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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4 |
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管理番号 | 1395297 |
総通号数 | 15 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-03-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-10-04 |
確定日 | 2023-01-31 |
意匠に係る物品 | Toothbrush handle |
事件の表示 | 意願2021−501613「Toothbrush handle」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の主な経緯 本願は、2020年(令和2年)12月4日の欧州連合知的財産庁への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、国際登録日を2021年6月1日とする国際意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和4年 1月14日付け :拒絶の通報 6月30日付け :拒絶査定 10月 4日 :手続補正書の提出 10月 4日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「Toothbrush handle」(参考訳:「歯ブラシの柄」、以下日本語訳で示す。)とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は、下記のとおりである。 引用意匠 意匠に係る物品 電気歯ブラシ本体 公報発行官庁 日本国特許庁 文献名 意匠公報 出願日 2011年5月31日 出願番号 意願2011-012236 優先日 2010年11月30日 登録日 2011年12月22日 登録番号 意匠登録第1432629号 公報発行日 2012年1月30日 権利者の氏名/名称 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニ クス エヌ ヴェ 権利者の住所/居所 オランダ国 アイントホーフェン グルーネウツ ウェーク 1 第4 本意匠 (1)本願意匠が関連意匠となった経緯 請求人は、審判の請求と同日の令和4年10月4日に手続補正書を提出し、願書の本意匠の表示を追加して、本願意匠を、意匠登録第1432629号を本意匠とする関連意匠にした。 (2)本意匠 本意匠は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「電気歯ブラシ本体」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。 第5 当審の判断 1.対比すべき意匠(本意匠) 上記「第4(1)」のとおりであるから、本願意匠は、令和4年10月4日の手続補正書の提出によって、意匠登録第1432629号を本意匠とする関連意匠として出願されたことになり、本願意匠が、意匠法第10条第1項の規定に基づいて、関連意匠として意匠登録できると認められた場合は、本意匠となる意匠(意匠登録第1432629号)である上記「第3」の引用意匠は、意匠法第10条第2項の規定によって、意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至らなかったものとみなされ、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできなくなり、上記「第3」の意匠によっては本願を拒絶すべきものとすることはできない。 よって、本願意匠が、意匠登録第1432629号を本意匠として意匠法第10条第1項の規定に基づいて、関連意匠として意匠登録できるか検討する。 すなわち、本意匠(意匠登録第1432629号)に類似する意匠か否かについて検討する。 2.本願意匠 本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「歯ブラシの柄」である。 (2)本願意匠の形状 〔形状A1〕棒状の本体把持部(以下、単に「本体」という。)と、本体の上面に設けた駆動接続部(以下、単に「接続部」という。)から成るものである。 〔形状A2〕本体は、ごく僅かに縦長の隅丸長方形の底部から、正円形の上面にかけて徐々に水平断面形状を変化させつつ、本体の高さの約4分の3の位置より、長手方向の中心軸を僅かに正面側に傾けて、その高さ位置より、径を徐々に小さくして周面をすぼませたものである。 〔形状A3〕本体の正面には、上端より全長の約3分の1の箇所に、僅かに凹曲面とした一重の外形線による円形の操作ボタンを1つ配している。 〔形状A4〕本体の上端は、無模様である(本体上端に、側面視で上面と平行になるような細線を配していない。)。 〔形状A5〕接続部は、従来の基台部が無く、全体がごく細い棒状のシャフト部である。 シャフト部の正面側は、上から約3分の2の位置から平坦になるように削られている。 シャフト部は、上側約3分の1が前後に扁平となっており、言い換えると、接続部全体の上から約3分の1が前後に扁平である。 3.本意匠 本意匠(以下、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、上記「第4(2)」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「電気歯ブラシ本体」である。 (2)本意匠の形状 〔形状B1〕棒状の本体把持部(以下、単に「本体」という。)と、本体の上面に設けた駆動接続部(以下、単に「接続部」という。)から成るものである。 〔形状B2〕本体は、ごく僅かに縦長の隅丸長方形の底部から、正円形の上面にかけて徐々に水平断面形状を変化させつつ、本体の高さの約4分の3の位置より、長手方向の中心軸を僅かに正面側に傾けて、その高さ位置より、径を徐々に小さくして周面をすぼませたものである。 〔形状B3〕本体の正面には、上端より全長の約3分の1の箇所に、僅かに凹曲面とした二重の外形線を有する円形の操作ボタンを1つ配している。 〔形状B4〕本体の上端には、側面視で、上面から少し離れて、上面と平行になるように細線を配している。 〔形状B5〕接続部は、下側約3分の1が基台部で、上側約3分の2がごく細い棒状のシャフト部となっている。 基台部は、シャフト部より太い円柱状であって、上端がフランジ状となっている。 シャフト部は、上側約2分の1が前後に扁平となっており、言い換えると、接続部全体の上から約3分の1が前後に扁平である。 4.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品は「歯ブラシの柄」であり、本意匠に係る物品は「電気歯ブラシ本体」である。 (2)両意匠の形状の対比 両意匠の形状を対比すると、以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 ア.共通点について 〔共通点1〕棒状の本体と、本体の上面に設けた接続部から成るものである。(形状A1とB1) 〔共通点2〕本体は、ごく僅かに縦長の隅丸長方形の底部から、正円形の上面にかけて徐々に水平断面形状を変化させつつ、本体の高さの約4分の3の位置より、長手方向の中心軸を僅かに正面側に傾けて、その高さ位置より、径を徐々に小さくして周面をすぼませたものである。(形状A2とB2) 〔共通点3〕本体の正面には、上端より全長の約3分の1の箇所に、僅かに凹曲面とした円形の操作ボタンを1つ配している。(形状A3とB3) 〔共通点4〕接続部全体の上から約3分の1が前後に扁平である。(形状A5とB5) イ.相違点について 〔相違点1〕本体の正面に配した操作ボタンにつき、本願意匠は、一重の外形線であるのに対して、本意匠は、二重の外形線である。(形状A3とB3) 〔相違点2〕本体上端の細線につき、本願意匠は、細線を配していないのに対して、本意匠は、側面視で、上面から少し離れて、上面と平行になるように細線を配している。(形状A4とB4) 〔相違点3〕接続部につき、本願意匠は、従来の基台部が無く、全体がごく細い棒状のシャフト部であり、当該シャフト部の正面側は、上から約3分の2の位置から平坦になるように削られているのに対して、本意匠は、下側約3分の1が基台部で、上側約3分の2がごく細い棒状のシャフト部となっており、当該基台部は、シャフト部より太い円柱状であって、上端がフランジ状となっている。(形状A5とB5) 5.判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 本意匠の、意匠に係る物品は「電気歯ブラシ本体」である。 対して、本願意匠の、意匠に係る物品は「歯ブラシの柄」であるところ、正面側に操作ボタンを配していることから、本願意匠は、電気によってブラシを作動させるという機能を有した歯ブラシの柄といえることから、表記は異なるが、両意匠の、意匠に係る物品は共通する(以下、両意匠の、意匠に係る物品を「電気歯ブラシの柄」という。)。 (2)両意匠における形状の評価 ア.共通点について 共通点1は、この種物品においては、通常の構成態様であるから、両意匠の類否判断に与える影響は、とても小さい。 共通点2は、両意匠の全体の骨格を成すものであり、本体の握りやすさや操作の容易さを重視する需要者は、本体の全体形状に特に注目をするものであることから、需要者に顕著な共通感を与えるものとなっており、両意匠の類否判断に与える影響は、大きい。 共通点3は、この種の電気歯ブラシの柄においては、その使い勝手に気を配る需要者にとっては、使用する際に目にする部位であることから、両意匠の類否判断に与える影響は、一定程度認められる。 共通点4は、歯ブラシを接続するという機能的な部分の形状であり、電気歯ブラシの柄の一般需要者にとっては、余り関心を寄せる部分とはいえず、加えて、小さな接続部の上から約3分の1という物品全体に占める割合がとても小さい部分であるから、両意匠の類否判断に与える影響は微弱なものというほかない。 イ.相違点について 相違点1について、操作ボタンの外形線が二重か一重かの相違については、特にボタンを注視して気付く程度の違いであり、僅かに凹曲面とした円形の操作ボタンという共通する特徴の中に埋没するものといえ、両意匠の類否判断に与える影響は、とても小さい。 相違点2は、家庭電化製品等の工業製品においては、端部に細線を配した形状や配さない形状は、よく見られる形状であり、なおかつ、本意匠の線は細線であって目立たないものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 相違点3は、歯ブラシを接続するという機能的な部分の形状であり、電気歯ブラシの柄の一般需要者にとっては、余り関心を寄せる部分とはいえず、加えて、物品全体に占める割合が小さい部分であるから、両意匠の類否判断に与える影響は微弱なものというほかない。 (3)小括 そうすると、両意匠の形状については、その共通点及び相違点の評価に基づくと、上記のとおり、共通点2及び共通点3は、類否判断に及ぼす影響が大きいまたは一定程度認められるものであるのに対して、相違点は、類否判断に及ぼす影響はとても小さいまたは小さいもの、若しくは微弱なものといえるものであり、両意匠の形状は、類似すると認められる。 (4)本願意匠と本意匠における類否判断 以上のとおり、本願意匠と本意匠は、意匠に係る物品が共通している。 そして、上記(3)のとおり、両意匠の形状は、類似すると認められるものである。 よって、本願意匠は、本意匠と類似する。 また、本願は、その他、意匠法第10条の要件を充足していると認められる。 第6 結び 以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第10条第1項に規定する関連意匠に該当するものとなり、原審の拒絶理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできないものである。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-01-17 |
出願番号 | 2021501613 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C4)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 渡邉 久美 |
登録日 | 2023-02-15 |
登録番号 | 1737618 |
代理人 | 五十嵐 貴裕 |
代理人 | 笛田 秀仙 |