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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする E2
管理番号 1101316 
審判番号 無効2003-35389
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2004-09-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-09-16 
確定日 2004-06-30 
意匠に係る物品 知育用パズル 
事件の表示 上記当事者間の登録第1175939号「知育用パズル」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1175939号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、意匠登録第1175939号(以下、当該意匠を「本件登録意匠」という。)を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1.意匠登録無効の理由の要点
本件登録意匠は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された公知意匠に類似する意匠であり意匠法第3条第1項第3号の規定により、意匠登録を受けることができないものであり、本件意匠登録は同法第48条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。
2.本件意匠登録を無効とすべきである理由
甲第2号証は、平成13年(2001)2月現在のもので、本件登録意匠の出願日前にマギー・ヴワット株式会社により発行された新製品カタログであり、本件登録意匠に類似する公知意匠であるチャイルドパズル新製品「ABCをおぼえよう!」(以下、「公知意匠」という。)が示されている。
甲第3号証は、甲第2号証のカタログに掲載されたチャイルドパズル新製品「ABCをおぼえよう!」を平成13年(2001)9月13日に販売したことの証明書である。
以下、本件登録意匠と公知意匠とを対比する。
A.共通点
(ア)横長形状の薄いパズル台紙である。
(イ)台紙表面にアルファベット26文字を形成したパズルピースが対応する各凹部に嵌合してある。
(ウ)各凹部の頂部中央にピースを外すための同一形状の指掛け部が形成してある。
(エ)パズルピースの外形は、アルファベット26文字を模した形状に形成してある。
(オ)26個のパズルピースは、正面図において左上部から横一列にアルファベット順に「A」から「Z」まで嵌合できるように形成してある。
(カ)パズルピースの横一列は、最上段が「A」から「G」、第二段が「H」から「N」、第三段が「O」から「U」までの、それぞれ7個の配列であり、最下段が「V」から「Z」までの5個の配列である。
(キ)各パズルピースは縦長の長方形で形成してある。
(ク)各ピースのアルファベット文字がどの文字なのか分からないように似たような形状にしてある。
B.相違点
(ア)本件登録意匠はパズル台紙及び各ピースの表面が無模様であるのに対して、公知意匠はパズル台紙及び各ピースの表面にキャラクターやその他の絵が表示してある。
(イ)ピースの直線、曲線、凹みなどで若干の相違点があるピースがある。
両意匠には、その構成において上記のような相違点はあるものの、公知意匠は先行周辺意匠との関係から斬新な意匠であり、今までにない知育用パズルであることから意匠の類似の幅は広いといえる。そして、相違点(ア)については、公知意匠は実施品である以上、表面にキャラクターなどの絵が表示してあるのは当然のことであり、また、相違点(イ)については、両意匠は多くの共通点を有し、かつ公知意匠との類似の幅は広く解釈されるべきであること等から本件登録意匠は公知意匠に類似する意匠であるといわざるを得ない。
第2.被請求人の答弁
当審は、請求書の副本を被請求人に送達し、期間を指定して答弁書を提出する機会を与えたが、被請求人からは何らの応答もない。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成14年4月30日に意匠登録出願をし、平成15年4月18日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1175939号意匠であり、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「知育用パズル」とし、その形態を願書及び願書に添付の図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。
2.公知意匠
公知意匠は、甲第2号証に示すマギー・ヴワット株式会社発行のカタログ「新製品チャイルドパズルW・Lスペシャルセット 新製品チャイルドパズルスペシャルセット」見開きの左上段左側に記載された「ABCをおぼえよう!」と称する「知育用パズル」の意匠であり、形態は同カタログに記載されたとおりである(別紙第2参照)。
そして、同カタログは、その見開きにおける、右下端の価格についての「2001年2月現在」と右下段の注文書欄の「3月21日発売予定 ご注文締め切り日:3月5日」との記載を総合すると、遅くとも、本件登録意匠の出願日である平成14年(2002年)4月30日より前の2001年3月5日までには頒布されたものと認められる。
また、甲第3号証の株式会社河田が株式会社テンヨーに宛てた証明書の記載全文によれば、公知意匠のものは平成13年9月13日までには販売されたものと認められる。
3.本件登録意匠と公知意匠の対比検討
本件登録意匠と公知意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態については、主として以下の共通点及び差異点がある。
【共通点】
(1)全体が台紙とパズルピースからなり、横長方形状の薄い台紙の表面側にそれぞれ外形が異なる26個の凹部を縦横に整列して設け、26個のパズルピースの外形を、凹部それぞれの外形に対応するように、アルファベット文字を太らせて周りを囲ったような、26文字のアルファベットそれぞれを大まかに模した形状の変形略縦長方形状に形成して、各パズルピースをどのアルファベット文字対応のものか子供が一目で分からないように似たような形状とし、各凹部に、その外形に対応する外形のパズルピースを着脱自在にはめ込んでなるものである点。
(2)各凹部の上辺中央(同位置)に同形の小突出状辺を配して、パズルピースを外すための指掛け部を形成している点。
(3)凹部とそこにはめ込んだパズルピースは、台紙の左上端からスタートして横書き方向に4段7列、A文字対応のものからZ文字対応のもの順(アルファベット順)に配列され、最下段には5個を並列している点。
【差異点】
(A)最下段の配列について、本件登録意匠は右2列を空けているのに対して、公知意匠は左1列と右1列を空けている点。
(B)両意匠の対応する各パズルピースの外形は、さらに具体的に見ると、直線、曲線、凹みなどの辺構成で若干相違する点。
(C)台紙と各パズルピースの表面の模様の有無差(公知意匠に有り)。
そこで、上記の共通点と差異点について総合的に検討するに、(1)ないし(3)の共通点が相俟って形成する形態全体のまとまりは、この種知育パズルの先行意匠に照らしてみるに、公知意匠の特徴をよく表すところといえ、両意匠間に強い共通感をもたらしている。
一方、差異点については、(A)の点は、最下段に5個を並列した両意匠共通する配列態様におけるわずかな配列態様差に過ぎず、(B)の点は、パズルピースの外形をさらに具体的に見た場合の若干の態様差に過ぎず、(C)の点は、意匠の実施に際して二次的に付加されたものといえる表面模様の有無差に過ぎず、いずれの差異点も、両意匠の類否判断を左右するほどのものではなく、これらの差異点が相俟った効果を考慮しても、両意匠間に強い共通感をもたらす共通点に圧倒されており、結局のところ、本件登録意匠は公知意匠を踏襲した程度のものというほかなく、両意匠は、類似するものである。
4.結び
以上のとおりであって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当するものであり、本件意匠登録は、同法同条同項の規定に違反してなされたものであるので同法第48条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2004-04-27 
結審通知日 2004-05-06 
審決日 2004-05-18 
出願番号 意願2002-11628(D2002-11628) 
審決分類 D 1 11・ 113- Z (E2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松下 香苗 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 市村 節子
渡邊 久美
登録日 2003-04-18 
登録番号 意匠登録第1175939号(D1175939) 
代理人 北村 仁 

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