• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H2
管理番号 1390635 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-07-22 
確定日 2022-10-18 
意匠に係る物品 配線器具用プレート 
事件の表示 意願2021−4703「配線器具用プレート」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、令和3年(2021年)3月8日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和 3年 4月 5日 :新規性の喪失の例外証明書提出書の提出
11月 1日付け :拒絶理由の通知
令和 4年 2月19日 :意見書の提出
4月21日付け :拒絶査定
7月22日 :審判請求書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「配線器具用プレート」とし、その形状は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「薄紅色に着色した部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「本願意匠は、ヘアライン加工された金属性の配線器具用プレートであって、正面視正方形かつ上下左右側面を傾斜させたプレートの内側に、縦長長方形の開口部を横に2つ並べて近接配置したものですが、当該分野において、「正面視正方形のプレートの内側に縦長長方形の開口部を横に2つ並べて近接配置したもの(引用意匠1(ワイドスイッチ2連))」、「ヘアライン加工された金属からなるもの(引用意匠1及び2)」、「プレートの上下左右側面を傾斜させたもの(引用意匠2及び3)」は、いずれも本願出願前より公然知られているところ、本願意匠については、それらの要素を単に組み合わせて配線器具用プレートとして表した程度に過ぎず、特段の創作といえる程度の特徴は見出すことができないので、当業者であれば容易に創作できたものと認められます。


(引用意匠1)
著者の氏名 スガツネ工業株式会社
表題 【旧版】スガツネ工業総合カタログ(デジタルカタログ)
(家具金物、建築金物)No.360−3巻 2018−2020年
掲載場所 P160
LAMP スイッチ・コンセントプレート PXP−ES型
クールメタルシリーズ ヘアライン仕上
ワイドスイッチ2連
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2018年2月21日
検索日 2021年10月28日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://digital−book.sugatsune.com/iportal/oc.do?v=SGT00001&c=no360−3&pn=160&d=ARCH
に表された、スイッチ・コンセントプレート(PXP−ES型 クールメタルシリーズヘアライン仕上 ワイドスイッチ2連 ※添付イメージ)の意匠

(引用意匠2)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2009年11月24日
受入日 特許庁意匠課受入2009年11月27日
掲載者 Amazon.com、 Inc.
表題 Amazon.com: SATIN NICK
EL Switchplates Outlet Covers、 Roc
ker、 GFCI
掲載ページのアドレス http://www.amazon.com/NICKEL−Switchplates−Outl et−Covers−Rocker/dp/images/B000YYAQAG/ref=dp_image_text_13_0?ie=UTF8&s=hi&img=0&color%5Fname =13
に掲載された「スイッチカバー」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ21041062号)

(引用意匠3)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第0885224号の意匠」

第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、つまり、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。
なお、「日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状」を、以下「公知形状」ということもある。

1.本願意匠の認定
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「配線器具用プレート」であって、屋内の壁面等に施設されるスイッチやコンセント等の配線器具の部品として用いられるプレートである。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,配線器具用プレートにおける表面部分である。
本願部分は,配線器具用プレートの表面部分という位置、大きさ及び範囲であって、その部分の用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状
本願部分は、主に以下の形状を認めることができる。
〔形状A〕本願部分は、正面視で正方形の正面と、僅かに傾斜した上下左右の側面とから成り、全体形状は、極薄い四角錐台形である。
〔形状B〕正面中央に、縦長長方形の開口部を横に2つ近接配置したものである。
〔形状C〕表面が、縦筋のヘアライン状である。
〔形状D〕正面と、上下左右の側面との境界は、小さい曲率半径の湾曲形状である。
〔形状E〕上下左右の側面が、正面から見て直角に交わって、四隅は角張った形状である。
〔形状F〕上下の側面の傾きは、正面の法線から10度である。
〔形状G〕左右の側面の傾きは、正面の法線から15度である。

2.本願意匠の創作の容易性について
(1)出願前の公知形状
本願意匠の出願前に公知形状と認められるものは、以下のとおりである。
ア.引用意匠1より(別紙第2参照)
〔形状1a〕正面視で正方形の正面と、極僅かに傾斜した上下左右の側面とから成り、全体形状は、極薄い略直方体である。
〔形状1b〕正面中央に、縦長長方形の開口部を横に2つ近接配置したものである。
〔形状1c〕表面が、縦筋のヘアライン状である。
〔形状1d〕正面と、上下左右の側面との境界は、極小さい曲率半径の湾曲形状である。
〔形状1f〕上下の側面の傾きは、ほぼ0度である。
〔形状1g〕左右の側面の傾きは、ほぼ0度である。

イ.引用意匠2より(別紙第3参照)
〔形状2a〕正面視で正方形の正面と、傾斜した上下左右の側面とから成り、全体形状は、極薄い四角錐台形である。
〔形状2c〕表面が、縦筋のヘアライン状である。
〔形状2d〕正面と、上下左右の側面との境界は、小さい曲率半径の湾曲形状である。
〔形状2e〕上下左右の側面が、正面から見て直角に交わって、四隅は角張った形状である。

ウ.引用意匠3より(別紙第4参照)
〔形状3a〕正面視で縦長長方形の正面と、僅かに傾斜した上下左右の側面とから成り、全体形状は、極薄い四角錐台形である。
〔形状3f〕上下の側面の傾きは、正面の法線から8度である。
〔形状3g〕左右の側面の傾きは、正面の法線から8度である。

(2)本願意匠の創作の容易性について
本願部分の形状Aは、引用意匠2によって、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願部分の形状Bは、引用意匠1によって、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願部分の形状Cは、引用意匠1または引用意匠2によって、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願部分の形状Dは、引用意匠1または引用意匠2によって、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願部分の形状Eは、引用意匠2によって、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願部分の形状Fは、引用意匠3の角度とさほど変わらないことから、この角度の僅かな改変に困難性は認められず、引用意匠3の存在によって、容易に創作をすることができたものと認められる。
本願部分の形状Gについては、正面の法線からの角度を大きなものとすることは、この種物品において例を示すまでもなく本願の出願前から公知形状といえる。そして、引用意匠1の、正面の法線からの角度をほぼ0度とする公知形状の存在より、正面の法線からの角度を大きなものからほぼ0度の間で決定すること、つまり形状Gの正面の法線からの角度を約15度にすることに困難性は認められません。
しかし、上下の側面の傾きと左右の側面の傾きを変えるという形状は、本願の出願前の公知形状には認められないことから、上下の側面と左右の側面の傾きを変えるという手法は、この種物品分野においてはありふれた手法とはいえないところ、本願部分は、上下の側面の傾きと左右の側面の傾きを変えている(形状Fと形状Gより)のであるから、本願部分は、本願の出願前の公知形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。

3.結び
したがって、本願意匠は、原審で示した各意匠を基にしては、意匠法第3条第2項の規定に該当しないので、原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲









審決日 2022-10-06 
出願番号 2021004703 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H2)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2022-10-25 
登録番号 1728958 
代理人 松井 宏記 
代理人 宗助 智左子 
代理人 鈴木 行大 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ