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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7 |
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管理番号 | 1403724 |
総通号数 | 23 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-05-19 |
確定日 | 2023-10-31 |
意匠に係る物品 | ベンチ |
事件の表示 | 意願2022− 5199「ベンチ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、令和4年(2022年)3月14日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年(2022年) 12月 7日付け :拒絶理由の通知 令和5年(2023年) 1月20日 :意見書の提出 同年 2月15日付け :拒絶査定 同年 5月19日 :審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「ベンチ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。(中略)一点鎖線は、意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示すものである。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠 原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠とあわせて「両意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) DM/088588 2015年12月25日 載置台の意匠の内、本願意匠に相当する部分(登録番号DM/088588) (特許庁意匠課公知資料番号第HH27513573号) 以下、本願の意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」、引用意匠のうち本願の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分を「引用部分」という。 第4 対比 以下、引用意匠を本願意匠の図面の向きに合わせて対比する。 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は、人が腰掛けるための「ベンチ」である。 一方、引用意匠の意匠に係る物品は、「載置台」であって、ものを陳列、展示、収納するためのものである。 そうすると、両意匠の用途は異なるものであるから、意匠に係る物品は、一致しない。 2 本願部分と引用部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲の対比 本願部分は、ベンチの座部及びフレームの上部及び下部であり、人が腰掛ける部分とそれを支持するフレーム部分であるのに対し、引用部分は、載置台の台部及びフレームの上部及び下部であり、ものを載置する際に使用される部分とそれを支持するフレーム部分であるから、両部分の位置、大きさ及び範囲は、一致するものの、両部分の用途及び機能は、異なる。 3 両部分の形状等の対比 両部分の形状等には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。以下、引用意匠を本願意匠の図面の向きに合わせて対比する。 (共通点1)平面視において、複数の細長い板体を等間隔に配置し略長方形状の天面を形成する点。 (共通点2)フレーム下部について、断面を略正方形とする棒材で略長方形の枠を構成する点。 (相違点1)天面について、本願部分は、長手方向のフレームの内側に更にフレームが設けられており、その内側のフレームに天面が載っているので、長手方向のフレームが露出するのに対し、引用部分は、天面とそれに接するフレームが同一の大きさで形成され、フレームが露出しない点。 (相違点2)天面の板体について、本願部分は、4枚の板体が相互に隙間を設けて配置されているのに対し、引用部分は、3枚の板体が隙間なく配置された点。 (相違点3)フレーム上部について、本願部分は、断面を略正方形とする棒材で略長方形の枠を構成するのに対して、引用意匠は、当該部の形状等が不明である点。 第5 判断 1 意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、その用途が異なるから類似しない。 2 両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲 両部分の位置、大きさ及び範囲は、同一であり、両部分の用途及び機能は、類似しない。 3 両部分の形状等の共通点及び相違点の評価 両意匠の意匠に係る物品は、人が腰掛けるための「ベンチ」であり、当該物品分野の需要者は、主に、使用者、製造業者、販売業者及び取引業者が含まれる。そして、需要者が注意して観察する具体的な外形状等が、需要者の注意を引く部分であるとの前提に基づいて、両部分の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について、以下評価することとする。 (1)共通点の評価 (共通点1)及び(共通点2)について、ベンチの分野において、両部分のように座面を複数の細長い板体で構成すること、フレームを棒材で構成することは、よく見られる構成態様であるから、これらの共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。 (2)相違点の評価 (相違点1)及び(相違点2)について、需要者が腰掛けるときに触れる座面は、意匠の印象を決定付ける部位であり、需要者は注目するところであるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 (相違点3)について、座面直下のフレームの態様は、通常使用時において注目しない部位であり、この相違点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。 (3)両部分の形状等の類否判断 共通点及び相違点の評価に基づき、両部分を、全体として総合的に観察し、判断した場合、(共通点1)、(共通点2)及び(相違点3)は、両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対し、需要者の注目する部分に係る(相違点1)及び(相違点2)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 したがって、両部分の形状等を全体として総合的に観察した場合、両部分の形状等は、共通点に比べて、相違点が両部分の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両部分の形状等は類似しない。 4 小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が相違し、両部分の用途及び機能が相違し、両部分の形状等においても、共通点が未だ類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、両部分の位置、大きさ及び範囲が同一であるとしても、意匠全体として観察した場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2023-10-18 |
出願番号 | 2022005199 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D7)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 尾曲 幸輔 |
登録日 | 2023-11-13 |
登録番号 | 1757883 |
代理人 | 山尾 憲人 |
代理人 | 大塚 雅晴 |
代理人 | 中嶋 隆宣 |