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審決分類 |
審判 査定不服 意9条先願 取り消して登録 C4 |
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管理番号 | 1396365 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-10-20 |
確定日 | 2023-03-14 |
意匠に係る物品 | Toothbrush handle |
事件の表示 | 意願2021−501640「Toothbrush handle」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年(2020年)12月4日の欧州連合知的財産庁への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、国際登録日を2021年6月1日とする国際意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 2022年 1月14日付け :拒絶の通報 2022年 1月14日付け :協議指令 令和4年 7月21日付け :拒絶査定 令和4年10月20日 :審判請求書の提出 令和5年 1月30日 :上申書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「Toothbrush handle」(参考訳:「歯ブラシの柄」、以下日本語訳で示す。)とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由 この意匠登録出願人(以下、単に「出願人」という。)は、特許庁長官名による指令書に記載した届出をしないので、意匠法第9条第5項の規定により協議が成立しなかったものとみなされ、意匠法第9条第2項後段の規定により意匠登録を受けることができないとしたものである。 併せて、特許庁長官は、意匠法第9条第4項の規定に基づいて、令和4年1月14日付けで、この意匠登録出願の意匠は、本願と同日に出願された意願2021−501624、意願2021−501626、意願2021−501628、意願2021−501629、意願2021−501638、及び意願2021−501641(以下、これら6件を「他の出願」という。)、並びに意願2021−501627(不服2022−16771)の意匠と同一又は類似のものと認められ、意匠法第9条第2項に定められた協議をしてその結果を届け出るべき旨を命じる指令書を送付した。 第4 本件に関係する出願について 出願人は、審査官が類似と判断した他の出願及び意願2021−501627については、指定期間内に意見書または補正書を提出しなかったため、その後、原審において拒絶査定がなされた。 そして、令和4年10月17日に、他の出願について審判請求を行わず、意願2021−501627について本願を本意匠とする関連意匠の意匠登録出願とする旨の協議を成立させた。 これにより、他の出願の拒絶査定は、協議が成立した後に確定したといえるから、意匠法第9条第3項本文の規定により、他の出願は、初めからなかったものとみなされる。 残る意願2021−501627の出願については、令和4年10月20日に審判の請求(不服2022−16771)をし、いまだ特許庁に係属中であるところ、出願人は、意願2021−501627の願書を補正し、本意匠の表示を削除した。 第5 当審の判断 1.本願意匠 本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面(※1)の記載の内容によると、以下のとおりである。 (※1:願書に添付した図面は、等角投影図法(意匠法施行規則第3条様式第6備考9に定めた図法)により作成した図であって、「正面、平面及び右側面を表す図」(31.1)と「点灯した状態の正面、平面及び右側面を表す図」(31.2)の2図と推定でき、その内容によって、意匠の正面、右側面及び上面が表れている。) (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「歯ブラシの柄」である。 (2)本願部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能 本願意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は、本体の上端に設けた駆動接続部を除いた、歯ブラシの柄の下端に位置する線状ライトを含む歯ブラシの柄本体における正面、右側面及び上面部分であって、歯ブラシの柄における当該部分の用途及び機能を有するものである。 2.類否判断の対象となる意匠 原審において審査官が類似と判断し、なお現時点で特許庁に係属中の意匠である意願2021−501627(不服2022−16771)の意匠(以下「係属中意匠」ともいい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。別紙第2参照)について以下検討する。 係属中意匠は、願書の記載及び願書に添付した図面(※2)の記載の内容によると、以下のとおりである。 (※2:願書に添付した図面は、第三角法による正投影図法によって記載された、左側面図(18.1)、正面図(18.2)、右側面図(18.3)、背面図(18.4)、斜視図(18.5)、平面図(18.6)及び底面図(18.7)と推定でき、その内容によって、意匠の正面、背面、右側面及び左側面の全周面、並びに上面及び底面が表れている。) (1)意匠に係る物品 係属中意匠の意匠に係る物品は「歯ブラシの柄」である。 (2)係属中部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能 係属中意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分(以下「係属中部分」といい、本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は、本体の上端に設けた駆動接続部を除いた、歯ブラシの柄の下端に位置する環状ライトを含む歯ブラシの柄本体における全周面、上面及び底面部分であって、歯ブラシの柄における当該部分の用途及び機能を有するものである。 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 意匠に係る物品は、両意匠ともに「歯ブラシの柄」である。 (2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の対比 本願部分は、上記1.の(2)のとおりであるのに対して、係属中部分は、上記2.の(2)のとおりである。 4.判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 意匠に係る物品は、両意匠ともに「歯ブラシの柄」であるから、両意匠の意匠に係る物品は一致している。 (2)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 本願部分は、歯ブラシの柄本体における正面、右側面及び上面部分であるのに対して、係属中部分は、歯ブラシの柄本体における全周面、上面及び底面部分であるから、部分の位置、大きさ及び範囲が大きく異なる。 (3)両意匠における類否判断 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致するが、本願部分と係属中部分では、位置、大きさ及び範囲が大きく異なるため、両部分の用途及び機能、並びに形状について検討するまでもなく、本願意匠と係属中意匠とは類似するとはいえない。 第6 結び 以上のとおりであって、本願意匠は、特許庁に係属している意願2021−501627(不服2022−16771)の意匠とは類似しておらず、なおかつ、他の出願は初めからなかったものとみなされるから、原査定の拒絶の理由によっては本願意匠を拒絶すべきものとすることができない。 また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-03-01 |
出願番号 | 2021501640 |
審決分類 |
D
1
8・
4-
WY
(C4)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 渡邉 久美 |
登録日 | 2023-03-29 |
登録番号 | 1741248 |
代理人 | 五十嵐 貴裕 |
代理人 | 笛田 秀仙 |