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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J5
管理番号 1404872 
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-06-07 
確定日 2023-12-08 
意匠に係る物品 自動販売機 
事件の表示 意願2022− 14568「自動販売機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする、令和4年(2022年)7月6日に出願した意匠登録出願(意願2022−14568)であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 5年(2023年) 1月 4日付け 拒絶理由の通知
同年 2月20日 意見書の提出
同年 3月17日付け 拒絶査定
同年 6月 7日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「自動販売機」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
著者の氏名 産経ニュース
(Youtubeが提供する動画共有プラットフォー ムYoutubeに掲載)
表題 冷凍自動販売機「ど冷えもん」飲食店から注目集める
掲載箇所 動画中全般、特に冒頭及び1分13秒〜1分22秒頃
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2021年 2月19日
検索日 2022年11月25日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL:https://www.youtube.com/watch?v=1O16Fq1dcDo
に製品名「ど冷えもん」として表された、自動販売機 の意匠

第4 当審の判断
以下において、両意匠が類似するか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、主に食品の販売に使用される電動の「自動販売機」である。

(2)本願意匠の形状等
ア 基本的構成態様
(ア)本願意匠は、全体を縦長直方体とし、正面視において、中央上方に上からロゴ表示部、商品表示部及び広告表示部から成る表示エリア部(以下「表示エリア部」という。)、表示エリア部右下側に角丸矩形の表示部からなる操作部(以下「操作部」という。)、操作部下方に、硬貨投入口、金銭返却レバー、紙幣挿入口及び、その下方にRFID(Radio Frequency Identification)リーダライター部(以下「RFID部」という。)を配し、さらに、その下方中央に商品取出口部を、右側に硬貨返却口を配して形成する。
イ 具体的態様
(ア)全体の正面縦:正面横:奥行きの長さの比率は、約1.7:1:0.6であり、全体を縦長の略直方体に形成している。
(イ)表示エリア部は、やや左方に寄って配され、縦横の比率を約1.5対1の縦長に形成し、商品表示部には同形状の略正方形区画を上下3段、左右3列に格子状に配して、各略正方形区画の左下に、略逆台形状の小さな模様部(以下「逆台形状模様部」という。)を設け、表示エリア部の右下は、略正方形区画一つ分を切り欠いて形成している。
(ウ)操作部、硬貨投入口、金銭返却レバー、紙幣挿入口は、正面視表示エリア右側に、全体を略逆L字状に配し、紙幣挿入口下方に配されたRFID部は各種カード等をかざすために傾斜凸面状に形成している。
(エ)商品取出口は、全体を略横長矩形に形成し、前面に透明で傾斜を有したカバーを配し、当該カバーの左右及び下方を略倒扁平コ字状の枠部(以下「商品取出口枠部」という。)を配し、当該商品取出口枠部の左右は緩やかに傾斜し、枠部の下方中央には略台形の凹部を配して形成している。
(オ)硬貨返却口は、下端両角を角丸に形成した横長矩形状に形成している。

2 引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は、主に食品の販売に使用される電動の「自動販売機」である。

(2)引用意匠の形状等
基本的構成態様
ア 引用意匠は、全体を縦長直方体とし、正面視において、表示エリア部と、表示エリア部右下側に、操作部用角丸縦長矩形孔部、硬貨投入口、金銭返却レバー及び紙幣挿入口を略逆L字状に配し、紙幣挿入口下方に、角丸矩形凹部を配し、さらに、その下方中央に商品取出口部を、右側に硬貨返却口を配しした構成である。
ア 具体的態様
(ア)全体の正面縦:正面横の長さの比率は、約1.7:1であり、全体を縦長の略直方体に形成している。
(イ)表示エリア部は、やや左方に寄って配され、縦横の比率を約1.5対1の縦長に形成し、商品表示部には同形状の略正方形区画を上下4段、左右3列に格子状に配して、各略正方形区画の左下に、逆台形状模様部を設け、表示エリア部の右下は、略正方形区画一つ分を切り欠いて形成している。
(ウ)操作部用角丸縦長矩形孔部、硬貨投入口、金銭返却レバー、紙幣挿入口を略逆L字状に配し、正面視表示エリア部右下側に、略逆L字状に配している。
(エ)商品取出口は、全体を略角丸横長矩形に形成している。
(オ)硬貨返却口は、下端両角を角丸に形成した横長矩形状に形成している。

3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠の意匠に係る物品は、共に「自動販売機」である。

(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
(共通点1)全体における正面縦:正面横の長さの比率を、約1.7:1とし、全体を縦長の略直方体に形成している点、
(共通点2)表示エリア部の右下は、略正方形区画一つ分を切り欠いて形成している点、
(共通点3)操作部あるいは操作部用角丸縦長矩形孔部、硬貨投入口、金銭返却レバー、紙幣挿入口を、正面視表示エリア部右下側に略逆L字状に配している点、
(共通点4)硬貨返却口は、下端両角を角丸に形成した横長矩形状に形成している点、において共通している。
イ 相違点
(相違点1)表示エリア部下端について、本願意匠は、略正方形区画のおおよそ2つ分の幅を設けて広告表示部を配しているのに対し、引用意匠は当該部を左右に2つの略正方形区画として配している点、
(相違点2)本願意匠は、操作部、硬貨投入口、金銭返却レバー、紙幣挿入口を、正面視表示エリア部右下側に、全体を略逆L字状に配置し、RFID部は各種カード等をかすために傾斜凸面状に形成しているのに対し、引用意匠は、操作部用角丸縦長矩形孔部、硬貨投入口、金銭返却レバー、紙幣挿入口は、正面視表示エリア部右下側に、略逆L字状に配置しているものの、RFID部は配されておらず、当該部には、角丸矩形凹部を配している点、
(相違点3)商品取出口について、本願意匠は、商品取出口は、全体を略横長矩形に形成し、全面に透明で傾斜を有したカバー及び商品取出口枠部を配し、当該商品取出口枠部の左右は緩やかに傾斜し、枠部の下方中央には略台形の凹部を配して形成しているのに対し、引用意匠の当該部は、全体を略角丸横長矩形に形成している点、において相違している。

4 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
両意匠は、主に食品の販売に使用される電動の「自動販売機」であるから、需要者は、主に食品を購入する一般需要者の他、自動販売機の取引業者が含まれる。
したがって、まず、需要者が最も注意を払う表示エリア部及び、本願意匠における逆L字状に配した操作部あるいは操作部用角丸縦長矩形孔部、硬貨投入口、金銭返却レバー、紙幣挿入口及び、紙幣挿入口下方に配されたRFID部の態様について評価し、かつそれ以外の商品取出口及び硬貨返却口形状等も併せて、各部を総合して意匠全体として評価することとする。

ア 共通点の評価
(共通点1)は、両意匠の全体形状における共通点であるが、いわゆる縦長の直方体に形成された自動販売機は、以下の参考意匠1に見られるように、この種物品の分野において、本願出願前から公然知られており、この種物品における一般的な形状等を表したにすぎないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

参考意匠1(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第972847号
(意匠に係る物品、冷菓自動販売機)の意匠

(共通点2)は、需要者にとって商品選択の際に注視する部分ではあるものの、表示エリア部の右下を一部切り欠いて配するのは、参考意匠1にも見られるように、この種物品の分野において、本願出願前から公然知られており、この種物品における一般的な形状等を表したにすぎないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点3)は、需要者にとって商品購入の際に注視する部分ではあるものの、操作部あるいは操作部用角丸縦長矩形孔部硬貨投入口、金銭返却レバー、紙幣挿入口を、正面視表示エリア部右下側に、略逆L字状に配しているのは、単なる配置態様に関する共通性に止まり、操作部と操作部用角丸縦長矩形孔部との具体的な形状も異なり、当該配置態様の共通性が両意匠に類似の印象を与える程のものと判断することはできないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点4)は、需要者にとって商品購入の際に注視する部分ではあるものの、意匠全体としては、僅かな部分における共通点に過ぎないため、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ 相違点の評価
(相違点1)は、需要者にとって商品選択の際に注視する部分であり、また正面視において目立つ部分における違いであり、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点2)は、需要者にとって商品選択及び商品購入の際に注意する部分であり、特に操作部と操作部用角丸縦長矩形孔部の具体的形状等の違い、及びRFID部の有無の違いについては、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点3)は、需要者にとって商品購入の際に注視する部分であり、特に商品取出口枠部の有無の違いについては形状等が大きく異なるため、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
ウ 形状等の類否判断
以上のとおり、両意匠を総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きく、意匠全体の美感が異なるものであるから、両意匠の形状等は類似しない。

(3)小括
両意匠は意匠に係る物品が同一であるが、その形状等が類似しないから、本願意匠と引用意匠は類似しない。

第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、原査定における拒絶の理由に引用した意匠をもって意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲








審決日 2023-11-22 
出願番号 2022014568 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J5)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
成田 陽一
登録日 2023-12-13 
登録番号 1760017 
代理人 奥山 尚一 
代理人 宅間 邦俊 
代理人 小川 護晃 
代理人 関谷 充司 

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