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審決分類 審判    C0
管理番号 1381707 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2021-06-04 
確定日 2022-01-25 
意匠に係る物品 詰め替えボトル 
事件の表示 上記当事者間の意匠登録第1589376号「詰め替えボトル」の意匠登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 意匠登録第1589376号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
登録第1589376号の意匠(以下「本件意匠」又は「本件登録意匠」ともいう。)は,平成29年(2017年)1月25日に意願2017−2562号として出願され,同年10月6日に設定登録され,同月30日に意匠公報が発行された。

そして,令和3年(2021年)6月4日に,協和紙工株式会社(以下「請求人」という。)により,本件意匠の登録を無効とする旨の本件無効審判の請求がされ,当審は,期間を指定し,クレア株式会社(以下「被請求人」という。)に対して答弁を求めたが,被請求人は指定した期間までに答弁書を提出しなかった。
また,請求人は,令和3年9月27日に,別件訴訟(東京地裁令和2年(ワ)第15221号)事件における無効の抗弁について,上申書を提出した。

そして,当審は,同年10月20日付けで,本件無効審判を書面審理とする旨を通知した。

第2 請求の趣旨及び理由の要点,並びに証拠方法
本件無効審判の請求の趣旨は「登録第1589376号意匠の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求める。」というものであり,その理由として,本件登録意匠は,甲第4号証に示す先行意匠(以下「甲4先行意匠」という。)を根拠に,意匠法第3条第1項第1号の規定により意匠登録を受けることができないものであり,したがって,本件登録意匠は同法第48条第1項第1号に該当し,無効とすべきである,と主張した。
そして,請求人の主張する無効の理由には,以下の第5の1.で説示するとおり,意匠法第3条第1項第3号に係る理由も実質的に含まれていると解される。

また,請求人は,証拠方法として,以下の書証を提出した。
甲第1号証 意匠登録第1589376号公報
甲第2号証 本件登録意匠の構成態様等を説明する資料
甲第3号証 甲4先行意匠に係る商品の構成態様等を説明する資料
甲第4号証 本件登録意匠と甲4先行意匠との比較資料
甲第5号証 電子メール「RE:セリア田中部長様スプレーボトルの件」
(以下では,各甲号証を「甲1」又は「甲1号証」などと記載する。)

第3 被請求人の答弁
審判長は,被請求人に対し,審判請求書の副本を送達し,期間を指定して答弁書の提出を求めたが,被請求人からの応答はなかった。

第4 請求人の主張の概要
1.本件意匠の説明
(1)本件意匠に係る物品
本件意匠に係る物品は「詰め替えボトル」である。

(2)基本的構成態様
本件意匠の基本的構成態様は,次のとおりである。
[A1] 不透明で,各面の境界が全て曲面状に構成(いわゆるR面取り)され,平面視が略長方形である直方体状の本体を有する。
[B1] 不透明で,本体の上面から上方に,断面積が徐々に小さくなるように延び,正面視及び平面視において左右非対称の略四角錘台形状の部材であって,底面の形状が,平面視における本体の形状と一致する肩部を有する。
[C1] 不透明で,肩部の上面から上方に,垂直に延びる円柱形状のくび部,及び不透明で,該くび部の上面から上方に,垂直に延びる略円柱形状の部材であって,噴射器を螺合するための溝が設けられた円柱形状の螺合部を有する。

(3)具体的構成態様
本件登録意匠の具体的構成態様は,次のとおりである。
なお,下記の数値は,平面視における長辺方向のサイズを基準(10.0)としたときの比を示す値である。

[D1] 平面視における本体の短辺,本体の長辺,及び本体の高さの比は,7.6対10.0対8.8である。
[F1] 平面視における肩部の底面の短辺,肩部の底面の長辺,及び肩部の高さの比は,7.6対10.0対4.2である。
[G1] くび部の直径の比は4.0であり,螺合部にはスクリュー型の溝が設けられている。
[H1] 本体の側面と底面との境界,及び本体の側面同士の境界には,曲率半径の比が1.4の曲面が設けられている。
[J1] くび部の高さの比は1.7である。

2.甲4先行意匠の要旨
(1)概要
甲4先行意匠は,被請求人が販売していた商品「スプレーボトルおそうじ詰め替え用(甲3)」におけるボトル部の意匠であり(甲4),甲4先行意匠に係る物品は,「スプレーボトルのボトル部」である。
請求人が被請求人の取引先(株式会社セリア)の担当者に問い合わせたところ,「お問合せのおそうじ詰め替え用スプレーボトル 380ml ホワイトの当社タッチワン掲載日(店舗は発注可能日)は2016/11/24となっております。」との回答を受けた(甲5)。
つまり,本件意匠に係る意匠登録出願の出願日が2017年(平成29年)1月25日であるところ,甲4先行意匠に係る商品は,それより以前の遅くとも2016年11月24日には発売されていたことになる。
したがって,甲4先行意匠は,本件登録意匠に係る意匠登録出願前に公知となった公知意匠である。

(2)基本的構成態様
甲4先行意匠の基本的構成態様は,次のとおりである。
[a’1] 不透明で,各面の境界が全て曲面状に構成され,平面視が略長方形である直方体状の本体を有する。
[b’1] 不透明で,本体の上面から上方に,断面積が徐々に小さくなるように延び,正面視及び平面視において左右非対称の略四角錘台形状の部材であって,底面の形状が,平面視における本体の形状と一致する肩部を有する。
[c’1] 不透明で,肩部の上面から上方に,垂直に延びる円柱形状のくび部,及び不透明で,該くび部の上面から上方に,垂直に延びる略円柱形状の部材であって,噴射器を螺合するための溝が設けられた円柱形状の螺合部を有する。

(3)具体的構成態様
甲4先行意匠の具体的構成態様は,次のとおりである。
なお,下記の数値は,平面視における長辺方向のサイズを基準(10.0)としたときの比を示す値である。

[d’1] 平面視における本体の短辺,本体の長辺,及び本体の高さの比は,7.6対10.0対8.8である。
[f’1] 平面視における肩部の底面の短辺,肩部の底面の長辺,及び肩部の高さの比は,7.6対10.0対4.2である。
[g’1] くび部の直径の比は3.9であり,螺合部にはスクリュー型の溝が設けられている。
[h’1] 本体の側面と底面との境界,及び本体の側面同士の境界には,曲率半径の比が1.4の曲面が設けられている。
[j’1] くび部の高さの比は1.7である。

(4)本件意匠と甲4先行意匠との対比
ア.本件意匠と甲4先行意匠との意匠に係る物品の類否
本件意匠に係る物品は「詰め替えボトル」であり,甲4先行意匠に係る物品は「スプレーボトルのボトル部」である。
本件意匠は,甲1号証の「意匠に係る物品の説明」において,「本願意匠に係わる物品は,除菌剤,洗剤等を内部に収納する噴霧器付き容器である。容器上部に噴霧器を取り付ける事により,内部に収納した薬剤を噴霧する事ができる。」とされている。すなわち,本件登録意匠に係る物品は,除菌剤,洗剤等の薬剤を内部に収納する用途で使用され,容器上部に噴霧器を取り付けることで収容した薬剤を噴霧するという機能を有するので,甲4先行意匠に係る物品(スプレーボトルのボトル部)と用途及び機能が同一である。
以上のことから,本件登録意匠と甲4先行意匠との意匠に係る物品は同一である。

イ.本件意匠と甲4先行意匠との形状等の共通点と差異点
イ−1.基本的構成態様
本件意匠と甲4先行意匠において,基本的構成態様([A1]〜[C1]と[a’1]〜[c’1])は共通している。
イ−2.具体的構成態様
本件意匠と甲4先行意匠において,具体的構成態様([D1],[F1]〜[H1]及び[J1]と[d’1],[f’1]〜[h’1]及び[j’1])は略共通している。

ウ.共通点と差異点の評価
本件意匠と甲4先行意匠において,基本的構成態様,具体的構成態様共に,略共通している。したがって,本件登録意匠と甲4先行意匠との形状等は同一である。

エ.類否の結論
以上のとおり,本件意匠と甲4先行意匠とは,物品,形状等共に同一であるから,両意匠は同一である。

(5)むすび
本件意匠(甲1)は,甲4先行意匠(甲4)により,意匠登録出願前に日本国内において公然知られた意匠であるといえ,意匠法第3条第1項第1号の規定により意匠登録を受けることができないものである。したがって,本件登録意匠は同法第48条第1項第1号に該当し,無効とすべきである。

第5 当審の判断
1.請求人のいう無効の理由について
請求人の主張する無効の理由は,上記第4に示すとおり,意匠法第3条第1項第1号に係る理由であるが,本件登録意匠の具体的構成態様の[G1]の比率が4.0であるのに対して,甲4先行意匠の具体的構成態様[g’1]が3.9であるから,本件登録意匠と甲4先行意匠が同一とはいえないことは,一見して明らかである。
また,請求人は,本件登録意匠と甲4先行意匠との形状等の共通点と差異点に関して,基本的構成態様は「共通している」(第4の2.(4)イ−1)と説明しているのに対して,具体的構成態様は「略共通している」(第4の2.(4)イ−2)と説明し,「共通」の前に「略」を付している。
同様に,本件登録意匠と甲4先行意匠の共通点と差異点の評価に関しても,「基本的構成態様,具体的構成態様共に,略共通している」(第4の2.(4)ウ.)と説明し,「略」を付している。
これらの事情を考慮すると,請求人は,本件登録意匠と甲4先行意匠が同一ではないことを認めつつも,本件登録意匠は甲4先行意匠を根拠として意匠登録を受けることができないものであることについても主張している,すなわち,意匠法第3条第1項第3号に係る理由についても実質的に主張していると解するのが相当である。
したがって,以下では,意匠法第3条第1項第1号に係る理由だけでなく,意匠法第3条第1項第3号に係る理由についても検討する。

2.本件意匠
本件意匠は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,以下のとおりとしたものであって,その記載内容によると,形状のみの意匠と認められる(別紙第1参照)。

(1)意匠に係る物品
本件意匠に係る物品は,詰め替えボトルである。

(2)本件意匠の形状
ア.基本的構成態様
〔形状A1〕全体に不透明である。
〔形状A2〕上から順に,口部,くび部,肩部及び本体部から成っている。
〔形状A3〕口部は,垂直方向の円柱形状で,周面にネジ山を設けている。
〔形状A4〕くび部は,扁平(へんぺい)な垂直方向の円柱形状である。
〔形状A5〕肩部は,正面視において,上端が右に偏った略四角錘台形状である。
〔形状A6〕本体部は,略直方体形状である。

イ.具体的態様
なお,下記の数値は,本体部の長辺の長さを基準(10.0)としたときの値である。

〔形状A7〕本体部は,縦,横,奥行きの長さ比を,約8.8対10.0対7.6としたものである。
〔形状A8〕本体部の,各側面(正面,背面,右側面及び左側面)同士が接する角と,各側面と底面が接する角は,半径約1.4の曲面によるR面取りとしている。
〔形状A9〕肩部は,縦,横,奥行きの長さ比を,約4.2対10.0対7.6としたものである。
〔形状A10〕肩部は,本体と同様の角R(R面取り)として,くび部下端につながる様に水平断面積を漸次小さくしている。
〔形状A11〕くび部は,縦と直径の長さ比を,約1.7対4.0としたものである。
〔形状A12〕口部は,縦と直径の長さ比を,約1.9対3.2としたものである。

3.引用意匠が公然知られた意匠であること
ア.請求人の全主張及び証拠を総合すると,請求人の社員である篠原俊二は,2020年(令和2年)10月30日午後6時5分に,株式会社セリアの商品部の部長である田中正弘に宛てた電子メールで,「4582281738088 スプレーボトル お掃除詰め替え用(クレア製品)」という商品の発売日を問い合わせ,同日午後6時10分に,田中正弘から篠原俊二に宛てて,「お問い合わせのおそうじ詰め替え用スプレーボトル 380mlホワイトの当社タッチワン掲載日(店舗は発注可能日)は2016/11/24となっております。」と回答された事実を認めることができる(甲5)。

イ.株式会社セリアは,いわゆる100円ショップを運営する企業であり,「タッチワン」は,店舗スタッフが商品を発注する際に利用する発注支援システムであることが明らかであるから,請求人が問い合わせた商品は,2016年(平成28年)11月24日頃には,株式会社セリアが運営する各店舗で発注が開始され,販売されたものと推認でき,被請求人はこの推認を妨げる証拠を提出していない。

ウ.そして,請求人が問い合わせた商品の「スプレーボトル お掃除詰め替え用」という表記は,甲3の正面図に示された表記と一致し,「4582281738088」という数字は,甲3の左側面図に示されたバーコードの数字と一致するから,請求人が問い合わせた商品は,甲3に示された「スプレーボトル お掃除詰め替え用」という商品であるといえる(なお,甲3には,「噴射器を装着した状態であるので螺合部は視認できない。」と記載されているから,甲3に示された商品は,ボトル部に噴射器が装着されたものと解するほかない。)。
さらに,甲4の正面視には,甲3の正面図と同じ「スプレーボトル お掃除詰め替え用」という表記を確認でき,甲4の正面視には甲3の正面図と同じく,「380ml」という表記も確認できるから,甲4に示された意匠(以下「引用意匠」という。)に係る物品は,甲3に示された商品と同じ商品のボトル部であると認められるところ,甲3に示された商品の購入者が,当該商品の噴射器を外すことで,甲4に示すようにボトル部の螺合部を視認できることは明らかである。

エ.以上から,引用意匠に係る物品は,「スプレーボトル お掃除詰め替え用」という商品のボトル部として,平成28年11月24日頃には株式会社セリアの店舗で噴射器を装着した状態で販売されていたと推認でき,当該商品の購入者はボトル部の螺合部についても視認できるから,引用意匠は,意匠法第3条第1項第1号に掲げる意匠(公然知られた意匠)に該当する。

4.引用意匠
本件意匠は,上記1.のとおり,形状のみの意匠と認められるから,両意匠の類否判断においては,引用意匠の形状のみと比較検討していくこととなる。
引用意匠は,甲4に記載されたとおりとしたものであり,引用意匠については,以下の点を認めることができる(別紙第2及び第3参照)。

(1)意匠に係る物品
引用意匠に係る物品は,「スプレーボトル お掃除詰め替え用」という商品のボトル部である。

(2)引用意匠の形状
ア.基本的構成態様
〔形状B1〕全体に不透明である。
〔形状B2〕上から順に,口部,くび部,肩部及び本体部から成っている。
〔形状B3〕口部は,垂直方向の円柱形状で,周面にネジ山を設けている。
〔形状B4〕くび部は,扁平な垂直方向の円柱形状である。
〔形状B5〕肩部は,正面視において,上端が右に偏った略四角錘台形状である。
〔形状B6〕本体部は,略直方体形状である。

イ.具体的態様
なお,下記の数値は,本体部の長辺の長さを基準(10.0)としたときの値である。

〔形状B7〕本体部は,縦,横,奥行きの長さ比を,約8.8対10.0対7.6としたものである。
〔形状B8〕本体部の,各側面(正面,背面,右側面及び左側面)同士が接する角と,各側面と底面が接する角は,半径約1.4の曲面によるR面取りとしている。
〔形状B9〕肩部は,縦,横,奥行きの長さ比を,約4.2対10.0対7.6としたものである。
〔形状B10〕肩部は,本体と同様の角R(R面取り)として,くび部下端につながる様に水平断面積を漸次小さくしている。
〔形状B11〕くび部は,縦と直径の長さ比を,約1.7対3.9としたものである。
〔形状B12〕口部は,縦と直径の長さ比を,約1.9対3.1としたものである。

5.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本件意匠に係る物品は「詰め替えボトル」であり,引用意匠に係る物品は「スプレーボトル お掃除詰め替え用」という商品のボトル部である。

(2)両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
〔共通点1〕全体に不透明である。(形状A1とB1)
〔共通点2〕上から順に,口部,くび部,肩部及び本体部から成っている。(形状A2とB2)
〔共通点3〕口部は,垂直方向の円柱形状で,周面にネジ山を設けている。(形状A3とB3)
〔共通点4〕くび部は,扁平な垂直方向の円柱形状である。(形状A4とB4)
〔共通点5〕肩部は,正面視において,上端が右に偏った略四角錘台形状である。(形状A5とB5)
〔共通点6〕本体部は,略直方体形状である。(形状A6とB6)
〔共通点7〕本体部は,縦,横,奥行きの長さ比を,約8.8対10.0対7.6としたものである。(形状A7とB7)
〔共通点8〕本体部の,各側面(正面,背面,右側面及び左側面)同士が接する角と,各側面と底面が接する角は,半径約1.4の曲面によるR面取りとしている。(形状A8とB8)
〔共通点9〕肩部は,縦,横,奥行きの長さ比を,約4.2対10.0対7.6としたものである。(形状A9とB9)
〔共通点10〕肩部は,本体と同様の角R(R面取り)とし,水平断面積を漸次小さくしてくび部下端につながる。(形状A10とB10)
〔共通点11〕くび部は,縦の長さを,約1.7としたものである。(形状A11とB11)

イ.相違点について
〔相違点1〕くび部の直径につき,本件意匠は,4.0としたものであるのに対して,引用意匠は,3.9としたものである。(形状A11とB11)
〔相違点2〕口部の,縦と直径の長さ比につき,本件意匠は,約1.9対3.2としたものであるのに対して,引用意匠は,約1.9対3.1としたものである。(形状A12とB12)

6.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本件意匠に係る物品は「詰め替えボトル」であり,引用意匠に係る物品は「『スプレーボトル 詰め替え用』という商品のボトル部」であるから,両意匠に係る物品は共通する。

(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
共通点1ないし5,及び共通点9については,この種物品分野においては,ありふれた形状であって,両意匠のみの特徴とは認められないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
共通点6ないし8,及び共通点10について,本体部の寸法比,各角のR面取りの大きさ,肩部の寸法比,及びくび部の高さの寸法比が同一につき,両意匠に強い共通感を醸し出し,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

イ.相違点について
相違点1及び相違点2については,くび部の直径の差と,口部の直径の差であって,寸法を測って初めて分かるほどのもので,通常の使用状態では気付かない程の僅かな差であるから両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(3)小括
そうすると,両意匠の形状には,上記のとおり相違点があるから,両意匠が同一とはいえない。
そして,その共通点の類否判断に及ぼす影響が相違点のそれを凌駕するものであり,需要者に共通の美感を起こさせるものであるから,両意匠の形状は,類似するものと認められる。

(4)両意匠における同一及び類否の判断
以上のとおり,本件意匠と引用意匠を対比した場合,意匠に係る物品が共通し,形状は,同一ではないが,類似すると認められるものであるから,本件意匠と引用意匠とは類似する。

第6 結び
以上のとおりであって,本件意匠は,引用意匠と同一ではないから,意匠法第3条第1項第1号の意匠には該当しないが,引用意匠と類似する意匠であるから,同法第3条第1項第3号の意匠に該当し,同条同項柱書の規定に違反して意匠登録を受けたものと認められ,登録第1589376号の意匠登録は,無効にすべきものである。

審判に関する費用については,意匠法第52条で準用する特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により,被請求人が負担すべきものとする。
よって結論のとおり審決する。
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。







審理終結日 2021-11-29 
結審通知日 2021-12-01 
審決日 2021-12-16 
出願番号 2017002562 
審決分類 D 1 113・ - Z (C0)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2017-10-06 
登録番号 1589376 
代理人 小笠原 宜紀 
代理人 小西 憲太郎 
代理人 片木 研司 
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