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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D5
管理番号 1389445 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-06 
確定日 2019-09-03 
意匠に係る物品 局部洗浄器付き便座 
事件の表示 意願2018− 1100「局部洗浄器付き便座」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要
1 手続の経緯
本願は、平成30年1月22日の意匠登録出願であって、同年5月25日付けの拒絶理由の通知に対し、同年7月9日に意見書が提出されたが、同年10月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年2月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願意匠の願書の記載及び添付図面
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品を「局部洗浄器付き便座」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「赤色で着色された部分以外の部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠は、日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成15年1月27日)に記載された、意匠登録第1164073号(意匠に係る物品、便所用局部洗浄器付き便座)の意匠であり、その形態は、同公報に記載されたとおりのものであり、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分を、引用意匠の右側面側における本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。

第2 当審の判断
1 意匠の認定
(1)本願意匠
ア 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「局部洗浄器付き便座」である。

イ 本願部分の用途及び機能
本願部分は、局部洗浄器付き便座の機能部筐体(きょうたい)と便座の一部であって、機能部を保護する用途及び機能と、着座時に人体を支える用途及び機能を有する。

ウ 本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、便座の左側面視下方の位置にあり、便座部と機能部の間に形成されたスリット状境界部を挟んだ前後の便座部と機能部の側面部及び傾斜面部のうち、左側面視横長矩形状の区域であって、左側面視横幅の約3/10、左側面視の機能部筐体側面部のうち最も高い部分の高さ(以下、「機能部筐体側面部高さ」という。)の約1/5の大きさ及び範囲を占めている。

エ 本願部分の形態
(ア)全体の基本構成は、機能部が便座の背面後方から便座部の底面側に略くさび状に入り込んだ態様で、便座部と機能部の間にはスリット状境界部が形成され、便座部の面部及び機能部の面部は、それぞれ側面部と底面側の傾斜面部から成る。
(イ)便座部の側面部と機能部の側面部は、スリット状境界部を挟んでほぼ連続する側面視横長矩形状の一つの面を構成しており、底面視において便座部の側面部下端と機能部の側面部下端が一直線状に連続している。
(ウ)便座部の傾斜面部は、底面内側に向かって垂直面から約40度傾斜しており、角面取り状で、底面視において細幅に表れる。
(エ)傾斜面部の側面視における高さは、便座部の傾斜面部が、機能部の傾斜面部よりも小さい。また、側面視における便座部及び機能部傾斜面部の高さと、機能部筐体側面部の高さとの比率(以下、「便座部及び機能部の傾斜面部の高さと機能部筐体側面部高さとの比率」という。)は、それぞれ、約1/25、約2/25である。
(オ)スリット状境界部は、スリットの傾斜角が約45度で、便座部の傾斜面部に係る部分が曲線的に湾曲しており、その隙間は底面寄りにおいて一定幅でなく、機能部の傾斜面部に係る部分が側面視略垂直にカットされたようになっている。

(2)引用意匠
当審において、引用部分、すなわち本願部分に相当する部分は、引用意匠の便座の右側面視下方の、便座部と機能部の間に形成されたスリット状境界部を挟んだ前後の便座部と機能部の側面部及び傾斜面部からなる右側面視横長矩形状の区域の部分とし、右側面視横幅の約3/10、右側面視の機能部筐体側面部高さの約2/5の大きさ及び範囲を占める部分として、以下認定し、検討を行う。

ア 意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は、「便所用局部洗浄器付き便座」である。

イ 引用部分の用途及び機能
引用部分は、局部洗浄器付き便座の機能部筐体と便座の一部であって、機能部を保護する用途及び機能と、着座時に人体を支える用途及び機能を有する。

ウ 引用部分の位置、大きさ及び範囲
引用部分は、便座の右側面視下方の位置にあり、便座部と機能部の間に形成されたスリット状境界部を挟んだ前後の便座部と機能部の側面部及び傾斜面部のうち、右側面視横長矩形状の区域であって、右側面視横幅の約3/10、右側面視の機能部筐体側面部高さの約2/5の大きさ及び範囲を占めている。

エ 引用部分の形態
(ア)全体の基本構成は、機能部が便座の背面後方から便座部の底面側に略くさび状に入り込んだ態様で、便座部と機能部の間にはスリット状境界部が形成され、便座部の面部及び機能部の面部は、それぞれ側面部と底面側の傾斜面部から成る。
(イ)便座部の側面部と機能部の側面部は、スリット状境界部を挟んでほぼ連続する側面視横長矩形状の一つの面を構成しており、底面視において便座部の側面部下端と機能部の側面部下端は僅かに湾曲した曲線状に連続している。
(ウ)便座部の傾斜面部は、底面内側に向かって垂直面から約60度傾斜しており、凸湾曲面状で、底面視において広幅に表れる。
(エ)傾斜面部の側面視における高さは、便座部の傾斜面部が、機能部の傾斜面部よりも小さい。また、便座部及び機能部の傾斜面部の高さと機能部筐体側面部高さとの比率は、それぞれ、約1/5、約1/11である。
(オ)スリット状境界部は、スリットの傾斜角が約45度で、直線的で、その隙間は底面寄りにおいて一定幅でなく、機能部の傾斜面部に係る部分が側面視略垂直にカットされたようになっている。

2 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも局部洗浄機能が付いた便座であることから、用途及び機能が共通するものである。

(2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも局部洗浄器付き便座の機能部筐体と便座の一部であって、機能部を保護する用途及び機能と、着座時に人体を支える用途及び機能を有する。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、便座の側面視下方の位置にあり、便座部と機能部の間に形成されたスリット状境界部を挟んだ前後の便座部と機能部の側面部及び傾斜面部のうち、側面視横長矩形状の区域である点で共通する。他方、本願部分は便座の左側面視下方の位置にあるのに対し引用部分は便座の右側面視下方の位置にある点、本願部分は、左側面視横幅の約3/10、左側面視の機能部筐体側面部高さの約1/5の大きさ及び範囲を占めているのに対し、引用部分は、右側面視横幅の約3/10、右側面視の機能部筐体側面部高さの約2/5の大きさ及び範囲を占めている点において、両部分の範囲は相違する。

(4)両部分の形態の対比
ア 両部分の形態の共通点
(共通点1)両部分は、全体の基本構成が、機能部が便座の背面後方から便座部の底面側に略くさび状に入り込んだ態様で、便座部と機能部の間にはスリット状境界部が形成され、便座部の面部及び機能部の面部は、それぞれ側面部と底面側の傾斜面部から成るものである点で共通する。
(共通点2)両部分は、便座部の側面部と機能部の側面部が、スリット状境界部を挟んでほぼ連続する側面視横長矩形状の一つの面を構成している点で共通する。
(共通点3)両部分は、側面視の高さについて、便座部の傾斜面部が、機能部の傾斜面部よりも小さいものである点で共通する。
(共通点4)両部分は、スリット状境界部の傾斜角が約45度である点で共通する。
(共通点5)両部分は、スリット状境界部の隙間について、底面寄りにおいて一定幅でなく、機能部の傾斜面部に係る部分が側面視略垂直にカットされたようになっている点で共通する。

イ 両部分の形態の相違点
(相違点1)便座部の側面部及び機能部の側面部について、本願部分は底面視において、スリット状境界部を挟んで一直線状に連続しているのに対して、引用意匠は底面視において、スリット状境界部を挟んで僅かに湾曲した曲線状に連続している点で、両部分は相違する。
(相違点2)便座部の傾斜面部について、本願部分は本願部分は底面内側に向かって、垂直面から約40度傾斜しており、角面取り状であるのに対して、引用部分は、底面内側に向かって、垂直面から約60度傾斜しており凸湾曲面状である点で、両部分は相違する。
(相違点3)便座部の傾斜面部の底面視における横幅について、本願部分は細幅に表れているのに対して、引用部分は広幅に表れている点で、両意匠は相違する。
(相違点4)便座部及び機能部の傾斜面部の高さと機能部筐体側面部高さとの比率について、本願部分はそれぞれ、約1/25、約2/25であるのに対し、引用部分はそれぞれ、約1/5、約1/11である点で、両部分は相違する。
(相違点5)スリット状境界部について、本願部分は、スリットの便座部の傾斜面部に係る部分が曲線的に湾曲しているのに対して、引用部分は直線的である点で、両部分は相違する。

3 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が一致するから、意匠に係る物品は同一である。

(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分は、用途及び機能が一致するから、両部分の用途及び機能は同一である。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分は、便座の側面視下方の位置にあり、便座部と機能部の間に形成されたスリット状境界部を挟んだ前後の便座部と機能部の側面部及び傾斜面部のうち、側面視横長矩形状の区域である点で共通することにより、位置、大きさ及び範囲がおおむね共通する。両部分の位置の相違について、この種物品分野において、機能部と便座部の境界位置は左右対称に表れることが多いことから、左右どちらの位置にあるかの相違は、ありふれた範囲内のものである。また、両部分の大きさ及び範囲の相違は僅かであり、両部分全体の美感にほとんど影響を与えない。

(4)両部分の形態の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は、局部洗浄機能が付いた便座であり、需要者は、便座を下げた状態のみならず、便座を上げた状態においても両意匠に係る物品を観察する。
したがって、便座を下げた状態においては、両部分全体の基本構成及び便座部と機能部の側面視の形態が需要者の注意を惹く部分であるとともに、便座を上げた状態においては、底面視における便座の傾斜面部の形態が需要者の注意を惹く部分であるということができる。

ア 両部分の共通点の評価
共通点1は、両部分全体の基本構成についてのものであって、需要者の注意を惹く部分ではあるが、この種物品分野において一般的にみられる構成であることから、両部分全体の美感に与える影響は一定程度にとどまる。
共通点2ないし共通点5に係る両部分の形態は、いずれもこの種物品分野において一般的にみられる形態であることから、両部分全体の美感に与える影響は小さい。

イ 両部分の相違点の評価
相違点1について、引用部分の湾曲の程度は僅かではあるが、機能部側面及び便座部側面が底面視一直線状に連続した本願部分は全体として平たんな印象を与えるのに対し、底面視において僅かに湾曲するようにこれらの面が連続した引用部分は全体としてやや丸みのある印象を与え、需要者に与える印象が若干異なることから、相違点1は両部分全体の美感に一定程度の影響を与える。
相違点2及び相違点3について、両部分の傾斜面の傾斜角度や角面取り状であるか、凸湾曲面状であるかは、個別にみればこの種物品分野において普通にみられる形態であるものの、両部分の底面視における傾斜面部の幅の差は顕著であり、角面取り状か凸湾曲面状かの相違と相まって、需要者に別異の印象を与えるものである。便座部の底面視における形態は、便座を上げた状態で使用する場合に、需要者の注意を惹く部分であることから、相違点2及び相違点3が両部分全体の美感に与える影響は大きい。
相違点4について、本願部分は便器に取り付けた際に隙間が小さく便器との一体性が強い印象を与えるのに対し、引用部分は便器との隙間が大きい印象を与え、その差は顕著であることから、相違点4が両部分全体の美感に与える影響は大きい。
相違点5について、本願部分のスリット状境界部の湾曲の程度はごく僅かであることから、直線状である引用部分との相違は目立たず、相違点5が両部分全体の美感に与える影響は小さい。

(5)両意匠の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両部分は、機能部及び便座部下方の傾斜面部の美感に大きな差異があり、機能部側面及び便座部側面の面の連続性においても美感に一定の差異があり、両部分全体の基本構成や、機能部及び便座部の側面部がスリットを挟んでほぼ連続する側面視横長矩形状の一つの面を構成している点、スリットの具体的形態等に共通性があることを考慮したとしても、異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、両部分の用途及び機能が同一で、両部分の位置、大きさ及び範囲がおおむね共通するが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。

第3 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。







審決日 2019-08-19 
出願番号 2018001100 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D5)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 木村 智加
江塚 尚弘
登録日 2019-10-11 
登録番号 1644720 
代理人 芝 哲央 
代理人 岩池 満 
代理人 芝 哲央 
代理人 瓜本 忠夫 
代理人 正林 真之 
代理人 瓜本 忠夫 
代理人 岩池 満 
代理人 星野 寛明 
代理人 正林 真之 
代理人 星野 寛明 

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