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審決分類 審判 査定不服  工業上利用 取り消して登録 D4
管理番号 1385251 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-27 
確定日 2022-05-09 
意匠に係る物品 細長カイロ 
事件の表示 意願2021− 3029「細長カイロ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要

1 手続の経緯
本願は,令和3年(2021年)2月12日の意匠登録出願であって,その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年(2021年) 8月 3日付け:拒絶理由の通知
同 年 9月21日付け:手続補正書(1回目)の提出
同 年 9月29日付け:拒絶査定
同 年 10月27日 :審判請求書の提出
同 年 10月27日 :手続補正書(2回目)の提出
同 年 11月 4日 :手続補正書(3回目)の提出

2 各手続の具体的な内容
(1)出願当初の願書及び添付図面の記載
出願当初の本願意匠は,意匠に係る物品を「細長カイロ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,願書の「意匠に係る物品の説明」の欄には「細長カイロは,細長い長方形の袋に,鉄粉その他,酸化をサポートする成分を含む充填剤を収容したカイロ部を有している。そして,カイロ部は仕切り部を介して複数個が繋がって長く延び,首周り,手首,足首などに巻き付けて使用する。ただし,仕切り部を介して繋がれるカイロ部の個数は限定しない。」と記載している。

(2)令和3年8月3日付け拒絶理由の通知
原審の上記拒絶理由は,「本願意匠は,意匠に係る物品の説明欄に『仕切り部を介して繋がれるカイロ部の個数は限定しない』との記載があり,その他願書の記載や添付図面を参酌してもなお全体の長さが不明で,一の意匠を特定することができないため,意匠が具体的では」なく,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない,というものである。

(3)令和3年9月21日提出の手続補正書(1回目)
出願人(審判請求人)は,上記手続補正書により本願願書の「意匠に係る物品の説明」の欄を「この意匠に係る物品である細長カイロは,細長い長方形の袋に,鉄粉その他,酸化をサポートする成分を含む充填剤を収容したカイロ部を有している。そして,カイロ部は仕切り部を介して複数個が繋がって長く延び,首周り,手首,足首などに巻き付けて使用する。」と補正している。

(4)令和3年9月29日付け拒絶査定
原審は,上記(3)の補正後の本願意匠に対し,「当該補正によっても,本願意匠は具体的に何個のカイロが繋がっているのか(たとえば,3個であるのか,5個であるのか,10個であるのか)が明らかにされておらず,全体の長さが不明で,依然として一の意匠を特定できないことから,意匠が具体的では」ないとして,令和3年9月29日付けで拒絶査定を行っている。

(5)令和3年10月27日提出の審判請求書及び手続補正書(2回目)
審判請求人は,原審の拒絶査定に対し,「本願意匠に係る『細長カイロ』は5個のカイロ部が繋がって構成するものに特定しましたので,登録すべき」であるとする審判請求書を提出し,同日に提出した手続補正書(2回目)によって,本願願書の「意匠に係る物品の説明」欄の記載を「この意匠に係る物品である細長カイロは,細長い長方形の袋に,鉄粉その他,酸化をサポートする成分を含む充填剤を収容したカイロ部を有している。そして,カイロ部は仕切り部を介して5個が繋がって長く延び,首周り,手首,足首などに巻き付けて使用する。」と補正し,添付図面についても,正面図,右側面図,平面図,底面図,A−A断面図及びB−B断面拡大図を補正している。

(6)令和3年11月4日提出の手続補正書(3回目)
審判請求人は,上記手続補正書により添付図面のうち出願当初に提出した「B−B断面図拡大図」を削除している。

第2 当審の判断

1 原審の拒絶由理由について
審判請求人が,令和3年10月27日に提出した手続補正書による願書及び添付図面の補正により,本願意匠は,仕切り部を介して5個が繋がった細長カイロであることが明らかとなったものであるから,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない,という原審の拒絶の理由は解消したことになる。
よって,原審の拒絶の理由により本願を拒絶することはできない。

2 令和3年10月27日提出の手続補正書(2回目)の補正について
また,上記手続補正書の願書及び添付図面についてした補正について検討すると,出願当初から,本願意匠に係る物品である細長カイロは,「細長い長方形の袋に,鉄粉その他,酸化をサポートする成分を含む充填剤を収容したカイロ部を有し・・・,カイロ部は仕切り部を介して複数個が繋がって長く延び,首周り,手首,足首などに巻き付けて使用する」ものであると記載されており,首のまわりに捲くことが出来る大きさから見てカイロ部の数を5個とすることは出願当初から十分想定可能であって,本願意匠の属する分野における通常の知識に基づいて導き出せるものであるから,その願書に添付した図面の補正を含め,令和3年10月27日提出の手続補正書(2回目)による補正は,出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の要旨を変更したものではないといえる。

3 令和3年11月4日提出の手続補正書(3回目)の補正について
上記補正書による補正は,令和3年10月27日提出の手続補正書(2回目)で追加された「B−B断面拡大図」と重複する図面である,出願当初に提出された「B−B断面図拡大図」を削除する補正にすぎないものであって,出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の要旨変更にあたるものではない。

第3 むすび

上記のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当し,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

審決日 2022-04-14 
出願番号 2021003029 
審決分類 D 1 8・ 14- WY (D4)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 上島 靖範
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2022-06-07 
登録番号 1717429 
代理人 平崎 彦治 

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