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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7
管理番号 1386227 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-01 
確定日 2022-05-26 
意匠に係る物品 パーテーション 
事件の表示 意願2020− 15171「パーテーション」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 主な手続の経緯

令和2年(2020年) 7月21日 意匠登録出願
令和3年(2021年) 2月 4日付け 拒絶理由通知書
同年 3月30日 意見書提出
同年 6月28日付け 拒絶査定
同年 10月 1日 審判請求書提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「パーテーション」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
著者の氏名 Amazon.com
表題 日本製 透明アクリルパーテーション W1400×H705mm 板厚3mm 組立式アルミ製フレーム安定性抜群 スクリーン 間仕切り 衝立 オフィス 会社 クリニック 飛沫感染予防 yap−14070
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 平成29年5月21日
検索日 [令和3年1月28日検索]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス
URL:
https://www.amazon.co.jp/%E9%80%8F%E6%98%8E%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3W1400%C3%97H705mm-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E8%A3%BD%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0-%E9%A3%9B%E6%B2%AB%E6%84%9F%E6%9F%93%E4%BA%88%E9%98%B2-yap-14070/dp/B08K8KKFDF
に掲載されたパーテーションの意匠の本願意匠に対応する部分

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「パーテーション」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「透明アクリルパーテーション」であって、表記は一部異なるが、どちらも、ウイルスの飛沫防止対策等に使用される間仕切りであるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。

(2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)は、飛沫防止の用途及び機能を有するスタンドを除いたパーテーション本体の部分であるから、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲は一致する。

(3)両部分の形状等
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、両部分の対比のため、本願意匠の図の向きに合わせて、引用意匠の図の向きを認定する。

ア 共通点
両部分は、正面視略横長長方形の透明な平板の平底面の横いっぱいに、略角棒状のフレームを1本ずつ取り付け、両側面に平板より縦長の略角棒状の支柱を上側のフレームに上端を揃えて左右から挟み込むように1本ずつ取り付けたものである点において共通する。

イ 相違点
(相違点1)正面における縦(高さ)横の長さの比率について、本願部分は、約1:1.37であるのに対し、引用部分は、約1:2で、引用部分の方が横長である点、
(相違点2)フレームについて、本願部分は、端面が略横長長方形で、正背面は平坦な面であるのに対し、引用部分は、端面が略縦長長方形で、正背面の真ん中にそれぞれ長手方向に沿って溝を形成している点、
本願部分は、上側のフレームの平面と下側のフレームの底面の真ん中にそれぞれ長手方向に沿って溝を形成しているのに対し、引用部分は、不明である点、
(相違点3)支柱について、本願部分は、平面視略縦長長方形で、外側の上下の角に面取りを施しているのに対し、引用部分は、平面視略正方形で、4辺の真ん中にそれぞれ長手方向に沿って溝を形成し、左右側面の上下端寄りの溝にそれぞれ略半球状のボルトヘッドが突出している点、
本願部分は、上端に略矩形板状のエンドキャップを取り付けているのに対し、引用部分は、不明である点において相違する。

類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲の類否判断
両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲は、同一である。

(3)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価
両意匠は、オフィスや会議室等に設置し、ウイルスの飛沫防止対策等に使用されるパーテーションであるから、需要者は、パーテーションの購入者のほか、パーテーションの取引業者や内装の施工業者が含まれる。
したがって、当該パーテーションのうち、全体を支える枠組みとなり、且つ目に付きやすいフレーム及び支柱の態様が需要者の注意を強く惹く部分といえる。

ア 共通点の評価
この種物品の分野において、正面視略横長長方形の平板の平底面の横いっぱいに、略角棒状のフレームを取り付け、両側面に平板より縦長の略角棒状の支柱を上側のフレームに上端を揃えて左右から挟み込むように取り付けたものは、下記の参考意匠1に見られるように、本願の出願前から公然知られており、また、平板を透明としたものも、下記の参考意匠2に見られるように、本願の出願前から公然知られていることから、これらの共通点は、両部分にのみ見られる特有の態様とはいえず、両部分の類否判断に与える影響は小さい。

参考意匠1(別紙第3参照)
特許庁意匠課が2009年11月13日に受け入れた、2009年11月9日公開の「パーテーション」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号HJ21038949)

参考意匠2(別紙第4参照)
特許庁意匠課が2021年1月29日に受け入れた、2020年6月16日公開の「飛沫感染防止用パーテーション」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号RJ02059632)

イ 相違点の評価
(相違点1)正面における縦横の長さの比率について、本願意匠より引用意匠の方がやや横長であるが、その差はわずかであって、常套的になされる改変の範囲内のものであるから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。
(相違点2)フレームについて、端面が略横長長方形で、正背面は平坦な面である本願部分と、端面が略縦長長方形で、正背面の真ん中にそれぞれ長手方向に沿って溝を形成している引用部分とは、一見して異なる視覚的印象といえ、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
上側のフレームの平面と下側のフレームの底面の真ん中に形成している溝については、両部分の比較において、底面側の溝はほとんど目に付かない一方、平面側の溝はフレームの上面で目に付くことから、両部分の類否判断に一定の影響を与えるものといえる。
(相違点3)支柱について、平板を両側から支え、下端にスタンドを取り付けて脚となる支柱は、最も需要者の注目する部分といえるところ、平面視略縦長長方形で、外側の上下の角に面取りを施している本願部分と、平面視略正方形で、4辺の真ん中にそれぞれ長手方向に沿って溝を形成し、左右側面の上下端寄りの溝にそれぞれ略半球状のボルトヘッドが突出したものである引用部分とは、明らかに異なる形状として認識できるものであるから、(相違点2)と相まって、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
上端に取り付けているエンドキャップについては、この種物品の分野においては、支柱の終端にエンドキャップを取り付けたものが、ごく普通に見られることから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。

ウ 形状等の類否判断
両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点は、両部分の類否判断に与える影響は小さいものであるのに対し、(相違点1)及び(相違点3)のうち、エンドキャップについては、両部分の類否判断に与える影響は小さいものの、(相違点2)及び(相違点3)は、両部分の類否判断に与える影響は大きいか、一定の影響を与えるものである。
したがって、両部分の形状等を全体として総合的に観察した場合、両部分の形状等は、共通点に比べて、相違点が与える影響の方が大きいものであるから、両部分の形状等は類似しない。

(4)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、形状等においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲







審決日 2022-05-11 
出願番号 2020015171 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 内藤 弘樹
上島 靖範
登録日 2022-06-16 
登録番号 1718132 
代理人 アイアット国際特許業務法人 

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