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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5
管理番号 1401745 
総通号数 21 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-05-31 
確定日 2023-08-22 
意匠に係る物品 断熱容器 
事件の表示 意願2022− 7290「断熱容器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、パリ条約による優先権(最初の出願:大韓民国、2022年1月25日)を主張する、令和4年(2022年)4月4日の意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年(2022年)10月24日付け 拒絶理由通知書
同年 11月28日 意見書
令和5年(2023年) 2月22日付け 拒絶査定
同年 5月31日 審判請求書
同年 5月31日 早期審理に関する事情説明書

第2 本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「断熱容器」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似し、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとの理由であって、拒絶の理由に引用した意匠は、下記の意匠である。

特許庁が平成25年(2013年)2月4日に発行した意匠公報に記載された、意匠登録第1460731号(意匠に係る物品、携帯用魔法瓶)の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照。)。

第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも保温性のある携帯用容器であるから、用途及び機能が共通する。

2 両意匠の形状等の対比
(1)形状等の共通点
(共通点1)両意匠は、全体が略円柱状であって、蓋部と本体部から成り、両者はほぼ同径である。
(共通点2)蓋部の態様
蓋部の角部はアール状に形成されている。
(共通点3)本体部の態様
本体部の下端寄りに、水平状の分割線が形成されている(以下、この分割線を「下端寄り分割線」という。)。
(2)形状等の相違点
(相違点1)蓋部の形状
(相違点1−1)面分割の有無
本願意匠の蓋部は、上下を約1:4に内分する位置で色調が異なっており、その切り替わりが周方向に面分割として表されている。これに対して、引用意匠の蓋部には、そのような周方向面分割は表されていない。
(相違点1−2)径の変化
本願意匠の蓋部の径は、下方にいくにつれてごく僅かに大きくなっているが、引用意匠のそれは、ほぼ同じである。
(相違点2)本体部の形状
(相違点2−1)下端寄り分割線の周囲
本願意匠では、下端寄り分割線より下の本体部の径が、それより上に比べて僅かに小さくなっている。これに対して、引用意匠の本体部は、下端寄り分割線のやや上から漸次拡径し、下端寄り分割線より下の径が大きくなっている。
(相違点2−2)径の変化
下端寄り分割線の周囲以外の径について、本願意匠では下方にいくにつれてごく僅かに大きくなっているが、引用意匠の径は、ほぼ同じである。
(相違点3)各部の比率
本願意匠全体の縦横比は約1.3:1であり、蓋部と本体部の高さの比は約1:2.8である。これに対して、引用意匠では、それぞれ約1.5:1、約1:4である。

第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、表記は異なるが、用途及び機能が共通するから、同一である。

2 形状等の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は携帯用容器であり、需要者が直接手で触れるものであるから、需要者は細部の形状等に注目するというべきであり、特に、取り外し可能な蓋部の形状等については子細に観察することとなる。したがって、両意匠の形状等の類否判断に当たっては、蓋部をはじめ各部の形状等の細部にわたって評価をすることが必要になる。
(1)形状等の共通点
両意匠の形状等の共通点について、全体を略円柱状とし、蓋部と本体部をほぼ同径として、蓋部の角部をアール状に形成した意匠は、例を挙げるまでもなく本願の出願前に既に見受けられ、また、本体部に下端寄り分割線を形成した意匠も本願の出願前に見受けられる(例えば、意匠登録第1446117号の意匠。参考意匠。別紙第3参照。)から、需要者がこれらの共通点に注目するとはいい難い。したがって、両意匠の形状等の(共通点1)ないし(共通点2)が、両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(2)形状等の相違点
まず、本願意匠の蓋部について色調の切り替わりが周方向面分割として表されている点(相違点1−1)は、需要者が一見して気が付く相違であって、そのような面分割が表されていない引用意匠と比較して、面分割が表されている本願意匠の蓋部は、需要者に対して確たる美感を起こさせるものであるということができる。したがって、(相違点1−1)が両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に、本体部の下端寄り分割線の周囲について、下端寄り分割線より下の本体部の径が、それより上に比べて僅かに小さくなっているか(本願意匠)、下端寄り分割線のやや上から漸次拡径し、下端寄り分割線より下の径が大きくなっているか(引用意匠)の相違(相違点2−1)は、本願意匠のように下の径が僅かに小さくなっている形状が本願の出願前に見受けられる(例えば、参考意匠。)としても、それとは異なる形状である引用意匠と比較した場合、需要者に対して、異なる視覚的印象を与えているというべきであるから、(相違点2−1)が両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は小さいとはいえない。
他方、蓋部と本体部の大部分について、径が下方にいくにつれてごく僅かに大きくなっているか(本願意匠)、ほぼ同じであるか(引用意匠)の相違は、本願意匠に見られる径の拡大がごく僅かであって目立たないので、需要者に対して別異の印象を与えるほどの相違であるとはいい難く、また、各部の比率の相違(相違点3)については、断熱容器の意匠において全体の縦横比や蓋部本と体部の高さの比には様々なものが見受けられるから、需要者がこれらの比の相違に特段注目するとはいい難い。したがって、(相違点1−2)、(相違点2−2)及び(相違点3)が両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は小さい。

3 両意匠の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、共通点はいずれも両部分の類否判断に及ぼす影響が小さく、(相違点1−2)、(相違点2−2)及び(相違点3)が両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は小さいものの、それ以外の相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいので、相違点は共通点を凌駕するというべきである。
したがって、両意匠の意匠に係る物品は同一であるものの、両意匠の形状等については相違点が共通点を凌駕するから、本願意匠は引用意匠に類似しない。

第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、原査定における拒絶の理由に引用した意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲



審決日 2023-08-07 
出願番号 2022007290 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C5)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 小林 裕和
成田 陽一
登録日 2023-08-28 
登録番号 1752349 
代理人 鈴木 行大 
代理人 松井 宏記 
代理人 宗助 智左子 

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