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審決分類 審判 無効  工業上利用 無効としない L3
管理番号 1088275 
審判番号 無効2002-35530
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-12-13 
確定日 2003-11-14 
意匠に係る物品 消火器収容箱付きパネルを備えた建屋用枠付きドア 
事件の表示 上記当事者間の登録第1048313号「消火器収容箱付きパネルを備えた建屋用枠付きドア」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯及び本件登録意匠
本件登録意匠は、平成8年12月27日に出願され、その後、平成11年5月28日に設定の登録がなされ、平成11年9月7日に意匠公報が発行された登録第1048313号意匠(意願平8-39880号)であり、願書及び願書添付の図面によれば、その意匠は、意匠に係る物品「消火器収容箱付きパネルを備えた建屋用枠付きドア」の形状に関する創作物であって、その形態を同図面記載のとおりとしたものである(別紙1参照)。
2.請求人の主張
請求人は、「意匠登録第1048313号の登録を無効とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由として、本件登録意匠は、願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断したとしても、具体的な一の意匠の内容を直接的に導き出すことができないので、意匠法第3条柱書の規定に違反して登録されたものである旨主張し、証拠方法として、甲第1〜8号証を提出している。
請求人の主張は概ね次のとおりである。
本件登録意匠の願書に添付された図面の意匠は、甲第2及び5号証の図面のとおりであるが、願書の「意匠に係る物品」の説明の欄(別紙1参照)には、選択的な「又は」の用語によって、願書に添付の図面と異なる外観形状である「メーターの検針用の覗窓を備えたドアと、給湯器を内側枠に取り付けたドアとを枠内に横並びに設けると共に該ドアに外部から消火器を取り出せる消火器収容箱を内側へ突設し、」の外観形状や、「メーターの検針用の覗窓を備えたドアと、給湯器を内側枠に取り付けた嵌め殺しパネルとを枠内に横並びに設けると共に該嵌め殺しパネルの裏面に外部から消火器を取り出せる消火器収納箱を内側へ突設し、」の外観形状が記載されている。
したがって、願書及び図面に意匠の形状が文字や図を用いて抽象的に記載されているので、願書の記載及び願書に添付した図面等を総合的に判断したとしても、具体的な一の意匠の内容を直接的に導き出すことができない。
[証拠方法]
(1)甲第1号証 意匠登録第1028842号意匠公報
(2)甲第2号証 意匠登録第1048313号意匠公報
(3)甲第3号証 請求人製造販売の「点検口用ドア装置」の図面
(4)甲第4号証 奈良地裁平成14年(ワ)第117号の訴状
(5)甲第5号証 本件登録意匠の包袋資料(願書、願書に添付された図面等)
(6)甲第6号証 特許庁発行の意匠審査基準(説明会テキスト)
(7)甲第7号証 マンション(消火器収容箱付きパネルを備えた建屋用枠付きドアが公然実施された住宅)の写真
(8)甲第8号証 消火器収容箱付きパネルを備えた建屋用枠付きドアの写真
3.被請求人の主張
被請求人は、平成15年2月24日付けで答弁書を提出し、本件登録意匠は具体的であって、意匠法第3条柱書の規定に違反しないものである旨主張し、証拠方法として、乙第1及び2号証を提出している。
[証拠方法]
(1)乙第1号証 平成14年(ワ)第117号意匠権侵害差止等請求事件において、被請求人が平成14年11月25日に提出した準備書面(まとめ)の写し
(2)乙第2号証 平成14年(ワ)第117号意匠権侵害差止等請求事件において、被請求人が平成15年2月7日に提出した準備書面(補充)の写し
4.当審の判断
本件登録意匠及び請求人の主張について検討すると、まず、願書に添付した図面に記載された意匠については、請求人提出の甲第2及び5号証の図面に記載されているとおりであって、一の意匠(別紙1参照)を特定することができるものと認められる。
つぎに、本件登録意匠が具体的な一の意匠の内容を直接的に導き出すことができないものであるとする点については、それが、願書の「意匠に係る物品の説明」の欄の記載(別紙1参照)を根拠とするものであるが、意匠法第6条及び同法施行規則第1条様式第1備考20に規定されているように、そもそも当該欄に記載すべき事項は、意匠に係る物品の使用の目的、使用の状態等、物品の理解を助けることができるような説明であって、意匠登録を受けようとする意匠の内容でないことは明らかである。
ちなみに、意匠登録を受けようとする意匠は、意匠法第6条に規定されているように、図面に記載して願書に添付すべきものであり、図面に記載された意匠に関する大きさ、材質、形態の変化、彩色の省略等、同条第4〜8項の規定に該当する事項については、同法施行規則第1条様式第1備考21〜25、同規則第2条様式第5備考8〜11に規定されているように、「意匠の説明」の欄に記載すべきものであることからすれば、たとえ「意匠に係る物品の説明」の欄に願書の添付図面に記載された意匠とは異なる形態が記述されていたとしても、その形態に関する記述内容は、登録意匠の形態的内容とすることはできないものである。
したがって、本件登録意匠の願書の「意匠に係る物品の説明」の欄における添付図面と異なる形態の記述は、本件登録意匠の形態的内容とすることはできないものであり、願書の添付図面に一の意匠が記載されていることが甲第2及び5号証等から明らかである以上、本件登録意匠が具体的な一の意匠の内容を直接的に導き出すことができないものであるとする請求人の主張は失当である。
なお、請求人は、平成15年5月23日付意見書において、本件登録意匠が出願前に公然知られた甲第7及び8号証に示す意匠に類似する新規性のないものであり、保護の対象に値しないと主張するが、証拠の写真に写されたマンションの竣工表示板に刻字されている年月は本件登録意匠の出願後の平成9年3月であり、他に該マンションに設置された「消火器収容箱付きパネルを備えた建屋用枠付きドア」の意匠が本件登録意匠の出願日である平成8年12月27日前に公然知られたものであることを示す証拠は見当たらないので、請求人のこの主張は採用できない。
5.むすび
以上のとおりであって、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件意匠の登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2003-09-16 
結審通知日 2003-09-19 
審決日 2003-10-01 
出願番号 意願平8-39880 
審決分類 D 1 11・ 14- Y (L3)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 藤木 和雄
特許庁審判官 岩井 芳紀
江塚 尚弘
登録日 1999-05-28 
登録番号 意匠登録第1048313号(D1048313) 

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