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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D5 |
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管理番号 | 1390625 |
総通号数 | 11 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-05-27 |
確定日 | 2022-10-28 |
意匠に係る物品 | 洋式便器用手すり |
事件の表示 | 意願2021− 16538「洋式便器用手すり」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 本願は、令和3年(2021年)7月30日に意匠登録出願され、本意匠の出願番号を意願2021−016536(意匠登録第1700662号)とする、関連意匠の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年(2021年)10月28日付け :拒絶理由通知 同年 12月 8日 :意見書の提出 令和4年(2022年) 2月22日付け :拒絶査定 同年 5月27日 :審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「洋式便器用手すり」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、物品の部分として意匠登録を受けようとする部分を、「実線で表した部分が意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、意匠登録を受けることができないとしたものであって、当該拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は、以下のとおりである。 引用意匠(別紙第2参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1685243号 (意匠に係る物品、洋式便器用手すり)の意匠の本願意匠に相当する部分 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「洋式便器用手すり」であり、一致する。 (2)本願部分と引用意匠の本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分とあわせて「両部分」という。)の用途及び機能の対比 両部分は、いずれも「洋式便器用手すり」の支柱及び肘掛けを支え、床面と密接し、人が上面に乗ることを可能とするベースプレートであるから、両部分の用途及び機能は一致する。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部分は、いずれも、手すりの最下部に位置するベースプレートの部分(以下「ベースプレート部」という。)であって、その大きさ及び範囲は、支柱との接合部を除く、ベースプレート部全体を占めるものであるから、位置、大きさ及び範囲は一致する。 (4)両部分の形状等の対比 両部分の形状等を対比すると、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア 両部分の形状等の共通点 (共通点1)基本的構成態様について、両部分は、平面視において、全体形状を縦横比率約7:10とする略横長隅丸長方形状の、上辺中央に切欠を形成した扁平な板状体で、上面周縁を傾斜面としている点で共通する。 (共通点2)上面周縁の傾斜面について、両部分は、平面視において、その傾斜面の幅を、下辺中央の直線部を最も幅広とし、下辺の両端を、側辺に向かって漸次幅狭となるように形成している点で共通する。 イ 両部分の形状等の相違点 (相違点1)下辺について、平面視において、本願部分は、下辺中央に下辺全体の横幅の約1/4の直線部を残し、両端を弧状に大きく切欠いた、略U字状であるのに対し、引用部分は、下辺中央に下辺全体の横幅の約3/4の直線部を残し、両端を隅丸とした、直線を基調とする、平面視右に90°傾けた略コ字状である点で、両部分は相違する。 (相違点2)上辺の切欠について、平面視において、本願部分は、略隅丸逆等脚台形状であるのに対し、引用部分は、左右の辺が拡開した略U形状である点で、両部分は相違する。 (相違点3)平面の円孔及び底面の六角ボルトの有無について、引用部分は、平面視において、上下中央やや下辺寄りの左右端部の位置に、それぞれ2つの小円孔を並列に配し、底面視において、上下中央よりの左右端部の位置に、縦横等間隔で二列三段に六角ボルトを配しているのに対し、本願部分には、平面の円孔及び底面の六角ボルトは見られない点で、両部分は相違する。 2 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は、同一である。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分の位置、大きさ及び範囲は、同一である。 (4)両部分の形状等の類否判断 ア 共通点について (共通点1)この種物品の分野において、全体形状を縦横比率約7:10とする略横長隅丸長方形状で、上辺中央に切欠を形成した扁平な板状体とし、上面周縁を傾斜面としたものは、下記の参考意匠に見られるように、本願の出願前から公然知られている態様であり、(共通点1)は、両部分にのみに見られ態様とはいえず、格別、需要者が注意を払うものではないから、(共通点1)が両部分の類否判断に与える影響は小さい。 参考意匠(別紙第3参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1685271号 (意匠に係る物品、洋式便器用手すり)の意匠 (共通点2)上面周縁の傾斜面について、この種物品分野において、傾斜面の幅を、下辺中央の直線部を最も幅広とし、下辺の両端を、側辺に向かって漸次幅狭としたものは、上記の参考意匠に見られるように、本願の出願前から公然知られている態様であり、両部分にのみに見られる態様とはいえず、格別、需要者の注意を強く引くものではないから、(共通点2)が両部分の類否判断に与える影響は小さい。 イ 相違点について (相違点1)下辺については、使用状態において、使用者の足が必ず通過する特に注視される部位であって、略U字状である本願部分と、平面視右に90°傾けた略コ字状である引用部分は、一見して、明らかに異なっており、需要者に異なる美感を与えるというべきであるから、(相違点1)が両部分の類否判断に与える影響は大きい。 (相違点2)上辺の切欠については、奥まった位置に設置され、通常の使用時において需要者の目につきにくい部分であるが、略隅丸逆等脚台形状である本願部分と、略U形状である引用部分は、一見して、明らかに異なっており、需要者に別異な印象を与えるというべきであるから、(共通点2)が両部分の類否判断に与える影響は一定程度ある。 (相違点3)平面の円孔及び底面の六角ボルトの有無については、平面の円孔の有無は、全体からすると、さほど目立つものではなく、また、底面における六角ボルトの有無も、通常の使用状態においては目に触れることのない底面側の態様の相違であるから、(相違点3)が両部分の類否判断に与える影響は小さい。 ウ 両部分の類否判断の評価 以上のとおり、両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体を総合的に観察した場合、(共通点1)及び(共通点2)は、両部分の類否判断に与える影響が小さいのに対し、(相違点2)及び(相違点3)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さい、または一定程度にとどまるものの、(相違点1)が、両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 (5)小括 したがって、意匠に係る物品が同一で、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲が同一であるが、その形状等は類似しないから、両意匠は類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に類似する意匠ではなく、当該引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして、同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-10-18 |
出願番号 | 2021016538 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D5)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 正田 毅 |
登録日 | 2022-11-04 |
登録番号 | 1729770 |
代理人 | 永芳 太郎 |