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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 L3
管理番号 1412325 
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2024-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-09-22 
確定日 2024-06-11 
意匠に係る物品 住宅 
事件の表示 意願2022− 22665「住宅」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、建築物の部分について意匠登録を受けようとする、令和4年(2022年)10月19日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和 5年(2023年) 1月17日付け 拒絶理由通知書
同年 4月25日 意見書の提出
同年 6月22日付け 拒絶査定
同年 9月22日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る建築物を「住宅」とし、その形状等(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、「本件意匠は建築物内の位置を特定しない部屋の内部の壁部に係り、正面図及び斜視図は、内部の形状等を示すために向かい合う面の壁を除いた状態で表している。実線で表された部分が、意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。背面図及び底面図は意匠登録を受けようとする部分が表われないため省略する。」としたものである(以下、本願意匠において建築物の部分として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)

第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠

原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

意匠1
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2021年12月 9日
受入日 特許庁意匠課受入2022年 2月21日
掲載者 SUVACO株式会社
表題 杉並のタウンハウス(東京都)
掲載ページのアドレス
https://suvaco.jp/project/IlmdVCqwFp#rPC81OM345
に掲載された「住宅のリビング用内装」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RJ03620314号)

引用ウェブページ1
表題 無垢フローリングドットコム社長ブログ_ ナラ幅乱尺フローリングのご紹介 _ 無垢フローリングドットコム社長ブログ
公開時期 2016年07月19日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://blog-muku-flooring.com/?p=4321
※掲載ページ(関係ページのみ抜粋)

引用ウェブページ2
表題 2017年はコレが来る!_ 最近、_気になる_ このフローリング!! で、時代を先取りしてみませんか__ _ well−reformリフォームBlog
公開時期 2016年12月13日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス
https://www.well-reform.com/reform-blog/staff/10877/
※掲載ページ(関係ページのみ抜粋)

第4 当審の判断

以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠

(1)本願意匠について
本願意匠の意匠に係る建築物は、「住宅」である。

(2)本願部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は、住宅の内壁を構成する羽目板の一部であって、一の壁面の中央右寄りの下端近くに位置し、当該壁面全体の約1/60の大きさ及び範囲とするものである。

(3)本願部分の形状等
ア 基本的構成態様
本願部分は、正面視において、縦横の長さの比率を約1:2とする略横長長方形の範囲に、両側に細幅の余地を残して上下いっぱいに、横幅の異なる3種類の略縦長長方形の面を密着して横に11面並べたものであって、
具体的には、
イ 右端から太幅、中幅、細幅の順番で、順繰りに並べたもので、横幅の比率は、約5:4:3とし、
ウ すべての面のうち、6面に横の分割線を1本ずつ形成し、
エ 分割線の位置は、右から1番目及び10番目の面は下方寄り、2番目及び11番目の面は上端寄り、8番目の面は下端寄り、9番目の面は上方寄りに形成し、
オ 右側の余地の上方寄りに、横の分割線を1本形成している。

2 引用意匠の認定

(1)意匠1(別紙第2参照)
意匠1は、「住宅のリビング用内装」の意匠であって、その形状等は、住宅内部において、左側の壁は、等幅で長さの異なる略縦長長方形の板を縦に繋いで形成した羽目板を横に密着状に並べた板張りとし、床は、等幅で長さの異なる略横長長方形の板を横に繋いで形成した羽目板を縦に密着状に並べた板張りとし、右側の壁と天井は、無地のパネル状で、右側の壁の真ん中より下側にテレビ台と収納ボックスを逆コ字状に取り付け、手前右側に階段を取り付け、右側の壁と正対する左端の位置にソファを配置している。

(2)引用ウェブページ1(別紙第3参照)
引用意匠の認定にあたり、5頁(上段)に掲載された写真について引用意匠として特定する。
引用ウェブページ1は、長さの異なる略横長長方形板を、縦に11行、密着して並べてなる羽目板の一部であって、具体的には、縦幅の異なる3種類(太幅、中幅、細幅)の板をランダムに並べたもので、上から4番目の板、10番目の板及び11番目の板を除き、2枚又は3枚の板を横に連結している。

(3)引用ウェブページ2(別紙第4参照)
引用意匠の認定にあたり、3頁(下段)に掲載された写真について引用意匠として特定する。
引用ウェブページ2は、引用ウェブページ1の羽目板の両端を除いた略縦長長方形の範囲に切り取った部分で、その範囲において、引用ウェブページ1と同じものである。

3 本願意匠の創作性の検討

この種、建築物の分野において、住宅内部の壁を、略縦長長方形の羽目板を用いた板張りとしたものが、本願の出願前から公然知られているものであり(意匠1)、また、住宅のフローリングの板張りについて、幅が異なる3種類の羽目板をランダムに並べたものも、本願の出願前から公然知られているものである(引用ウェブページ1)。
しかしながら、本願部分のように、壁面の略横長長方形の範囲において、両側に細幅の余地を残して上下いっぱいに、横幅の異なる3種類の略縦長長方形の面を、右端から太幅、中幅、細幅の順番で、順繰りに11面並べたものは、本願部分の他には見られないものであるから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。
そうすると、本願意匠は、この建築物の属する分野において、独自の着想によって創出したものであり、当業者が引用意匠に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲















審決日 2024-05-29 
出願番号 2022022665 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (L3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 富永 亘
特許庁審判官 内藤 弘樹
清野 貴雄
登録日 2024-06-26 
登録番号 1774659 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 杉村 憲司 
代理人 村松 由布子 

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