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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 F4
管理番号 1403710 
総通号数 23 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-24 
確定日 2020-10-13 
意匠に係る物品 蓄電デバイス用外装シート 
事件の表示 意願2019−780「蓄電デバイス用外装シート」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成31年(2019年)1月17日の意匠登録出願であって,その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和 1年10月31日付け:拒絶理由の通知
令和 1年11月29日 :意見書の提出
令和 2年 3月18日付け:拒絶査定
令和 2年 4月24日 :審判請求書の提出
令和 2年 7月22日付け:拒絶理由の通知
令和 2年 8月 3日 :手続補正書の提出(当該手続補正書による補正を,以下「本件補正」という。)

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「蓄電デバイス用外装シート」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。
なお,本願は,本件補正前は,本意匠を意願2019−777号の意匠とする関連意匠として出願されていた。

第3 当審の拒絶の理由
当審における拒絶の理由は,本願意匠が,本件補正前の願書に記載した本意匠(意願2019−777号(不服2020−5571号)の意匠)に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。

第4 当審の判断
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「蓄電デバイス用外装シート」である。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,蓄電デバイス用外装シートの中央に位置する凸部であって,正面視における面積比で,全体の約8分の5である。
本願部分は,蓄電デバイスを収容するという用途と機能を有している。

(3)本願部分の形状
ア.凸部の正面視における形状は,縦長長方形である。
イ.凸部の縦横比は,約10対3である。
ウ.凸部の縦長さと突出した長さの比率は,約25対1である。
エ.凸部の上面,下面及び左右両側面は,垂直面である。
オ.凸部の前面側の角は,四辺とも大きな凸曲面である。
カ.凸部の麓側(凸部と縁部の接続部分)の角は,四辺とも大きな凹曲面である。

2 本意匠
本件補正前の願書に記載されていた本意匠(以下,本意匠と本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)である意願2019−777号に係る出願は,本願と同日の平成31年1月17日に,本願の出願人によってなされた出願であって,その形状は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第2参照)。

(1)意匠に係る物品
本意匠の意匠に係る物品は「蓄電デバイス用外装シート」である。

(2)本意匠部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本意匠に係る物品のうち,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本意匠部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ということもある。)は,蓄電デバイス用外装シートの中央に位置する凸部であって,正面視における面積比で,全体の約8分の5である。
本意匠部分は,蓄電デバイスを収容するという用途と機能を有している。

(3)本意匠部分の形状
ア.凸部の正面視における形状は,縦長長方形である。
イ.凸部の縦横比は,約10対3である。
ウ.凸部の縦長さと突出した長さの比率は,約50対1である。
エ.凸部の上面,下面及び左右両側面は,傾斜角度が約75度の傾斜面である。
オ.凸部の前面側の角は,四辺とも大きな凸曲面である。
カ.凸部の麓側(凸部と縁部の接続部分)の角は,四辺とも大きな凹曲面である。

3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品も,本意匠に係る物品も,共に「蓄電デバイス用外装シート」である。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比
両部分は,いずれも蓄電デバイス用外装シートの中央に位置する凸部であって,正面視における面積比で,全体の約8分の5であり,蓄電デバイスを収容するという用途と機能を有している。

(3)両部分の形状の対比
両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)凸部の正面視における形状は,縦長長方形である。
(イ)凸部の縦横比は,約10対3である。
(ウ)凸部の前面側の角は,四辺とも大きな凸曲面である。
(エ)凸部の麓側(凸部と縁部の接続部分)の角は,四辺とも大きな凹曲面である。
イ.相違点について
(ア)凸部の縦長さと突出した長さの比率につき,本願部分は,約25対1であるのに対して,本意匠部分は,約50対1である。
(イ)凸部の上面,下面及び左右両側面につき,本願部分は,垂直面であるのに対して,本意匠部分は,傾斜角度が約75度の傾斜面である。

4 判断
(1)意匠法第10条第1項の要件
本意匠は,本願意匠と同日の出願に係る自己の意匠登録出願であるから,本願は意匠法第10条第1項が規定する出願時期と出願人に係る要件については,充足している。

(2)意匠に係る物品の類否判断
両意匠に係る物品は,共に「蓄電デバイス用外装シート」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

(3)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価
両部分は,いずれも蓄電デバイス用外装シートの中央に位置する凸部であって,正面視における面積比で,全体の約8分の5であり,蓄電デバイスを収容するという用途と機能を有しているから,両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能は,一致している。

(4)両部分における形状の評価
ア.共通点について
共通点は,基本的構成態様といえる正面視における形状,凸部の縦横比,並びに,凸部の前面側及び麓側の四辺の角の態様であるから,一定程度の共通感を生じさせるが,これらの点のみをもって,両意匠の特徴とはいえないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ.相違点について
相違点(ア)は,収容できるデバイスの厚さに関わる点であるから,需要者の関心のあるところと認められ,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(イ)については,本願部分が直方体であるのに対して,本意匠部分は四角錐台(しかくすいだい)であるという,凸部の基本的な態様が異なっており,両部分に別異の印象を与えるといえ,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
ウ.両部分における形状の類否判断
以上のとおり,共通点は,両部分の類否判断に与える影響は小さいものであって,これら共通点を総合したとしても,全体観察における両部分の類否判断を決するものではない。
それに対して,相違点は,両部分において需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,これら相違点としては,両部分の類否判断に及ぼす影響が大きいというべきである。
よって,本願部分の形状と本意匠部分の形状は,全体観察においては類似していないと認められる。

(5)両意匠における類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能が一致している。
しかし,両部分の形状については,上記のとおり,類似するとは認められないものであるから,本願意匠と本意匠とは類似するとはいえない。

5 本件補正
当審の拒絶の理由に対して,審判請求人は,本件補正によって,願書の「本意匠の表示」欄の記載を削除した。
本願意匠は,本件補正前の願書に記載されていた本意匠に類似するものとは認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないものであり,本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができないものではあるが,請求人が本件補正によって,本願の願書に記載していた「本意匠の表示」の欄を削除したから,願書に本意匠が記載されていないこととなり,意匠法第10条第1項の規定に該当しない旨の拒絶の理由は解消された。

第5 結び
以上のとおりであり,当審の行った拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲




審決日 2020-09-23 
出願番号 2019000780 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (F4)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2020-10-19 
登録番号 1671936 
代理人 松井 宏記 
代理人 宗助 智左子 

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