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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 L3 |
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管理番号 | 1386226 |
総通号数 | 7 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-09-24 |
確定日 | 2022-06-17 |
意匠に係る物品 | プラントのコントロールルームの内装 |
事件の表示 | 意願2020− 6315「プラントのコントロールルームの内装」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年(2020年)4月1日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和 2年(2020年)11月27日付け 拒絶理由通知書 令和 3年(2021年) 1月12日 意見書の提出 同年 6月23日付け 拒絶査定 同年 9月24日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願は、店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾を構成する物品及び建築物の部分(以下、「店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾」を「内装」といい、内装を構成する物品及び建築物の部分を「内装の部分」という。)について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の意匠に係る物品の欄の記載を「プラントのコントロールルームの内装」とし、その内装を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであり、本願意匠において内装の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用した意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下、「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「本願意匠はプラントのコントロールルームの内装であって、添付図面中、実線で表された部分について意匠登録を受けようとするものです。具体的には、以下の設備から構成されています。 (1)全体が矩形状の壁面ディスプレイ (2)天板が正面及び左右斜め前の計3方向を向いたワークステーション (3)天板が矩形状のデスク そしてこれらのレイアウトについて、(1)のディスプレイに正対するよう(2)のワークステーションが計4つ、2×2状に配置され、さらにその後方に(3)のデスクが2つ、左斜め後方に1つ、右斜め後方に1つの計4つ配置されています。 この本願意匠の創作非容易性について、以下、当業者の観点から検討します。 まず、各種施設等の制御や監視を行う内装空間の分野において、本願意匠と同様に、全体が矩形状の壁面ディスプレイに正対するよう、ワークステーションを計4つ、2×2状に配したものは本願出願前に既に公知となっています(下記の意匠1)。 また、ワークステーションの後方、及び斜め後方にデスクを配することは、本願出願前から既に行われています(前者は下記の意匠2、後者は下記の意匠3)。 そして、本願意匠の(2)と同様に天板が正面及び左右斜め前の計3方向を向いたワークステーション、及び(3)と同様に天板が矩形状になったデスクは本願出願前に既に公知となっています(前者は下記の意匠3、後者は下記の意匠4)。 そうすると、本願出願前に公然知られた意匠1を基本とし、そのワークステーションの天板を意匠3のものに置き換え、上述した既存の手法を用いて、ワークステーションの後方、及び斜め後方に、本願出願前に公然知られた意匠4のデスクを配したにすぎない本願意匠に格別の創意を見いだすことはできず、当業者であれば、容易に創作することができた意匠と判断されます。 【意匠1】 著者の氏名 Business Wire, Inc 表題 Planar Honored with Four Industry Awards at InfoComm 2015 掲載箇所 以下URLのページ内 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2015年7月1日頃 検索日 2020年11月26日 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス https://www.businesswire.com/news/home/20150701005149/en/Planar-Honored-with-Four-Industry-Awards-at-InfoComm-2015 拡大画像) https://mms.businesswire.com/media/20150701005149/en/474924/5/Planar_DirectLight_Awards_NB_Best_of_Show_2015.jpg?download=1 に掲載されたコントロールルームの内装の意匠 【意匠2】 著者の氏名 にいがた子育て応援団 トキっ子くらぶ 表題 気になる原子力発電vol.4柏崎刈羽原子力発電所の安全対策や働く人の思いを紹介 掲載箇所 以下URLのページ内 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2016年9月頃 検索日 2020年11月16日 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス https://tokicco.net/tepco_safety_measure_list/ https://tokicco.net/kininaru2016vol4/?utm_source=kininarulist&utm_medium=banner&utm_campaign=kininaru 拡大画像) https://tokicco.net/wp-content/uploads/2016/08/IMG_0451.jpg に掲載された原子力発電所の運転訓練センターの内装の意匠 【意匠3】 特開2008−117718 【図1】及び関連する記載により表された発電所の中央制御室の意匠 (符号5:中央運転監視盤、符号10:打合せコーナー) 【意匠4】 意匠登録第1358696号の意匠」 第4 当審の判断 以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠(別紙第1参照) (1)本願意匠について 本願意匠は、浄水場、製油所などのプラントの制御を行う「プラントのコントロールルームの内装」である。 (2)本願部分の用途及び機能 本願部分は、床及びその後方に立設する壁と、床面に設置した制御卓の天板(以下「制御卓天板」という。)及び会議用テーブルの天板(以下「テーブル天板」という。)並びに壁面に設置した表示パネル(スクリーン)である。 (3)本願部分の位置、大きさ及び範囲 本願部分は、床面の中央後方寄りで床面より高い位置に制御卓天板を2行2列に整列して4枚配置し、中央前方寄りにテーブル天板を横に2枚と左右端の中央やや前方寄りの延出箇所に1枚ずつの合計4枚を、すべて制御卓天板と高さを揃えて配置し、壁面の中央上方寄りに表示パネルを3枚近接して配置したもの(以下、3枚の表示パネルを合わせて「表示パネル部」という。)であって、壁は、床の約2割の大きさで、制御卓天板(4枚)及びテーブル天板(4枚)の上面の大きさは、それぞれ床面の約1/8と約1/18で、表示パネル部の正面の大きさは、壁面の約3/5弱である。 (4)本願部分の形状等 ア 床及び壁 床背面の横幅と壁の横幅は同幅で、床の背面に壁の正面下端が密着している。 床は、平面視略横長長方形の下端両隅を、左右側を上辺とする略倒直角台形に切り欠き、左右端の中央やや下寄りから外側斜め下方に向かって略矩形状に延出した左右対称形の板状で、壁は、略横長長方形の板状である。 床の縦(奥行き)、横(背面側)及び厚みの長さの比率は、約1:1.23:0.01で、左右の延出角度は、約30度である。 壁の縦(高さ)、横及び厚みの長さの比率は、約1:5.3:0.04で、縦の長さは、床の奥行きの約1/4の長さである。 イ 制御卓天板 制御卓天板は、真ん中に略横長長方形板を配置し、その左右にこれと同形状の略横長長方形板を平面視略「ハ」の字状となるよう左右対称位置に隙間を空けて配置し、さらにその隙間に略縦長逆等脚台形板を全体が面一となるよう密着して配置し、全体として略後退翼形に形成したものである。 略横長長方形板の縦、横及び厚みの長さの比率は、約10:13:0.3で、略縦長逆等脚台形板の上辺及び下辺の長さの比率は、約7:1で、左右の長方形板の傾斜角度は、約30度である。 ウ テーブル天板 テーブル天板は、大小2枚の略横長長方形板状の天板を前後に密着してなる略縦長長方形板で、全体の縦、横及び厚みの長さの比率は、約16:13:0.5で、平面視上から約5/8の位置に2つの天板の境界を表す線を形成している。 エ 表示パネル部 表示パネル部は、縦の長さと厚みが同じ3枚の略横長長方形板状の表示パネルを、高さを揃えて横に近接して配置したものであって、中央の表示パネルのみ横の長さが短い。 表示パネル部の縦、横及び厚みの長さの比率は、約1:7.3:0.08で、左右の表示パネルの横の長さは、中央の表示パネルの約1.5倍の長さである。 2 引用意匠の認定 (1)意匠1(別紙第2参照) 意匠1は、コントロールルームの内装の意匠であって、正面の壁に略横長長方形板状の表示パネルを配置し、表示パネルに正対する位置に略横長卓状の制御卓を2行2列に整列して4つ配置したものである。 (2)意匠2(別紙第3参照) 意匠2は、原子力発電所の運転訓練センターの内装の意匠であって、正面の壁一杯に略横長長方形の表示パネルを配置し、表示パネルに正対する位置に略横長卓状の制御卓を配置し、その後方にテーブルを配置したものであって、制御卓は、両端が後方に湾曲している。 (3)意匠3(別紙第4参照) 意匠3は、発電所の中央制御室の中央運転監視盤の意匠であって、平面視において、真ん中に略横長逆等脚台形を配置し、その左右に略横長長方形を略「ハ」の字状となるよう左右対称位置に隙間を空けて配置し、その隙間に略縦長逆台形を密着して配置し、全体として略後退翼形に形成したものである。 (4)意匠4(別紙第5参照) ア 意匠4の意匠に係る物品は、「テーブル」である。 イ 形状等 意匠4の形状等は、略横長長方形板の天板の底面の四隅と正背の左端寄りに略角棒状の脚を設けたものであって、天板の左寄りに縦の分割線を形成している。 天板の縦、横及び厚みの長さの比率は、約1:2:0.02で、分割線は、平面視左から約1/3弱の位置に形成している。 3 本願意匠の創作性の検討 この内装を構成する物品又は建築物の属する分野において、正面の壁に略横長長方形の表示パネルを配置し、表示パネルに正対する位置に略横長卓状の制御卓を2行2列に整列して4つ配置した内装は、本願の出願前に公然知られているものである(意匠1)。また、制御卓の天板を略後退翼形に形成したものも、本願の出願前に公然知られているものである(意匠3)。さらに、制御卓の後方にテーブルを配置した内装(意匠2)や、略長方形板状のテーブルの天板が、本願の出願前に公然知られているものである(意匠4)。 しかしながら、本願部分のように、 (1)床を、平面視略横長長方形の下端両隅を、左右側を上辺とする略倒直角台形に切り欠き、左右端の中央やや下寄りから外側斜め下方に向かって略矩形状に延出した左右対称形の板状としたもの、 (2)制御卓天板を、真ん中に略横長長方形板を配置し、その左右にこれと同形状の略横長長方形板を平面視略「ハ」の字状となるよう左右対称位置に隙間を空けて配置し、その隙間に略縦長逆等脚台形板を全体が面一となるよう密着して配置したもの、 (3)テーブル天板を、大小2枚の略横長長方形板状の天板を前後に密着してなる略縦長長方形板としたもの、 (4)テーブル天板の配置について、中央前方寄りに横に2枚と左右端の中央やや前方寄りの延出箇所に1枚ずつ、すべて制御卓天板と高さを揃えて配置したものは、いずれも、本願部分の他には見られないものであるから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。 そうすると、本願意匠は、この内装を構成する物品又は建築物の属する分野において、独自の着想によって創出したものであり、当業者が引用意匠に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-06-07 |
出願番号 | 2020006315 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(L3)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 外山 雅暁 |
登録日 | 2022-06-27 |
登録番号 | 1718993 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 茜ヶ久保 公二 |
代理人 | 林 美和 |