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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1386235 |
総通号数 | 7 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-01-26 |
確定日 | 2022-06-27 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2020−10553「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、令和2年(2020年)5月28日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和 2年 6月 5日 :新規性の喪失の例外証明書の提出 令和 3年 2月 1日付け :拒絶理由の通知 3月 8日 :電話応対 3月29日 :意見書の提出 10月29日付け :拒絶査定 令和 4年 1月26日 :審判請求書の提出 1月26日 :上申書の提出 2月 3日 :手続補正書の提出 2月 3日 :手続補正書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「包装用容器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 掲載者: 株式会社 資生堂 表題: "光ダメージ"に向き合う、新「リバイタル」がすごい理由って? 媒体のタイプ: on line 掲載年月日: 令和 2年 4月27日 検索日: 令和 3年 1月27日 情報の情報源: インターネット 情報のアドレス:https://www.shiseido.co.jp/sw/beautyinfo/DB009184/ に掲載の包装用容器の意匠 第4 当審の判断 1.本願意匠 本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の、意匠に係る物品は「包装用容器」である。 (2)本願意匠の形状 〔形状A1〕全体は、本体とキャップから成り、本体の上にノズルを設けたものである。 〔形状A2〕キャップは、略円筒状である。 〔形状A2−1〕キャップの周面は、僅かに下すぼまりである。 〔形状A2−2〕キャップの上面は、本の僅かに膨出した湾曲面である。 〔形状A3〕本体は、縦長の回転体である。 〔形状A3−1〕本体は、肩部と胴部から成り、上から約6分の1が肩部で、その下約6分の5が胴部である。 〔形状A3−2〕本体の肩部と胴部の間には、僅かな隙間を設けている。 〔形状A3−3〕本体の肩部は、曲線によってラッパ状に裾広がりとなっている。 〔形状A3−4〕本体の胴部は、下すぼまりである。 〔形状A4〕ノズルは、正面視で略凸形状とした2段円柱状である。 2.引用意匠 事案に鑑みて、引用意匠が、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に該当するか否かを検討する前に、引用意匠の形状について検討する。 引用意匠は、上記「第3」のインターネットの記載の内容によると、以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 引用意匠の、意匠に係る物品は「包装用容器」である。 (2)引用意匠の形状 〔形状B1〕全体は、本体とキャップから成るものである。 〔形状B2〕キャップは、略円筒状である。 〔形状B2−1〕キャップの周面は、僅かに下すぼまりである。 〔形状B2−2〕キャップの上面は、僅かに膨出しているか平面か不明である。 〔形状B3〕本体は、縦長の回転体である。 〔形状B3−1〕本体は、肩部と胴部から成り、上から約6分の1が肩部で、その下約6分の5が胴部である。 〔形状B3−2〕本体の肩部と胴部の間に隙間があるか否か不明である。 〔形状B3−3〕本体の肩部は、曲線によってラッパ状に裾広がりとなっている。 〔形状B3−4〕本体の胴部は、下すぼまりである。 〔形状B4〕キャップの中の状態は不明であるから、ノズルの有無または形状は不明である。 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠と引用意匠の、意匠に係る物品は、共に包装用容器である。 (2)両意匠の形状の対比 両意匠の形状を対比すると、以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 ア.共通点について 〔共通点1〕全体は、本体とキャップから成るものである。(形状A1とB1) 〔共通点2〕キャップは、略円筒状である。(形状A2とB2) 〔共通点3〕キャップの周面は、僅かに下すぼまりである。(形状A2−1とB2−1) 〔共通点4〕本体は、縦長の回転体である。(形状A3とB3) 〔共通点5〕本体は、肩部と胴部から成り、上から約6分の1が肩部で、その下約6分の5が胴部である。(形状A3−1とB3−1) 〔共通点6〕本体の肩部は、曲線によってラッパ状に裾広がりとなっている。(形状A3−3とB3−3) 〔共通点7〕本体の胴部は、下すぼまりである。(形状A3−4とB3−4) イ.相違点について 〔相違点1〕キャップの上面形状につき、本願意匠は、本の僅かに膨出した湾曲面であるのに対して、引用意匠は、僅かに膨出しているか平面か不明である。(形状A2−2とB2−2) 〔相違点2〕本体の肩部と胴部の間につき、本願意匠は、僅かな隙間を設けているのに対して、引用意匠は、隙間があるか否か不明である。(形状A3−2とB3−2) 〔相違点3〕本体の上に設けたノズルにつき、本願意匠は、正面視で略凸形状とした2段円柱状であるのに対して、引用意匠は、ノズルの有無または形状は不明である。(形状A3−5とB3−5) 4.判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 本願意匠と引用意匠の、意匠に係る物品は、共に包装用容器であるから、一致している。 (2)両意匠における形状の評価 ア.共通点について 共通点1ないし4、及び7は、包装用容器において、ごくありふれた形状と認められ、両意匠のみの特徴とは認められないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 共通点5は、共通点6と相まって、両意匠における特徴といえ、共通感を生じさせており、両意匠の類否判断に与える影響は認められる。 イ.相違点について 相違点1は、目につきやすい部分の相違と認められるが、本願意匠の湾曲面の膨出度が本の僅かであるから、引用意匠の上面が膨出していようがいまいが、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 相違点2は、肩部と胴部の間に隙間を設けていることは、本願意匠の特徴であり、この点につき不明である引用意匠とは、別異の印象を導き出していると認められ、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点3は、キャップをしている状態では見えない部分における相違であるが、使用時には、指に触れる部分、操作をする部分であるから、需要者が注目する部分の相違といえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (3)両意匠における形状の類否判断 以上のとおり、共通点は、共通点5及び6によって、共通感を生じさせているものであるが、これらの共通点によっては、いまだ両意匠の類否判断を決する程のものとはいえないのに対して、相違点によっては、需要者に別異の印象を起こさせるものであるから、両意匠の類否判断を決するものといえる。 そうすると、本願意匠の形状と引用意匠の形状は、類似するとは認められない。 (4)両意匠における類否判断 よって、両意匠は、意匠に係る物品が一致するが、上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから、本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。 第5 結び したがって、本願意匠は、引用意匠に類似しないものであるから、引用意匠が本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に該当するか否かを判断するまでもなく、原査定の引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-06-15 |
出願番号 | 2020010553 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2022-07-08 |
登録番号 | 1720023 |
代理人 | 木村 智加 |
代理人 | 川越 弘 |
代理人 | 原田 雅美 |