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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D5 |
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管理番号 | 1390626 |
総通号数 | 11 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-05-31 |
確定日 | 2022-11-01 |
意匠に係る物品 | 便器用タンク |
事件の表示 | 意願2021− 15277「便器用タンク」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 令和3年(2021年) 7月14日 意匠登録出願 同年 10月28日付け 拒絶理由通知書 同年 12月10日 意見書提出 令和4年(2022年) 2月22日付け 拒絶査定 同年 5月31日 審判請求書提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「便器用タンク」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「赤色で着色を施した部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。各断面図において青色で着色された部分は、断面形状を表したものであり、意匠登録を受けようとする部分ではない。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) 独立行政法人工業所有権情報・研修館が2018年 3月 2日に受け入れた シャワートイレ シートタイプカタログ 2017 第12頁所載 取付け用便器の吐水部の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC30001396号) 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「便器用タンク」であるのに対し、引用意匠は「取付け用便器」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致しない。 (2)本願部分と引用意匠の吐水部の用途及び機能 本願部分と引用意匠の吐水部(以下、引用意匠の吐水部を「引用部分」といい、本願部分とあわせて「両部分」という。)は、いずれも、便器用タンクの上面に取り付けられる手洗用の吐水口であるから、両部分の用途及び機能は、一致する。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲 両部分の位置は、正面の上端中央背面寄りであるから、一致し、大きさは、タンク上面に取り付けた吐水口であるから、ほぼ一致するが、範囲は、本願部分は、正面視において全体の約1/38であるのに対し、引用部分は、正面視において全体の約1/84であるから、一致せず、また、両部分の吐水口における範囲についても、本願部分は、根元を除外しているのに対し、引用部分は、吐水口全体であるから、一致しない。 (4)両部分の形状等 両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア 共通点 両部分は、全体を、正面側に湾曲した正背にやや扁平な略縦長隅丸四角錐台形とし、正面視中央上端寄りに略短円柱形の出水口を先端が下向きになるよう取り付けている点において共通する。 イ 相違点 (ア)先端について、本願部分は、側面視において、先端を先窄まりに形成しているのに対し、引用部分は、略隅丸矩形状で先端に面を形成している点、 (イ)出水口について、本願部分は、出水口の正面視における高さが、吐水口全体の約1/9であるのに対し、引用部分は、吐水口全体の約1/15で、本願部分の方が縦長である点において相違する。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、「便器用タンク」であり、引用意匠は、「取付け用便器」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致しないが、引用部分は、本願部分と同様、便器後方に取り付けたタンクの上面に形成される吐水口であるから、この相違が、両意匠の類否判断に与える影響はない。 (2)両部分の用途及び機能 両部分の用途及び機能は、同一である。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲 両部分の位置及び大きさは、同一であるが、範囲は、相違する。ただし、範囲の相違は、引用部分の特定に際し、便器とタンクを合わせた全体から算出したことによる相違であり、便器を除外して算出すると、両部分の範囲はほぼ一致し、また、吐水口における範囲の相違も、本願部分の除外した根元の範囲がごく小さいことから、これらの範囲の相違が、両部分の類否判断に与える影響はほとんどない。 (4)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価 両部分は、手洗用の吐水口であるから、需要者は、主に、斜め前方から間近で観察することになる。 したがって、まず、需要者が最も注意を払う吐水口先端について評価し、かつそれ以外の形状等もあわせて、各部を総合して意匠全体として形状等を評価する。 ア 共通点の評価 この種物品の分野において、全体を、正面側に湾曲した正背にやや扁平な略縦長隅丸四角錐台形とし、正面視中央上端寄りに略短円柱形の出水口を先端が下向きになるよう取り付けているものは、以下の参考意匠に見られるように、本願の出願前から公然知られていることから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 参考意匠(別紙第3参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1416707号 (意匠に係る物品、取付用便器)の意匠 イ 相違点の評価 まず、相違点(ア)は、吐水口の先端は、最も目立つ部位であるところ、先端を先窄まりに形成している本願部分と、略隅丸矩形状で先端に面を形成している引用部分とは、一見して異なる視覚的効果を与えており、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 次に、相違点(イ)は、出水口は、正面中央の先端近くで比較的目立つ部位で、かつ水の排出口であることから、需要者が目にしやすい部分であるところ、引用部分に比べて明らかに縦長である本願部分は、相違点(ア)と相まって、需要者に異なる美感を起こさせているから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 ウ 形状等の類否判断 両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点は、両部分の類否判断に与える影響は小さいものであるのに対し、相違点(ア)及び相違点(イ)は、両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。 したがって、両部分の形状等を全体として総合的に観察した場合、両部分の形状等は、共通点に比べて、相違点が両部分の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両部分の形状等は類似しない。 (4)小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は、一致しないが、両意匠の類否判断に与える影響は小さく、両部分の用途及び機能並びに位置及び大きさは、同一で、範囲は相違するが、両部分の類否判断に与える影響は小さいものである。また、形状等においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-10-18 |
出願番号 | 2021015277 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D5)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 内藤 弘樹 |
登録日 | 2022-11-07 |
登録番号 | 1729817 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 星野 寛明 |
代理人 | 瓜本 忠夫 |
代理人 | 岩池 満 |
代理人 | 芝 哲央 |