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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする L2
管理番号 1010655 
審判番号 審判1999-35067
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2000-09-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-02-10 
確定日 1999-12-27 
意匠に係る物品 法面保護用ブロック 
事件の表示 上記当事者間の登録第1022316号意匠「法面保護用ブロック」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1022316号意匠の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 I.請求人の申立及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由として要旨以下のように主張し、立証として甲第1号証を提出した。
登録第1022316号の意匠(以下、「本件登録意匠」という)は、平成8年10月7日に出願し、同10年7月24日に意匠に係る物品を「法面保護用ブロック」として登録されたものである。
しかしながら、本件登録意匠は、その出願前に頒布された実開平5-16827号(甲第1号証)の第3図に記載された護岸用コンクリートブロックの意匠(以下、「引用の意匠」という)に類似するにもかかわらず登録されたものであり意匠法第3条第1項3号に該当するものであるから、その登録を無効とすべきである。
II.被請求人の答弁
被請求人は、「本件無効審判の請求は理由なし。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」と答弁し、乙第1号証及び乙第12号証を提出し、その理由について要旨以下のように主張した。
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、奥行き寸法が縦横寸法より短い横長扁平直方体の正面の内側に、正面形状の輪郭と相似形の横長々方形状の正面開口を持つ大きな空部(以下、「正面開口部」という)を備えた箱形状のコンクリートブロック本体を基本的構成態様としたものあり、正面開口部に菱形網目の金網蓋を嵌め込み、開口部内方の正面壁の中央には小正方形の凹陥部を設け、この小正方形の凹陥部の左右に一対の縦長々方形の取付用板を定着し、コンクリートブロック本体の上面から下面に貫通する長円形の鉄筋挿通孔を左右一対に設け、同本体の上面の横方向に鉄筋挿通孔で分断される半円弧状の嵌合突条を設け、同本体の下面の横方向に鉄筋挿通孔で分断される半円弧状の嵌合凹溝を設け、同本体の左右側面には、上面の嵌合突条及び下面の嵌合凹溝と揃う位置に半円弧状の凹溝を設け、同本体の背面の中央やや上寄りに正方形穴を穿った点を具体的構成態様とするものである。
2.引用の意匠
引用の意匠は、奥行き寸法が縦横寸法より短い横長扁平直方体の正面の内側に、正面形状の輪郭と相似形の横長長方形状の大きな正面開口部を備えた箱形状のコンクリートブロック本体を基本的構成態様としたものあり、正面開口部の周縁に段部を設け、この段部の縁に合わせ周側に横長々方形状の枠板を有し前後に多少屈曲する波形状の菱形網目の金網蓋を嵌め込み、この金網蓋の枠板に6本のアンカーボルトを止着し、コンクリートブロック本体の上面から下面に貫通する長円形の鉄筋挿通孔を左右一対に設け、同本体の上面の横方向に鉄筋挿通孔で分断される半円弧状の嵌合突条を設け、同本体の下面の横方向に鉄筋挿通孔で分断される半円弧状の嵌合凹溝を設け、同本体の左右側面には、上面の嵌合突条及び下面の嵌合凹溝と揃う位置に半円弧状の凹溝を設けた点を具体的構成態様とするものである。
3.両意匠の共通点
基本的構成態様を▲1▼奥行き寸法が縦横寸法より短い横長扁平直方体の正面内側に、正面形状の輪郭と相似形の横長々方形状の大きな正面開口部を備えた箱形状のコンクリートブロック本体とする点。
具体的構成態様の▲2▼正面開口部に菱形網目の金網蓋を設け、▲3▼コンクリートブロック本体の上面から下面に貫通する長円形の鉄筋挿通孔を左右一対に設け、▲4▼同本体の上面の横方向に鉄筋挿通孔で分断される半円弧状の嵌合突条を設け、▲5▼同本体の下面の横方向に鉄筋挿通孔で分断される半円弧状の嵌合凹溝を設け、▲6▼同本体の左右側面には、上面の嵌合突条及び下面の嵌合凹溝と揃う位置に半円弧状の凹溝を設けた点。
4.両意匠の相違点
具体的構成態様のうち▲1▼正面開口空部について、本件登録意匠は、内周壁が立直面で該部が直方体であるのに対し、引用の意匠は、正面開口部の周縁に僅かな段部を設け、内周壁を傾斜面で該部が四角錐台形としている点。▲2▼本件登録意匠は、開口部内方の正面壁の中央に正方形状の凹陥部分を設け、その左右両脇に縦長々方形の取付用板を設けているのに対し、引用の意匠は、これらを設けていない点。▲3▼金網蓋について、引用の意匠は、周縁に細幅板状の枠体を設け、その上下辺の中央及び両端部分にアンカーボルトを配しているのに対し、本件登録意匠は、これを有していない。▲4▼引用の意匠は、金網蓋を正面壁よりやや奥まった段部に設け、周縁の枠体の分網部分が狭く、金網自身が前後に屈曲する波形状を呈しているのに対し、本件登録意匠は、正面壁と面一に設け、枠体がない分金網が広く面状である点。▲5▼本件登録意匠は、背面壁の中央やや上方寄りの部位に矩形状の凹陥部分を設けているのに対し、引用の意匠は、これを設けていない。
5.要部認定について、
本件登録意匠は、意匠公報の説明欄に記載のとおり、正面開口部内に納めた土嚢、玉石、保水マット等の収容物に植物を繁殖させブロック自体の正面の緑化を促し、法面コンクリート材の無機質さをできる限り無くし、景観の向上と自然環境の保存を目的とするものであり、擁壁構築後、豪雨などにより流出した土嚢の詰め直し等の補修のため、開口部の金網蓋自体は開閉可能に上辺に蝶着されている。
本物品は玉石等を収納して水面下に設置して、護岸用ブロックとして使用可能であるが、基本的には土嚢を入れて空中での設置を行なわんとするものである。
他方、引用の意匠は、水面下に設置して魚類、微生物、水生植物の生息空間となることから、水質の浄化作用と魚類等の生育環境の確保により自然環境の保全を図るものであり、空部内には充填材として玉石が詰め込まれ、充填材相互間に微細空間が形成され上記目的を達成するものであり、金網蓋には枠体を設けアンカーボルトにより強固に締着されているものと認められる。
すなわち、本件登録意匠は、空部自身を出来る限り広く開口して、強度を加味しながら出来る限り正面に占める周壁の面積を小さくし、金網蓋が目立たないよう面状にして正面体裁をシンプルにして地上で設置する為に意匠的配慮をしたものである。
他方、引用の意匠は、水面下に設置し魚類等の生息環境の提供と水質の浄化作用を目的とする、どちらかといえば、技術的目的もので、意匠的には空部内の玉石(充填材)自体がある程度自然風に目立つようになしたものと認められる。護岸用ブロックは護岸擁壁の一部をなすものであり設置後は唯一正面視されるだけであり、平面、側面が突飛な形態がない限り、正面全体が最も見やすい部分と認められ、両意匠の要部は、ありふれた嵌合突条部を除いた看者の注意を強く惹く部分である正面全体であると認められる。
被請求人も、ブロックの要部において、大きな正面開口部や金網蓋の存在に共通性のある点は認めるが、具体的構成態様同士の空間関係や別の具体的構成態様の有機的な結合又は削除により、がらっと趣を異にする場合がある。引用の意匠はブロックの要部において大きな空部と金網蓋を具備したことが仮に嚆矢としても、それを取り込んだ上の新たなデザインの創作もまた保護されねばならないのだから、空部と金網蓋の存在感だけの共通性は類否では問題にならない。したがって、上記の具体的構成態様の差異点が両意匠の類否判断を左右する要部となる。
III.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成8年10月7日に意匠登録出願をし、平成10年7月24日に設定の登録がなされたものであって、当該意匠登録原簿及び出願書面の記載によれば、意匠に係る物品を「法面保護用ブロック」とし、その形態については、別紙第一に示すとおりとしたものである。すなわち、全体の基本的構成態様は、奥行き寸法が縦寸法より短い横長直方体のコンクリートブロックを基本形状とし、その正面周縁に細幅の縁部(以下、単に「正面縁」という)を設け、その内方に正面形状の輪郭と相似形の横長々方形状の大きな開口部(以下、単に「開口部」という)を設けた箱形状とし、開口部の前面に菱形網目の金網蓋を設けたものであり、各部の具体的な構成態様については、開口部内方の正面壁の中央には略小正方形状の浅い凹陥部を設け、この凹陥部の左右両脇に細幅の縦長々方形状をなす一対の取付用板を定着し、当該ブロックの外壁について、上面壁のやや後方寄りの部位に横方向に略半円弧状の嵌合突条を設け、下面壁のやや後方寄りの部位に横方向に略半円弧状の嵌合凹溝を設け、この上面壁の嵌合突条及び下面壁の嵌合溝の左右両側面壁寄りの部位に上面から下面に貫通する略長円形をなす鉄筋挿通孔を一対に設け、左右両側面壁のやや後方寄りで上面壁の嵌合突条及び下面壁の嵌合凹溝と同部位に略半円弧状の凹溝を設け、背面壁の中央やや上寄りの部位にも略小正方形状の浅い凹陥部(以下、「背面壁凹陥部」という)設けたものである。
2.甲第1号証の意匠
甲第1号証の意匠は、平成5年3月2日に公開された公開実用新案公報に所載の考案の名称を「護岸用コンクリートブロック」とする平成5年実用新案出願公開第16827号に記載の第3図に現された「護岸用コンクリートブロック」の意匠(以下、引用の意匠」という)であって、その形態は、別紙第二に示すとおりとしたものであり、同公報に記載の第1図、第2図及び第4図並びに図面の簡単な説明をも参照して、第3図に現された意匠について検討するに、全体の基本的構成態様は、奥行き寸法が縦寸法より短い横長直方体のコンクリートブロックを基本形状とし、その正面周縁に細幅の正面縁を設け、その内方に正面形状の輪郭と相似形の横長々方形状の大きな開口部を設けた箱形状とし、この開口部の前面に菱形網目の金網蓋を設けたものであり、各部の具体的な構成態様については、開口部の内壁周縁に細く浅い段部を形成し、この段部には、周縁に細幅板状の枠体を有する菱形網目の金網蓋を、枠体の上下辺の中央及び両端部分にアンカーボルトで止着し、当該ブロックの外壁について、上面壁のやや後方寄りの部位に横方向に略半円弧状の嵌合突条を設け、下面壁のやや後方寄りの部位に横方向に略半円弧状の嵌合凹溝を設け、この上面壁の嵌合突条及び下面壁の嵌合溝の左右両側面壁寄りの部位に上面から下面に貫通する長円形の鉄筋挿通孔を一対に設け、左右両側面壁のやや後方寄りで上面壁の嵌合突条及び下面壁の嵌合凹溝と同部位に略半円弧状の凹溝を設けたものである。
3.両意匠の対比
1)両意匠の共通点
両意匠は、奥行き寸法が縦寸法より短い横長直方体のコンクリートブロックを基本形状とし、その正面周縁に細幅の正面縁を設け、その内方を正面形状の輪郭と相似形の横長々方形状の大きな開口部に形成した箱形状とし、この開口部の前面に菱形網目の金網蓋を設けた全体の基本的構成態様が共通し、当該ブロックの外壁について、上面壁のやや後方寄りの部位に横方向に略半円弧状の嵌合突条を設け、下面壁のやや後方寄りの部位に横方向に略半円弧状の嵌合凹溝を設け、この上面壁の嵌合突条及び下面壁の嵌合溝の左右両側面壁寄りの部位に上面から下面に貫通する長円形の鉄筋挿通孔を一対に設け、左右側面壁のやや後方寄りで上面壁の嵌合突条及び下面壁の嵌合凹溝と同部位に略半円弧状の凹溝を設けたものとし、金網蓋の網目を菱形網目とした各部の具体的な構成態様においても共通するものである。
2)両意匠の差異点
他方、両意匠には、▲1▼開口部内周縁について、引用の意匠は、細くて浅い僅かな段部を設けているのに対し、本件登録意匠は、これを設けていない点。▲2▼正面開口部内の形状について、本件登録意匠は、内周壁を垂直面とし直方体に形成しているのに対し、引用の意匠は、内周壁を僅かな傾斜面とし略四角錐台形状に形成している点。▲3▼本件登録意匠は、開口部内の正面壁中央に小正方形状の凹陥部分を設け、その左右両脇に縦長々方形の取付用板を設けているのに対し、引用の意匠は、これらを設けていない点。▲4▼金網蓋について、引用の意匠は、周縁に細幅板状の枠体を設け、その上下辺の中央及び両端部分にアンカーボルトを配しているのに対し、本件登録意匠は、これらを有していない。▲5▼引用の意匠は、金網蓋を正面縁よりやや奥まった段部に設け、金網自身が前後に屈曲する波形状を呈しているのに対し、本件登録意匠は、正面壁と面一に設けている点。▲6▼本件登録意匠は、背面壁凹陥部を設けているのに対し、引用の意匠は、これを設けていない点の各部の具体的な構成態様において差異点が認められる。
4.両意匠の類否判断
1)意匠に係る物品について
被請求人は、本願の意匠は法面用すなわち空中にて使用し、景観の向上と自然環境の保存を目的とするものであり、引用の意匠は、護岸用すなわち水面下にて設置し、水質の浄化作用と魚類等の生育環境の確保により自然環境の保全を図るものである旨の主張をするが、本件登録意匠の意匠に係る物品の説明及び甲第1号証の考案の説明には、ともに開口部内に玉石その他の材質でなる充填材を収納するものであり、かつ、両意匠は、多数の同一物品を並べ積み重ねて設置してその目的を果たすものであり、引用の意匠は、河川又は湖沼等の岸辺において、水面下から地上高く積み重ねられ岸辺の法面保護にも供することも可能であって、本件登録意匠についても、被請求人が本件無効審判事件の答弁書において「本物品は玉石等を収容物とする場合には水面下設置の護岸用ブロックとして用いることが可能である・・・」と記載しているのをみても、両意匠の意匠に係る物品は共通するものといえる。
2)形態について
そこで、前記の共通点及び差異点を総合して両意匠の類否を全体として考察すると、奥行き寸法が縦寸法より短い横長直方体のコンクリートブロックを基本形状とし、その正面周縁に細幅の正面縁を設け、その内方を正面形状の輪郭と相似形の横長々方形状の大きな開口部に形成した箱形状とし、この開口部の前面に菱形網目の金網蓋を設けた態様は、この種コンクリートブロックの意匠にあっては、甲第1号証の公開前には見受けられない新規な態様であって、両意匠の特徴を顕著に表し形態全体の基調に大きな影響を及ぼすところと認められる。また、各部の具体的な共通点については、そのひとつひとつを採り上げ検討すると、いずれも甲第1号証の公開前より、この種コンクリートブロックの意匠にあっては、被請求人が提出した各乙号証からも明らかな如く極めて普通に知られた態様であって、これら各部の具体的な共通点のひとつひとつが類否判断に与える影響は極めて微弱なものといえるものの、これら普通に知られた態様である各部の具体的な構成態様の共通点と新規な特徴を持つ全体の基本的構成態様の共通点が相俟って表出される態様は、両意匠のみにみられる格別の特徴を表出しているところであって、形態全体の基調を形成するところなり類否判断を決定づける支配的要素をなすところといわざるを得ない。これに反し、前記のいずれの差異点についても類否判断に与える影響は極めて微弱なものといえる。
すなわち、前記差異点のうち、まず、▲1▼の開口部内周縁の段部の有無については、引用の意匠が当該段部に金網蓋を止着して段部の存在がさほど目立たず、本件登録意匠が開口部の前面の内方いっぱいに金網蓋を設けている態様と対比しても、両意匠の金網蓋を取り外してみて分かる程度の僅かな差異であり、形態全体から見れば部分的で軽微な差異といえる。また、▲2▼の開口部内の形状の差異については、引用の意匠に見られる内周壁の傾斜面の程度も僅かなもので、本件登録意匠が引用の意匠の特徴とするコンクリートブロックの正面周縁に細幅の正面縁を設け、その内方に横長々方形状の大きな開口部を形成して、形態全体を箱形状にしたという共通点に包摂される微弱な差異といえる。また、▲3▼の開口部内の正面壁中央に小正方形状の凹陥部分及び、その左右両脇の取付用板の有無の差異については、開口部内の正面壁という奥まったところの比較的、看者の目に付き難い部位での差異でもあり、かつ、ともに開口部の内方に玉石等の収容物を詰め込んだ場合は、これらは全く隠れてしまい使用態様においては外観上の特徴とはならず、類否判断に及ぼす影響は僅かなものといえる。次に、▲4▼の金網蓋について、上下辺にアンカーボルトを配した細幅板状の枠体の有無の差異については、確かにこの点に差異が認められるものの、両意匠の金網蓋の周縁を対比し、意匠の創作としての観点から観察、検討しても、むしろ本件登録意匠の針金で枠体を形成したものの方が一般的で特徴が無く、この点を本件登録意匠の格別の特徴として採り上げ評価することはできない。また、▲5▼の金網蓋を正面縁よりやや奥まった段部に設けているか、正面壁と面一に設けているかの差異については、▲1▼の開口部内周縁の段部の有無と同様に、両意匠がともに金網蓋を設けているものであり、その差異は極めて僅かなものであって、形態全体から見れば部分的で軽微な差異といえる。また、引用の意匠の金網自身が前後に屈曲する波形状を呈している点は、開口部内の玉石と思しき収容物の影響による変化と推察でき、本件登録意匠についても収納物次第で同様の現象が表れるものと推察できることから、この点については類否判断に何ら影響を及ぼすところとはならない。次に、▲6▼の背面壁凹陥部の有無の差異についても、コンクリートブロックの背面壁という施工後には隠れてしまい意匠の創作としては二義的な部位での差異であって、かつ、該凹陥部も浅く小さなものであって類否判断に与える影響は微弱なものといえる。そうして、これらの差異点を総合しても、前記した両意匠の全体の基本的構成態様及び、各部の具体的な構成態様の共通点が相俟って醸し出す、類似する印象を凌駕し本件登録意匠のみが有する格別の特徴を表出しているものとは到底いえない。
したがって、本件登録意匠は、引用の意匠と意匠に係る物品が共通し、形態においても、形態全体の基調を形成し類否判断を決定づける支配的要素といえる全体の基本的構成態様及び各部の具体的な構成態様において共通するものであるから、両意匠は、類似するものと言わざるを得ない。
5.むすび
以上のとおり、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、同法同条同項の規定に違背して登録されたものであり、その登録は無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別紙


審理終結日 1999-09-01 
結審通知日 1999-09-17 
審決日 1999-10-13 
出願番号 意願平8-30223 
審決分類 D 1 11・ 113- Z (L2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樫本 光司内藤 弘樹 
特許庁審判長 瀬尾 和子
特許庁審判官 伊勢 孝俊
松原 至
登録日 1998-07-24 
登録番号 意匠登録第1022316号(D1022316) 
代理人 福田 武通 
代理人 福田 賢三 
代理人 福田 伸一 
代理人 山田 稔 

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