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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1385257 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-03 
確定日 2022-05-31 
意匠に係る物品 輸液バッグ 
事件の表示 意願2021−2487「輸液バッグ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は,令和3年(2021年)2月4日の意匠登録出願であって,同年6月21日付けの拒絶理由の通知に対し,同年8月6日に意見書が提出されたが,同年9月27日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「輸液バッグ」とし,その形状を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「赤色に着色された部分以外の部分(正面略中央に設けられた2本の縦線及び2本の横線からなる枠模様)が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。正面視上部に設けられた小円形状部は,吊孔であり,意匠登録を受けようとする部分ではない。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠:
表題 「ネオパレン1号,2号」の上・下室液のカリウム濃度変更について
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2007年 7月10日
検索日 2021年 6月16日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL:
https://www.hosp.yamanashi.ac.jp/wp_hosp/wp−content/themes/Medical_school/pdf/di_box/dibox0244.pdf
に掲載された,ネオパレン1号(1000mL)の意匠

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「輸液バッグ」である。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,輸液バッグの,正面視における中央やや上に位置する,縦横比が約1:1.6の横長長方形の区域における,区域の上下左右の辺に沿って,各辺の中央に施した,2本の縦線と2本の横線部分である。
区域の大きさは,縦の長さが全体の約7分の1,横の長さが全体の約2分の1である。
本願部分は,輸液バッグの,長方形の区域を示唆するという用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状
4本の線は,同じ太さの太い線であって,縦線は,区域の縦長さの約3分の1であり,横線は,区域の横長さの約7分の4の長さであって,縦線と横線の長さの比率は,約1:2.9である。

2.引用意匠
引用意匠は,上記「第3」のインターネットの記載内容によると,以下のとおりである。
なお,引用部分の形状の認定に際しては,本願部分と同じ向きとして認定する。

(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は,高カロリー輸液剤を収容する「輸液バッグ」である。

(2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,輸液バッグの,正面視における中央やや上に位置する,縦横比が約1:1.3の横長長方形の区域における,区域の上下左右の辺に沿った枠線部分である。
区域の大きさは,縦の長さが全体の約5分の1,横の長さが全体の約2分の1である。
引用部分は,輸液バッグの,長方形の枠模様としての用途及び機能を有するものである。

(3)引用部分の形状
枠線は,左右の縦辺と下辺の太さは同一で,上辺は,左右の辺及び下辺(以下「3辺」という。)の約4倍の太さで,上辺の左側約3分の2の部分は,3辺の約6倍の太さ(幅)である。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品も,引用意匠に係る物品も,共に「輸液バッグ」である。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比
本願部分は,輸液バッグの,正面視における中央やや上に位置する,縦横比が約1:1.6の横長長方形の区域における,区域の上下左右の辺に沿って,各辺の中央に施した,2本の縦線と2本の横線部分であるのに対して,引用部分は,輸液バッグの,正面視における中央やや上に位置する,縦横比が約1:1.3の横長長方形の区域における,区域の上下左右の辺に沿った枠線部分である。
本願部分に係る区域の大きさは,縦の長さが全体の約7分の1,横の長さが全体の約2分の1であるのに対して,引用部分に係る区域の大きさは,縦の長さが全体の約5分の1,横の長さが全体の約2分の1である。
本願部分は,輸液バッグの,長方形の区域を示唆するという用途及び機能を有するものであるのに対して,引用部分は,輸液バッグの,長方形の枠模様としての用途及び機能を有するものである。

(3)両部分の形状の対比
両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
横長長方形の枠状を表す形状である。

イ.相違点について
本願部分は,長方形の区域における,区域の上下左右の辺に沿って,各辺の中央に施した,2本の縦線と2本の横線部分であって,4本の線は,同じ太さの太い線で,縦線は,区域の縦長さの約3分の1であり,横線は,区域の横長さの約7分の4の長さであって,縦線と横線の長さの比率は,約1:2.9とした線模様であるのに対して,引用意匠は,枠線を,左右の縦辺と下辺の太さは同一で,上辺は,左右辺と下辺による3辺の約4倍の太さ,上辺の左側約3分の2部分は,3辺の約6倍の太さ(幅)とした長方形の枠状線模様である。

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の,意匠に係る物品は,いずれも「輸液バッグ」であるから,一致している。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価
両部分共に,輸液バッグの,正面視における中央やや上に位置するものであるから,両部分の位置は一致している。
本願部分に係る区域の大きさは,縦の長さが全体の約7分の1,横の長さが全体の約2分の1であるのに対して,引用部分に係る区域の大きさは,縦の長さが全体の約5分の1,横の長さが全体の約2分の1であるから,両部分の大きさ及び範囲は共通している。
本願部分は,輸液バッグの,長方形の区域を示唆するという用途及び機能を有するものであるのに対して,引用部分は,輸液バッグの,長方形の枠模様としての用途及び機能を有するものであり,いずれも長方形の区域を示すことから,両部分の用途及び機能は共通している。

(3)両部分における形状の評価
ア.共通点について
共通点は,大まかに捉えた形状についての共通点であり,この程度においては,この種物品分野においてありふれた形状であるから,両部分の類否判断に与える影響は小さい。

イ.相違点について
両部分共に,横長長方形の区域を表すものであるが,本願部分は,長方形の角を描かないことで区域を控えめに示すものであるのに対して,引用部分は,長方形を完全に囲むことで区域を明確に示すものであり,なおかつ,上辺の左側約3分の2部分の幅の広い箇所は,インデックスとして用いることができる形状であることから,両意匠に全く別の印象を生じさせているといえ,両部分の類否判断に与える影響はとても大きい。

(4)小括
そうすると,両部分の形状については,その共通点及び相違点の評価に基づくと,上記のとおり,共通点は,類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して,相違点によって類否判断に及ぼす影響は大きいものといえるものであり,両部分の形状は,類似するとは認められないものである。

(5)両意匠における類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の位置が一致し,両部分の大きさ及び範囲,並びに用途及び機能が共通している。
しかし,上記のとおり,両部分の形状は,類似するとは認められないものである。
よって,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。

5.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似するとはいえず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲


審決日 2022-05-10 
出願番号 2021002487 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2022-06-06 
登録番号 1717265 
代理人 松井 宏記 
代理人 鈴木 行大 
代理人 宗助 智左子 
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