• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F3
管理番号 1382399 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-05 
確定日 2022-02-08 
意匠に係る物品 ポケットティッシュ 
事件の表示 意願2018− 26432「ポケットティッシュ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 主な手続の経緯
平成30年11月15日 意匠登録出願
令和 1年 6月28日付け 拒絶理由通知書(原審1回目)
令和 1年 8月 9日 意見書
令和 1年 8月 9日 手続補正書
令和 1年11月27日付け 拒絶理由通知書(原審2回目)
令和 2年 1月16日 意見書
令和 2年 3月 6日付け 拒絶査定
令和 2年 6月 8日 審判請求書
令和 2年10月 9日 上申書
令和 2年12月 1日 上申書
令和 3年 1月20日付け 拒絶理由通知書(当審1回目)
令和 3年 3月 1日 意見書
令和 3年 6月29日付け 拒絶理由通知書(当審2回目)
令和 3年 8月11日 意見書

第2 本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「ポケットティッシュ」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。

第3 当審における拒絶の理由及び引用意匠
当審における令和3年6月29日付けの拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものであって、拒絶の理由及び引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は、具体的には、下記のとおりである。
「引用意匠(別紙第2参照)
特許庁が平成9年(1997年)12月9日に公開した公開特許公報に掲載された特開平9―313393の「ポケットティッシュ」の図6(4)(ロ)に表された「ポケットティッシュ用ティッシュペーパー」の意匠及び関連する記載
なお、図6(4)(ロ)に表された「ポケットティッシュ用ティッシュペーパー」の意匠は、図6(1)、(2)、(3)に示された折り方(方法)の順序を経て折られたものと認められます。
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を比較すると、意匠に係る物品が、本願意匠は「ポケットティッシュ」で、引用意匠は「ポケットティッシュ用ティッシュペーパー」であって、表記は相違しますが、本願意匠も願書及び図面の記載から一枚の「ポケットティッシュ用ティッシュペーパー」であると認められるので、両意匠の意匠に係る物品は、共通します。
そして、両意匠の形態については、「ポケットティッシュ用ティッシュペーパー」を2つ折りとし、長手方向に4回折り返して蛇腹状に形成し、(両意匠の向きを、本願意匠の向きに合わせ、各折り返し面を、右端片、右中片、中央片、左中片、左端片とすると)中央片を他片(左右端片、左右中片)に比してもっとも横幅の長いものとし、右端片、右中片、左中片、左端片の各片部をその中央片の約半分の横幅に成るよう形成した点が共通しており、意匠全体の印象を決定付ける共通点と認められます。
(※引用意匠については、図6は「本発明(ちり紙)の折り方を真上から見た図」ですから(1)はちり紙(ポケットティッシュ用ティッシュペーパー)全体を真上から見た図であり、(2)は(1)を半分に2つ折りしたものを真上から見た図と認められます。次に(3)は(2)をさらに折る際の、折り部と折り方向が示された図と認められ、引き出し線aが山折りを、引き出し線bが谷折りを示しているので、山折り、谷折りを交互に繰り返し、縦方向に蛇腹状に4回折り返された状態になると認められます。そして、(4)の(ロ)は、(1)、(2)、(3)に示された折り方(方法)の順序を経て折られたポケットティッシュ用ティッシュペーパーを示す図と認められ、引き出し線3が中央片であるので、その上の横長長方形状の部分は、折り返された上端片(本願意匠に向きを合わせると右端片)であると認められ、その端を中央片の縁にそろえ中央片の短辺側の約半分の幅となる折り方をしたポケットティッシュ用ティッシュペーパーの図と認められます。)
一方、主な相違点としては、本願意匠は平面視の全体の縦と横の長さ比が約2.3:2であるのに対し、引用意匠は(本願意匠に向きを合わせ、図6(4)(ロ)の図を右に90度回転した状態で)約3.3:2である点が挙げられますが、双方共に、ポケットティッシュの物品分野において、例示するまでもなく、通常見受けられる程度の全体の縦と横の長さ比ですから、この相違が両意匠の類否判断に与える影響は小さく、平面視、縦方向長さの多少の相違にとどまり、この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は小さく、両意匠の共通する形態の印象に埋没してしまう程度の相違であって、類否判断に与える影響は小さいものです。
したがって、両意匠を意匠全体として観察する場合には、本願意匠は、引用意匠に類似するものです。」

第4 当審の判断
1 対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠は「ポケットティッシュ」で、引用意匠は「ポケットティッシュ」の「ポケットティッシュ用ティッシュペーパー」であって、表記は相違するが、本願意匠も願書及び図面の記載から一枚の「ポケットティッシュ用ティッシュペーパー」(以下「ポケットティッシュペーパー」という。)であると認められるので、両意匠の意匠に係る物品は、共通する。
(2)両意匠の形態
引用意匠の向きを、本願意匠の向きに合わせて認定する。
両意匠の形態を対比すると、主として、以下の共通点と相違点が認められる。
(あ)形態の共通点
(共通点1)ポケットティッシュペーパーを2つ折りとし、長手方向に折り返して蛇腹状に形成し、平置き状態とした平面視で略縦長長方形状としている点
(共通点2)各折り返し面を、順に、右端片、右中片、中央片、左中片、左端片とすると、中央片をもっとも横幅の長いものとし、右端片、右中片、左中片、左端片の各片部を中央片の約半分の横幅に成るよう4回折り返して形成した点
(共通点3)平面視で右端片の横幅が全体の横幅に対して約2分の1である点
が共通している。
(い)形態の相違点
(相違点1)本願意匠は平面視の全体の縦と横の長さ比が約2.3:2であるのに対し、引用意匠は約3.3:2である点
(相違点2)底面側の態様について、本願意匠は、正面視及び背面視において、底面側で下側の左端片及び左中片が略等幅で左端片の横幅が全体の横幅に対して約2分の1であるのに対し、引用意匠は、明細書などの記載から、「ほぼ半分位折り返した」ものと認められるが、左端片及び左中片が略等幅で左端片の横幅が全体の横幅に対して約2分の1であるかは不明である点
で相違する。

類否判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、共通する。
(2)「ポケットティッシュペーパー」の物品分野の意匠の類否判断
ポケットティッシュペーパーの通常の使用において、需要者が観察するに当たっては、そのポケットティッシュペーパーを主に取り出し方向から眺めることとなり、また、取り出し後の使用に際して、どのように折りたたまれたかについても注意を払うこととなる。したがって、ポケットティッシュペーパーの意匠の類否判断においては、平面視に注目しつつ、全体の折りたたみ形態、かつそれ以外の項目も併せて、各項目を総合して意匠全体として形態を評価する。
(3)両意匠の形態の共通点の評価
まず、(共通点1)について、全体を2つ折りとし、長手方向に折り返して蛇腹状に全体を形成したものは、本願出願前にも見受けられ(例えば、特開2003−235753の図1ないし図3に示されたポケットティッシュペーパーの意匠、特開2016−189943の図2に示されたポケットティッシュペーパーの意匠)、平置き状態とした平面視で略縦長長方形状としている点はポケットティッシュペーパーとして、ごく普通の形態であるから、この共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
次に(共通点2)については、中央片をもっとも横幅の長いものとし、右端片、右中片、左中片、左端片の各片部を中央片の約半分の横幅に成るよう、4回折り返して形成した点は、両意匠の基本的な構成態様に関わるところであるが、後述する(相違点2)などから、両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまる。
そして、(共通点3)については、平面視で右端片の横幅が全体の横幅に対して約2分の1である点も、需要者の注目する平面視の態様ではあるものの、両意匠のみに共通する特徴であるとはいえず、ポケットティッシュペーパーとして、ごく普通の形態であるから、この共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
そうすると、(共通点2)が両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼすものであるとしても、(共通点1)及び(共通点3)は、両意匠の類否判断に及ぼす影響は共に小さく、(共通点1)ないし(共通点3)は、総じて両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいということができる。
(4)両意匠の形態の相違点の評価
これに対して、前記認定した(相違点1)及び(相違点2)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は、以下のとおりである。
まず、(相違点1)本願意匠は平面視の全体の縦と横の長さ比が約2.3:2であるのに対し、引用意匠は約3.3:2である点は、需要者が一見して気が付く相違であるが、ポケットティッシュペーパーの物品分野において、折りたたまれた状態の縦横の長さ比率は様々のものがあるところ、この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きいとはいえない。
次に、(相違点2)底面側の態様について、本願意匠は、正面視及び背面視において、底面側で下側の左端片及び左中片が略等幅で左端片の横幅が全体の横幅に対して約2分の1であるのに対し、引用意匠は、明細書などの記載から、「ほぼ半分位折り返した」ものと認められるが、左端片及び左中片が略等幅で左端片の横幅が全体の横幅に対して約2分の1であるかは不明である点は、両意匠の具体的な折りたたみ形態の相違であって、需要者に対して、両意匠別異の感を起こさせるといえる。
そうすると、(相違点1)は両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいとはいえないものの、(相違点2)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく、相違点を総合すると、相違点は両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいというほかない。
(5)両意匠の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は同一であるが、両意匠の形態については、共通点は、総じて両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいのに対して、相違点が総じて両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいから、本願意匠は引用意匠に類似しない。

第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、当審における拒絶の理由に引用した意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2022-01-20 
出願番号 2018026432 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
加藤 真珠
登録日 2022-03-04 
登録番号 1709655 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ