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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立不成立) J7
管理番号 1078148 
判定請求番号 判定2002-60079
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2003-07-25 
種別 判定 
判定請求日 2002-08-20 
確定日 2003-06-12 
意匠に係る物品 足部マツサ―ジ器 
事件の表示 上記当事者間の登録第0865969号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「足部マツサ―ジ器」の意匠は、登録第0865969号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第1.請求の趣旨及び理由
請求人は、イ号意匠及びその説明書に示す「足部マッサージ器」の意匠は、登録第865969号意匠(以下、本件登録意匠という)及びこれに類似する意匠の範囲に属するとの判定を求める、と申し立て、その理由として判定請求書の記載のとおりの主張をし、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番を含む)の書証を提出したものである。
その主張の大要は、以下のとおりである。
すなわち、両意匠は意匠に係る物品が共通し、その形態の共通点は、基本的構成態様は、全体が棒状であり、その中央に2つの突部を形成している点、具体的態様は、中央は両端部より平面視でやや幅広に形成し、中央の2つの突起はそれぞれ丸味を帯びた山型形状とし、互いに近接させ、また、右端部は平面視が略長方形状である点、一方差異点は、本件登録意匠は、左端部は平面視が細長の二等辺三角形状とする先細形状とし、右端部は平面視が略長方形状のへら状をなすのに対して、イ号意匠は、両端部は平面視が略長方形状で丸味をもたせてある点であって、両意匠の共通点は、類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められるのに対し、差異点は、いずれも類否判断に及ぼす影響が微弱なものであり、共通点を凌駕することができず、両意匠は類似する。
第2.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成3年8月9日の意匠登録出願に係り、平成5年1月28日に登録の設定がなされたものであり、その願書及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「足部マッサージ器」とし、形態を願書及び願書に添付された図面に表されたとおりとしたものである(別紙第一参照)。
2.イ号意匠
本件判定請求の対象とされるイ号意匠は、判定請求書に添付されたイ号意匠並びに説明書によれば、意匠に係る物品が「足部マッサージ器」であり、その形態をイ号意匠並びに説明書に表されたとおりとしたものである(別紙第二参照)。
3.両意匠の比較検討
両意匠は、意匠に係る物品がともに「足部マッサージ器」であって同一のものであり、その形態については、主として以下の共通点と差異点が認められる。
すなわち、共通点は、上面を丸面状とする棒状体の中央に、2つの山型の突部を設け、棒状体の中央を上面視幅広状に形成した点、更に具体的に見ると、2つの突部の間を稍低く切り下げた点、が認められる。
一方差異点は、(イ)棒状体の両端部について、本件登録意匠は、2つの突部の間隔分とほぼ等長分を左右に延長して、右側の延長部分については、全体を斜めに切り削いだ楔状とし、左側の延長部分については全体を略半円錐状としたものであるのに対し、イ号意匠は、これらに該当する延長部分を設けず、そのまま縦断状のものとして、稜部を稍大きい角丸状としたものである点、(ロ)棒状体中央の幅広の部分について、本件登録意匠は、左右の短い幅の部分で拡幅した、上面視平行状の等幅部分が長いものであるのに対し、イ号意匠は、長い幅の部分で拡幅した、上面視平行状の等幅部分が短いものである点、が主として認められる。
そこで上記の共通点と差異点につき、イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するか否かの判断に及ぼす影響について、以下に検討する。
まず、共通点につき、この種のマッサージ器の分野においては、上面を丸面状とする棒状体、或いは板状体の上面中央に、2つの山型の突部を設けることは、例えば、実開平2-98934号、実開平2-30345号、実開昭57-152145号等の公報に認められ、この種の物品において、格別特徴的なものとはいえない。また、中央部分を上面視幅広状に形成した点についても、意匠登録第761707号の意匠によれば、両意匠にのみ共通する独自の特徴とはいえない。更に、2つの突部の間が稍低く切り下げられている点についても、並置し、視点を極低くして対比すれば共通点として確認できるが、俯瞰した場合には、狭い部分でみられる態様でもあるから、共通感を印象付ける効果は、さほど大きいものとはいえない。
してみると、これら共通点のみでは、直ちに類否を決定付けられるまでには至らない。
そして差異点につき、(イ)の点は、確かに請求人の主張するとおり、両端部の差異であって、その形状が、楔状、或いは略半円錐状に延長して形成されたものか、稜部を稍大きい角丸状として縦断状に形成されたものか、の違いであるが、本件登録意匠が延長状に形成されたその長さが、2つの突部の間隔とほぼ等長分で、両意匠の全体としての構成比率、即ち横幅に対する全体の長さ、或いは2つの突部の間隔に対する全体の長さを著しく異にするものとしており、しかも該部は、マッサージ器として、別異の機能を付加したものであって、その付加機能がそのまま、両端部の形状として、大きく表されたものであるから、本件登録意匠を構成する重要な構成部分といえ、そしてイ号意匠は、この重要な構成部分を備えていないものであって、その有無は、両意匠の類否判断に、極めて大きな影響を及ぼすものとせざるを得ない。そして、(ロ)の点は、(イ)と相関連して両意匠の構成比率上の差異を強調している。
そうしてこれら共通点と差異点を総合すれば、本件登録意匠は前述のとおり、共通点に係る態様が独自の特徴として大きく評価できない以上、その特徴は、差異点(イ)に係る、両端部を楔状、略半円錐状に延長した構成態様も含めた全体形態にあると認められ、この特徴の有無に係る差異点(イ)は、両意匠の類否判断に決定的な影響を及ぼすものとせざるを得ず、共通点が相まった効果を考慮しても、差異点は共通点を凌いで両意匠の類否判断を決定付けるに十分で、意匠全体として、イ号意匠は、本件登録意匠に類似するものとはいえない。
なお、請求人は、イ号意匠に係る出願意匠が、本件登録意匠と近似する意匠に類似するとして拒絶の査定を受けた旨を述べているところ、出願意匠それ自体に、従来態様に対する新規性があるか否かの判断と、イ号意匠が、登録意匠の特徴を共有し、その類似する意匠の範囲に属するか否かの判断とは、必ずしも同列に論じることができない。
以上のとおりであって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2003-06-02 
出願番号 意願平3-23821 
審決分類 D 1 2・ 1- ZB (J7)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高野 善民 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 1993-01-28 
登録番号 意匠登録第865969号(D865969) 
代理人 大橋 勇 
代理人 大橋 良輔 
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