの幅と同じであり,その結果,リブの外端は,外フランジの外周面と面一となっている。
〔形状B8〕リブは,周側面に,等間隔に20本設けている。
〔形状B9〕キャップは,ベースとその上に設けた複数本のチューブ受入筒(以下「スリーブ部」ともいう。)から成っており,合わせて,カラーの高さの約3分の2の高さである。
〔形状B10〕ベースは,カラーの高さの約6分の1の高さの扁平な円筒状であって,下端に外フランジを設け,上面側の角を面取りしている。
〔形状B11〕スリーブ部は,対角線上の太い筒2本と,対角線上の細い筒2本から成り,ベースの高さの約3倍の高さとしている。
〔形状B12〕スリーブ部は,太い筒と細い筒は,同程度離して設けている。これによって,4本の筒の中心点は,正方形に配置しており,4本の筒の中心には略縦長長方形の穴を設けている。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「医療用容器のキャップ」であり,引用意匠に係る物品は「コネクター」である。

(2)両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
〔共通点1〕カラーとキャップから成るものである。(形状A1とB1)
〔共通点2〕カラーは,高さ:直径が約1:2の扁平な円筒状である。(形状A2とB2)
〔共通点3〕カラーの周側面には,多数の縦筋状リブを設けている。(形状A3とB3)
〔共通点4〕カラーの上端には,面取りをした上で,内フランジを設けている。(形状A4とB4)
〔共通点5〕カラーの下端には,上面が斜面になっている外フランジを設けている。(形状A5とB5)
〔共通点6〕リブは,周側面に等間隔に多数本設けている。(形状A8とB8)
〔共通点7〕キャップは,ベースとその上に設けた複数本のチューブ受入筒から成っており,合わせて,カラーの高さの約3分の2の高さである。(形状A9とB9)
〔共通点8〕ベースは,扁平な円筒状であって,下端に外フランジを設け,上面側の角を面取りしている。(形状A10とB10)
〔共通点9〕スリーブ部は,対角線上の太い筒2本と,対角線上の細い筒2本から成っている。(形状A11とB11)

イ.相違点について
〔相違点1〕リブの長さにつき,本願意匠は,外フランジ上面から周側面の上端やや下の位置までの長さであるのに対して,引用意匠は,外フランジ上面から周側面の上の面取り部上端までの長さであり,その結果,リブの上端は,ほぼ内フランジと面一となっている。(形状A6とB6)
〔相違点2〕リブの形状及び突出長さにつき,本願意匠は,ごく細い略三角柱状で,突出長さは,外フランジの幅の半分であるのに対して,引用意匠は,薄い板状で,その突出長さは,外フランジの幅と同じであり,その結果,リブの外端は,外フランジの外周面と面一となっている。(形状A7とB7)
〔相違点3〕リブの本数につき,本願意匠は,46本であるのに対して,引用意匠は,20本である。(形状A8とB8)
〔相違点4〕ベースの高さにつき,本願意匠は,カラーの高さの約3分の1の高さであるのに対して,引用意匠は,カラーの高さの約6分の1の高さである。(形状A10とB10)
〔相違点5〕スリーブの高さにつき,本願意匠は,ベースの高さと同等の高さとしているのに対して,引用意匠は,ベースの高さの約3倍の高さとしている。(形状A11とB11)
〔相違点6〕スリーブ部の形状につき,本願意匠は,太い筒同士を近接させ,太い筒同士の接点を挟むようにして細い筒を設けている。これによって,4本の筒の中心点は,菱形に配置しているのに対して,引用意匠は,太い筒と細い筒は,同程度離して設けている。これによって,4本の筒の中心点は,正方形に配置しており,4本の筒の中心には略縦長長方形の穴を設けている。(形状A12とB12)

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠に係る物品は「医療用容器のキャップ」であり,引用意匠に係る物品は「コネクター」であって,いずれもチューブを通した上で容器の口をふさぐものと認められるから,表記は異なるが,本願意匠に係る物品と引用意匠に係る物品は,共通する。

(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
共通点1ないし9によって,両意匠において,一定程度の共通感を醸し出しているが,両意匠の類否判断に与える影響は小さいと認められる。
すなわち,共通点1,2及び7は,概略的に捉えた形状における共通点であるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
共通点3ないし6は,パイプやチューブなどを螺合するキャップにおいては,ごくありふれた形状であり,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
共通点8及び9は,具体的には,相違点4及び5の相違が認められ,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

イ.相違点について
相違点1ないし3について,引用意匠のリブは,内フランジとほぼ面一でありつつ,外フランジの外周面と面一となっているため,カラーの高さと外径に合わせた大きなリブがまばらに設けてあり,強い力で握り回すという印象を与えるのに対して,本願意匠は,小さなリブが多数並んでおり,それほど大きな力で回す必要がないという印象を与えるものであり,両意匠に別異の印象を与えるものであるといえ,なおかつ,これらの相違点が物品の大きな面積を占めることからすると,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点4及び5について,本願意匠は,ベースが高くスリーブが短いことから頑丈そうに見えるのに対して,引用意匠は,ベースが低くスリーブが長いことからきゃしゃに見え,キャップという重要部品において,両意匠に別異の印象を与えるものであるといえ,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点6について,この太い筒と細い筒の位置関係の相違は,チューブの抜き差しの際には需要者の目の行く箇所の相違であるから,両意匠に別異の印象を与えるものであるといえ,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響は,小さいものであり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点によっては,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。
そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとは認められない。

(4)両意匠における類否判断
よって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。

5.結び
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲



審決日 2022-01-06 
出願番号 2020501081 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2022-02-09 
登録番号 1707912 
代理人 村田 雄祐 
代理人 森下 賢樹 
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