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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 K2
管理番号 1393165 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-07-06 
確定日 2022-11-04 
意匠に係る物品 釣り針 
事件の表示 意願2021−7259「釣り針」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
第1 手続の主な経緯
本願は、令和3年(2021年)2月2日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和 3年12月 9日付け :拒絶理由の通知
令和 4年 4月 5日付け :拒絶査定
7月 6日 :審判請求書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面代用写真によれば、意匠に係る物品を「釣り針」とし、その形状は、願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現したとおりとしたものであり、「図面代用写真において、赤色で塗りつぶされた部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠に係る「釣り針」の分野においては、結び目部分に棒状の突起を設けることは、例えば下記の意匠1ないし意匠3においてみられるように、本願出願前よりごく一般的に行われています。
そうすると、本願出願前に公知となった下記の意匠4の結び目部分に、本願出願前よりごく一般的に行われている手法により、棒状の突起を設けて、釣り針の部分の意匠として表したにすぎない本願の意匠は、当業者であれば、容易に創作することができたものです。

意匠1
特許庁総合情報館が1997年 1月17日に受け入れた
『BassProShops1996CATALOG』
第213頁所載
釣針の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD09001877号)

意匠2
特許庁意匠課が2006年 3月24日に受け入れた
『FISHING CATALOG 2006』
第04頁所載
釣針の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC18009785号)

意匠3
特許庁発行の公開実用新案公報記載
昭和62年実用新案出願公開第004962号
第1図に表された釣針の意匠

意匠4
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2017年 9月30日
受入日 特許庁意匠課受入2017年10月27日
掲載者 株式会社がまかつ
表題 TR−26 42358|製品詳細|がまかつ
掲載ページのアドレス http://www.gamakatsu.
co.jp/client/product/
showDetail?itemCode=4
2358
に掲載された「釣り針」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ29036191号)」

第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、つまり、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。
なお、「日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等」を、以下「公知形状」ということもある。

1.本願意匠の認定
以下、本願意匠の認定に当たり、願書に添付した図面(図面代用写真)の「右側面図」において、左を「上」、右を「下」、上を「前」、下を「後」とする。
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「釣り針」である。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,釣り針(以下、単に「針」ということもある。)における結び目、突起及び環の部分である。
本願部分のうちの結び目部分は,針の軸の上端に位置し,針本体の高さ(上下長さ)の約4分の1を占めるものであって、突起と環を固定するという用途及び機能を有するものである。
本願部分のうちの突起部分は,針の軸の上端に位置する結び目中程から針前方に突出し,針の前後長さの約1.5倍を有するものであって、根がかり防止という用途及び機能を有するものである。
本願部分のうちの環部分は,針の軸の上端部分から突出して位置し,針本体の高さの約4分の1を占めるものであって、スプリットリングを接続するという用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状
本願部分のうちの結び目は、紡錘形状(ぼうすいけいじょう)である。
本願部分のうちの突起部分は、針の軸方向から約110度の傾きで、前方やや上方向に向かって突出しているものであって、なおかつ、突起が下に倒れた際に針先よりも長く、釣り針の懐部で釣り針と交差しないために針の前後長さの約1.5倍の長さにした、ごく細い針金状のものである。
本願部分のうちの環部分は、扁平な帯状の細ひもを輪にしたものであって、その穴は左右方向を向いている。

2.本願意匠の創作の容易性について
(1)出願前の公知形状
本願意匠の出願前に日本国内又は外国において公然知られ,頒布された刊行物に記載され,又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等は,以下のとおりである。
ア.意匠1より
突起部分が、針の軸方向から鋭角(90度以下)の傾きで、前方下方向に向かって突出しているものであって、かつ、突起が下に倒れた際に針先に接するほどの長さで、釣り針の懐部で釣り針と交差しない、ごく細い針金状のもの。
イ.意匠2より
(ア)結び目が、円筒状である。
(イ)2本の突起部分が、針の軸方向から鋭角の傾きで、前方やや下方向に向かって突出しているものであって、かつ、突起が下に倒れた際に針先よりも長い、ごく細い針金状のもの。
ウ.意匠3より
突起部分が、針の軸方向から鋭角の傾きで、前方下方向に向かって突出しているものであって、かつ、突起が下に倒れた際に針先に接するほどの長さで、釣り針の懐部で釣り針と交差しない、ごく細い針金状のもの。
エ.意匠4より
(ア)結び目が、円筒状である。
(イ)環部分が、丸い細ひもを輪にしたものであって、その穴は前後方向を向いている。

(2)本願意匠の創作の容易性について
意匠1ないし4により表された出願前の公知形状は、上記(1)のとおりであって、本願部分の、結び目を紡錘形状にし、なおかつ、突起部分を針の軸方向から約110度の傾きで、前方やや上方向に向かって突出しているものとし、かつ、突起部分の長さを針の前後長さの約1.5倍にし、加えて、環部分を扁平な帯状の細ひもを輪にし、かつ、その穴の向きを左右方向とした形状は、本願の出願前の公知形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとはいえない。

3.結び
したがって,本願意匠は,原審で示した意匠1ないし4を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲








審決日 2022-10-18 
出願番号 2021007259 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (K2)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2022-12-20 
登録番号 1733405 
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