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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3 |
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管理番号 | 1398337 |
総通号数 | 18 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-06-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-09-05 |
確定日 | 2023-05-23 |
意匠に係る物品 | テント用のV字型支柱 |
事件の表示 | 意願2021− 18792「テント用のV字型支柱」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 令和3年(2021年) 8月31日 意匠登録出願 令和4年(2022年) 3月 7日付け 拒絶理由通知書 同年 4月 6日 意見書提出 同年 7月21日付け 拒絶査定 同年 9月 5日 審判請求書提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「テント用のV字型支柱」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した写真に記載したとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「赤色で着色された部分以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) 著者の氏名 にもジ 表題 いかにもオヤジっぽいブログ 掲載箇所 予算2,099円!ソロティピーをフタマタ化する 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 令和3年8月1日 検索日 [令和4年月2日] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス https://ikanimo-oyaji.com/turn-solo-tipi-into-a-futamata-with-a-budget-of-2099-yen/ に掲載された二又化パーツから吊り下げ具を除いた意匠(添付資料4/6参照) 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「テント用のV字型支柱」であるのに対し、引用意匠は「二又化パーツ」であって、表記は異なるが、どちらも組み立てて使用するテント用の支柱であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。 (2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲 本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)の用途及び機能は、テントのポールスリーブに挿通することによりテントの骨組みをなすものであるから、一致し、その位置、大きさ及び範囲は、略逆「V」字状の頂部から片側先端までの位置で、全体の約半分強の大きさ及び範囲であるから、一致する。 (3)両部分の形状等 両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 なお、両部分の対比のため、本願意匠の図の向きに合わせて、引用意匠の図の向きを認定する。 ア 共通点 両部分は、真ん中を略「V」字状に屈曲した略円筒状のジョイント(以下「ジョイント部」という。)の左端に、上端の一部を一回り縮径した略円筒状の部材を複数本連接してなるポール(以下「ポール部」という。)を接続したものであって、ポール部の各部材は筒内のワイヤー(ショックコード)によって繋がっている点において、共通する。 イ 相違点 (ア)本願部分は、ジョイント部とポール部が筒内のワイヤーによって繋がっているのに対し、引用部分は、分離している点、 (イ)ジョイント部の屈曲角度について、本願部分は、約80度であるのに対し、引用部分は、約66度である点、 (ウ)ポール部について、本願部分は、4本の部材からなり、各部材は全体を暗色で着色しているのに対し、引用部分は、5本の部材からなり、各部材は縮径箇所を明色、それ以外を暗色とするツートーンカラーで着色し、さらに、上端の部材のみ上寄りに吊り下げフックを取り付けるための円孔を形成している点において、相違する。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は一致するから、同一である。 (2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は一致するから、同一である。 (3)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価 両部分は、設営、解体できるテント用の支柱の一部であるから、需要者は、主に、各部材を接合した態様の他、分解した態様についても観察することになる。 したがって、まず、需要者が最も注意を払う各部材を接合した態様及び分解した態様について評価し、かつそれ以外の形状等もあわせて、意匠全体として評価する。 ア 共通点の評価 この種物品の分野において、真ん中を略「V」字状に屈曲した略円筒状のジョイント部の片端に、上端の一部を一回り縮径した略円筒状の部材を複数本連接してなるポール部を接続したものは、例を挙げるまでもなく、一般に知られているものであり、また、ポール部の各部材が筒内のワイヤーによって繋がっているものも、ごく普通に見受けられるものであるから、格別、需要者の注意を引くものとはいえず、共通点が、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 相違点(ア)について、テント用の支柱は、テント設営時に接合し、撤収時に分解するものであるから、需要者は、接合した態様のみならず、分解した態様についても注意を払うものであるところ、ジョイント部とポール部をワイヤーで繋いだ本願部分は、接合、分解のし易さの他、ジョイント部の紛失防止にも資するものであるから、需要者の関心は高いものといえ、また、この種物品の分野において、本願部分のように、ジョイント部とポール部が筒内のワイヤーによって繋がっているものは、本願部分以外には見られず、引用部分との比較において、需要者に異なる美感を起こさせているから、相違点(ア)が、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 相違点(イ)について、両部分のジョイント部の屈曲角度を比較すると、本願部分の方が、引用部分よりやや角度が大きいものであるが、この種物品の分野においては、常套的になされる改変の範囲内であり、格別、需要者が注意を払うものではないから、相違点(イ)が、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 相違点(ウ)について、本願部分は、引用部分よりポール部の部材が1本少ないものであるが、その差は1本であり、意匠全体として見た場合、両部分を別異のものとする程の大きな相違であるとはいえず、また、着色の相違についても、本願部分のように全体を暗色で着色したものも、引用部分のように縮径箇所を明色、それ以外を暗色に着色したものも、どちらもごく普通に見られるものであるから、この相違は、微弱なものであり、さらに、円孔の有無についても、上端の部材のみの小さく目立たない箇所における部分的な相違であるから、相違点(ウ)が、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 ウ 形状等の共通点及び相違点の総合評価 両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点は、両部分の類否判断に与える影響は小さいものであるのに対し、相違点(イ)及び相違点(ウ)は、両部分の類否判断に与える影響は小さいものの、相違点(ア)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。 したがって、両部分の形状等を全体として総合的に観察した場合、両部分の形状等は、共通点に比べて、相違点が両部分の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両部分の形状等は類似しない。 (4)小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、形状等においては、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-05-01 |
出願番号 | 2021018792 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L3)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
石坂 陽子 内藤 弘樹 |
登録日 | 2023-06-16 |
登録番号 | 1747214 |
代理人 | 大西 正夫 |