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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 D2
管理番号 1073424 
審判番号 不服2001-16151
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-09-11 
確定日 2003-02-03 
意匠に係る物品 椅子 
事件の表示 意願2000- 29403「椅子」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願(以下、「D」という。)は、意願2000-29362(以下、「A」という。)を本意匠とし、物品の部分について意匠登録を受けようとする平成12年10月18日の意匠登録出願であり、その意匠は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「椅子」とし、形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものであり、実線と一点鎖線で表した部分が、意匠登録を受けようとする部分である(別紙第4参照)。
2.原審の拒絶の理由
これに対して通知された原審の拒絶の理由は、Aの意匠と類似する本願意匠は同一人同日出願でAを本意匠とする意願2000-29401(以下、「C」という。)の意匠と類似するとして成された特許庁長官の協議指令に対し協議が成立しなかったので、本願意匠は、意匠法第9条第2項後段の規定により意匠登録を受けることができない、とするものである。なお、Cについては、この意匠はDの意匠の他に、同一人同日出願でAを本意匠とする意願2000-29360(以下、「B」という。)の意匠とも類似し、Aの意匠とは類似しないとして特許庁長官の協議指令が成された。
3.請求人の主張
これに対し、請求人は、Cの意匠は、Aの意匠とは差異点が認められるものの、共通点が顕著であり、共通点は差異点を凌駕し、両意匠は類似するものと認められ、したがって、Aを本意匠とし、CとBとD(本願)とを関連意匠として登録すべきである旨主張する。
4.当審の判断
そこで、原審の拒絶の理由の妥当性について検討する。
ところで、B、C、Dは、同一人同日出願でAを本意匠とする意匠登録出願であるところ、Cの意匠がAの意匠と類似し、B、Dの各意匠もAの意匠と類似するときは、意匠法第10条第3項に規定するとおり、同法第9条第2項の規定は適用しない。したがって、この場合、B、C、Dには同法第9条第2項の規定を理由とする拒絶の理由は存在せず、B、C、Dの各意匠は、同法第10条第1項の規定により、Aを本意匠として意匠登録を受けることができる。
そこで、C、B、D(本願)の各意匠それぞれがAの意匠と類似するか否かについて、以下、検討することとする。
A、B、Cの各意匠は共に、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願に係り、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「椅子」とし、形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものであり、実線と一点鎖線で表した部分が、意匠登録を受けようとする部分である(別紙第1と別紙第2と別紙第3参照)。
Aの意匠とB、C、Dの各意匠とを比較すると、相対比する両意匠は、意匠に係る物品が共通し、意匠登録を受けようとする部分を、椅子において、背部後方に配した背フレームの座面寄り位置から上方の部分とした点で共通し、形態については、(1)椅子において、背面視で背部の左右縁と上縁に沿った角棒による略倒コ字状の枠体とし、その上端側下部を一旦前傾し、それに続けて上端側上部を上方に立ち上げたものとした点で共通する。
そして、まず、Aの意匠とCの意匠とは、形態について、その他に、(イ)背フレームの前傾基部左右間に架設した横杆の有無(Aの意匠に有り。)の点、及び、(ロ)背フレーム上端側上部が垂直か(Aの意匠)やや後傾しているか(Cの意匠)の点で差異がある。
A、C両意匠の形態における共通点と差異点について総合的に検討するに、共通点(1)は、背フレームの形態上の基本となる骨格を成すところに係り、両意匠を特徴づけ、両意匠の共通感を強く印象づけているところであり、一方、差異点(イ)は、横杆自体は背フレーム内方に収まるものであることを勘案すると、両意匠の強い共通感の中にあっては、それを凌いで両意匠を別異のものと印象づけるほどの効果を発揮するまでには至っておらず、その差異として働く効果は小さいというほかなく、差異点(ロ)は、背フレーム上端側の前傾した後に上方に立ち上げた両意匠共通する態様の中での傾斜の有無に係る微差に過ぎず、結局、各差異点が相俟ってもなお、差異点は共通点を凌駕することができず、以上によれば、両意匠は、類似するものというほかない。
次に、Aの意匠とBの意匠とは、形態について、その他に、(イ)背フレームの前傾基部左右間に架設した横杆の有無(Aの意匠に有り。)の点で差異がある。
A、B両意匠の形態における共通点と差異点について総合的に検討するに、共通点(1)は、背フレームの形態上の基本となる骨格を成すところに係り、両意匠を特徴づけ、両意匠の共通感を強く印象づけているところであり、一方、差異点(イ)は、横杆自体は背フレーム内方に収まるものであることを勘案すると、両意匠の強い共通感の中にあっては、それを凌いで両意匠を別異のものと印象づけるほどの効果を発揮するまでには至っておらず、その差異として働く効果は小さいというほかなく、差異点は共通点を凌駕することができず、以上によれば、両意匠は、類似するものというほかない。
最後に、Aの意匠とD(本願)の意匠とは、形態について、その他に、(2)背フレームの前傾基部左右間に横杆を架設した点で共通し、(イ)背フレーム上端側上部が垂直か(Aの意匠)やや後傾しているか(Dの意匠)の点で差異がある。
A、D両意匠の形態における共通点と差異点について総合的に検討するに、共通点(1)は、背フレームの形態上の基本となる骨格を成すところに係り、両意匠を特徴づけ、両意匠の共通感を強く印象づけているところであり、その共通感を、共通点(2)は補強しており、一方、差異点(イ)は、背フレーム上端側の前傾した後に上方に立ち上げた両意匠共通する態様の中での傾斜の有無に係る微差に過ぎず、差異点は共通点を凌駕することができず、以上によれば、両意匠は、類似するものというほかない。
以上のとおりであって、Aの意匠とB、C、Dの各意匠とは類似するものであるから、B、C、Dには意匠法第9条第2項の規定を理由とする拒絶の理由は存在せず、したがって、本願意匠は、同項後段の規定により意匠登録を受けることができないとして本願を拒絶すべきものとした原査定は、当を得ないものであり、取消を免れない。
また、他に拒絶すべき理由を発見しない。
したがって、本願意匠は、意願2000-29362(意匠登録第1119374号)を本意匠として意匠登録を受けることができる。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2003-01-10 
出願番号 意願2000-29403(D2000-29403) 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (D2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 遠藤 行久 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 伊藤 晴子
木村 恭子
登録日 2003-03-07 
登録番号 意匠登録第1172424号(D1172424) 
代理人 日高 一樹 
代理人 渡邉 知子 

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