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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 K0 |
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管理番号 | 1388455 |
総通号数 | 9 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-04-28 |
確定日 | 2022-09-05 |
意匠に係る物品 | 半導体製造用粘着テープ材 |
事件の表示 | 意願2021− 16753「半導体製造用粘着テープ材」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和3年(2021年)8月2日の意匠登録出願であって、同年12月13日付けの拒絶理由の通知に対し、令和4年1月17日に意見書が提出されたが、同年3月23日付けで拒絶の査定がなされ、これに対して、同年4月28日に審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「半導体製造用粘着テープ材」としたものであって、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、形状、模様又は色彩の結合を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし、「意匠登録を受けようとする部分は、接着剤層部の表面に係る。実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,この部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用した形状等 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像(以下、これらの形状等又は画像を「公知となった形状等」という。)に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであり、引用した形状等は、以下のとおりである。 引用文献1: 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2020−193309 【図6】(写真、倍率1000)の相分離した導電性接着剤をシート状と した場合の表面の模様のうち、長手方向が約20μm程度となる略長方形 の範囲 引用文献2: 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2021−038427 【図3】〜【図5】のSEM画像及び関連する記載から導き出される銀粒 子Bの形状 第4 当審の判断 1 本願意匠の認定 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「半導体製造用粘着テープ材」であり、半導体の製造工程において、半導体ウェハのダイシング等に使用する粘着テープ材である。 (2)本願部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲 本願部分は、背面図の中央に表れる、直径を背面図の縦の長さ(本物品の幅)の約5分の4の大きさとする円形状の接着剤層部の内、中心部分に当たる、横方向の長さを約20μm(マイクロメートル)とする、縦横比が約2対3の横長長方形の表面部分であって、半導体ウェハを貼り付けるという用途及び機能を有するものである。 (3)本願部分の形状等 本願部分は、無数の粒子が不規則に凝集した態様が全体に平均的に分散している粒子群の領域と粒子群でない領域が存在するもので、それぞれの占める割合を約1対1とし、粒子群でない領域が迷路状に表れているものである。 粒子群を具体的に見ると、粒子群は、様々な粒子から成るものであって、当該粒子はおおむね砂利状で、円形に近いものから多角形のようなものまで、様々な形状で大きさの異なるものであり、粒子群によっては、粒子の連なる個数及び形状が異なっている。 2 原査定における拒絶の理由に引用した形状等 (1)引用文献1から引用した模様(別紙第2参照) 引用文献1から引用した模様は、相分離した導電性接着剤をシート状とした場合の表面状態に係るもので、【図6】において、右下方に付されている10μmの目盛りを基にして横の長さを20μmとする、縦横比が約2対3の横長長方形の範囲に表れているものである。 その模様は、やや濃い灰色の部分とやや薄い灰色の部分がまだら状のものであって、同文献の【図2】(c)及びその説明によれば、やや濃い灰色の部分が導電性粒子を含む熱重合後のベース樹脂の領域で、やや薄い灰色の部分がIn−Situ重合後の領域であると推認できるところ、いまだ、ベース樹脂の領域内での導電性粒子の具体的な並び方は不明であり、なおかつ、濃い灰色の部分に対して、薄い灰色の部分の占める割合の方が大きいものである。 (2)引用文献2から引用した形状(別紙第3参照) 引用文献2から引用した形状は、銀粒子の焼結体に係るもので、【図3】ないし【図5】に表れている粒子の形状であるところ、その形状は、いずれの図においても、おおむね砂利状で、円形に近いものから多角形のようなものまで、様々な形状で大きさの異なるものである。 3 本願意匠の創作容易性 本願の物品分野において、接着剤層部の表面に表れる粒子の形状を、おおむね砂利状で、円形に近いものから多角形のようなものまで、様々な形状で大きさの異なるものとすることは、引用文献2の記載から容易といえる。 しかしながら、粒子群でない領域が迷路状に表れている模様は、引用文献1には記載されていないし、粒子1つ1つの形状及びその連なり方を、選択し決定したという創作の内容である本願部分の形状等は、引用文献1にも引用文献2にも記載されていない。 そうすると、本願部分の形状等は、引用文献1及び2の記載から導き出すことができるものとはいえない。 したがって、本願意匠は、出願前に公知となった形状等に基づいて、当業者が容易に創作をすることができたものではない。 4 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないので、原査定における拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-08-18 |
出願番号 | 2021016753 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(K0)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
上島 靖範 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2022-09-08 |
登録番号 | 1725083 |
代理人 | 野村 信三郎 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 黒川 朋也 |