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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D4 |
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管理番号 | 1394050 |
総通号数 | 14 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-08-30 |
確定日 | 2023-01-24 |
意匠に係る物品 | 扇風機 |
事件の表示 | 意願2021− 3340「扇風機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 本願は、2020年10月28日のアメリカ合衆国への出願に基づく、パリ条約による優先権の主張を伴う、令和3年(2021年)2月17日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和3年(2021年) 2月19日 優先権証明書提出書 同年 8月 5日付け 拒絶理由通知書 同年 11月18日 意見書 令和4年(2022年) 5月25日付け 拒絶査定 同年 8月30日 審判請求書提出 同年 8月30日 手続補正書 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「扇風機」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、意匠登録を受けることができないとしたものであって、当該拒絶の理由に引用された意匠は、下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1670484号 (意匠に係る物品、扇風機)の意匠 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は「扇風機」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。 (2)両意匠の形状等 両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 なお、引用意匠の認定に際しては、本願意匠と同じ向きとして、認定する。 ア 共通点 (ア)全体は、略円板形のファンガード部とテレスコピックにより伸縮可能な支柱部、及びファンガード部と同径の略円板形のベース部から構成され、円柱状の支柱はファンガード部の背面側下端と、ベース部の中央背面側端で、それぞれ連結され、略円板状に折りたたむことができる点、 (イ)ファンガード部について、正面側及び背面側は、多数の薄板が、狭いピッチで、湾曲放射状に並置され、加えて、正面側の中央には小円プレートが設けられ、周側面は、背面側の約半分が、周曲面に沿った略細幅帯状の孔部から成る扁平格子状となっており、正面側の縁は、周側面が正面側に凸状の縁取りとなっている点、 (ウ)ベース部について、上面の略中央正面端から背面近くまで、略長方形状の溝が設けられている点において、共通する。 イ 相違点 (ア)ベース部について、 a 本願意匠は、平面左側に略長方形部と、その両端中央に略長方形部の縦の長さのおおよそ1/4の長さの直径の略半月状凹部が設けられ、平面右側の目盛りを付された円弧状部近くに、4つの略T字状の模様及び小円部が設けられているのに対し、引用意匠には存在しない点、 b 本願意匠の外形は、上部に対して下部がわずかに径が大きいのに対し、引用意匠は、ほぼ同じである点、 (イ)支柱部について、 a 斜視図によると、本願意匠の正面側には、縦3本線が設けられているのに対し、引用意匠に存在しない点、 b テレスコピックの段数について、本願意匠は5段なのに対し、引用意匠は3段である点において、相違する。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価 ア 共通点の評価 まず、共通点(ア)は、両意匠全体の構成の基調を成し、一見して共通する視覚的印象となって、需要者に共通した美感を起こさせるものであることから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 次に、共通点(イ)は、使用時に強く需要者の注意を引く部分における特徴であり、一見して共通する視覚的印象となって、需要者に共通した美感を起こさせるものであることから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 また、共通点(ウ)は、特にベース部中央の略横長長方形状の溝の存在は、一見して需要者の注意を引く目立つ特徴であり、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 イ 相違点の評価 まず、相違点(ア)aは、僅かな部分における相違であって、格別、需要者の注意を引くものではないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 次に、相違点(ア)bは、意匠全体としてみると、子細に観察して初めて気づくほどの相違であって、格別、需要者の注意を引くものではないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 また、相違点(イ)aは、支柱正面を、相当に注意して初めて気づく程度の相違であり、相違点(イ)bは、テレスコピックの段数が異なるものの、この種物品の分野においては、どちらもごく普通に見られる態様であるから、いずれも、需要者の注意を引くものとは言えず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 (3)小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、形状等においても、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は決定的であるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は、共通点のそれを凌駕するほどではなく、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に共通する美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するというべきである。 (4)本願意匠が意匠法第10条第1項の規定の要件を満たすか否かについて 本願意匠は、令和4年(2022年)8月30日の手続補正書の提出によって、引用意匠である意匠登録第1670484号を本意匠とする補正がなされた。 本願の意匠登録出願人は、本意匠の意匠権者と同人であって、本願意匠の意匠登録出願の日は、本意匠の意匠登録出願の日以降、10年が経過する日前になされたものである。また、本意匠の意匠権について専用実施権が設定されていない。 そして、本願意匠が、本意匠に類似することは上記のとおりであるから、本願意匠は、意匠法第10条第1項で規定する要件を満たしている。 第5 むすび 以上のとおり、本願意匠について、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、意匠登録を受けることができないとした原査定における拒絶の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。更に、本願意匠は、同法第10条第1項に規定する本意匠に係る関連意匠として意匠登録を受けることができる要件を満たしている。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-01-10 |
出願番号 | 2021003340 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D4)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
石坂 陽子 渡邉 久美 |
登録日 | 2023-02-10 |
登録番号 | 1737300 |
代理人 | 大塚 雅晴 |
代理人 | 山尾 憲人 |